スーパー耐久シリーズ2017 第4戦 オートポリス Gr-1 決勝レポート

July 17, 2017

オートポリスを舞台に、スーパー耐久シリーズ第4戦のグループ1決勝レースが、7月16日(日)に開催されて、激戦の末にST-Xクラスでは#8 ARN Ferrari 488 GT3を駆る、永井宏明/佐々木孝太組がポール・トゥ・ウィンを飾り、同時に今季初優勝を獲得した。ST-TCRクラスでは#98 Modulo CIVIC TCRを駆る、黒澤琢弥/石川京侍/加藤寛規組が今季3勝目を獲得。ST-3クラスでは#39 ADVICS TRACY RC350 DPSを駆る、手塚祐弥/前嶋秀司/鈴木陽組が、そしてST-2クラスでは#6 新菱オート☆DIXCEL EVO Xを駆る、冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄組が、それぞれ今季初優勝を挙げている。

 

ARN Ferrari 488 GT3が四度目の正直!? 悲願の初優勝を飾る

グループ1の決勝レースは、グループ2の決勝レースの後、ピットウォークを経て午後から行われた。4戦連続のポールポジションについた#8 ARN Ferrari 488 GT3のスタート担当は、今回も永井宏明。同じくフロントローに並んだ#1 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rは藤井誠暢を始めとして、ほとんどのST-Xクラス勢はプラチナドライバーをスタート担当に起用する中、ジェントルマンドライバーの永井がどう渡り合うのか注目された。

やはりと言うべきか、誰より鋭いスタートを切ったのは藤井で60kgものウエイトを積んでいるとは思えぬほどのダッシュで永井に迫り、インを刺そうとしたその瞬間、両者は軽く接触。しかし、ともにダメージを負うことなく1コーナーをクリアし、藤井がトップに浮上する。だが、永井は少しも遅れることなく続き、さらに#99 Y’s distraction GTNET GT-Rの星野一樹も加えた、激しい三つ巴のバトルからレースは開始される。

なかなか逃げることを許されない藤井に対し、より勢いに満ちていたのが星野一樹だった。11周目には永井をかわして2番手に浮上。永井は20周目に、佐々木孝太への最初の交代を行ったのに対し、藤井と星野一樹のバトルはなおも続き、そして29周目にはポジションを入れ替える。そのまま逃げていく星野一樹に対し、藤井にはミッショントラブルが発生。パドルシフトによるギヤチェンジができなくなり、やむなくクラッチを切ってチェンジするも、35周目にピットに戻った後は、ガレージにマシンは入れられて修復が行われることに。これでトップから8周遅れとなり、前回に続いて優勝争いから脱落してしまう。

ところで、それよりはるか前の7周目、4番手を走行していた#3 ENDLESS ADVAN GT-Rの山内英輝がピットに突然戻ったのは、ガソリンがコクピット内に漏れてしまったため。修復されてコースに戻れたのは、ゴール直前のタイミングだった……。

 
36周目に#99 Y’s distraction GTNET GT-Rが植松忠雄へと交代すると、#8ARN Ferrari 488 GT3は再びトップに立って、佐々木はそのままリードを広げ続ける。そして、最後のピットストップは同時タイミング。57周目に永井が再び、そして藤波清斗がコースに乗り込んでくる。40秒近くあった差はピット作業の違いもあって縮まったばかりか、藤波は周を重ねるごと着実に詰めていく。2連勝も夢ではないと思われ、実際に78周目には差が1秒を切るまでに。だが、藤波の仕掛けは少々早すぎた。80周目の1コーナーでインを刺すも、その直後に接触が。藤波は前には出たのだが、それから間もなくタイヤにトラブルが発生し、ピットに戻らざるを得ず……。

これで永井は単独トップに立つも、やがてドライビングスルーペナルティの指示が。2番手に浮上していた#777 D’station Porscheの近藤翼との差は40秒! トップをキープできるか、微妙な間隔ではあった。だが、86周目にピットに入り、コースに戻ったタイミングでは近藤は7秒後方。土壇場に訪れたチャンスを逃すまいと、必死にプッシュした近藤ながら、あと1秒及ばず。辛くも逃げ切った永井、そして#8 ARN Ferrari 488 GT3が、チーム結成3年目にして悲願の初優勝を挙げることとなった。そして#3 ENDLESS ADVAN GT-Rはリタイア扱い、#1 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rは6位でのゴールとなったこともあり、なんとランキングのトップにまで躍り出ることとなった。

 星野敏/荒聖治/近藤組の#777 D’station Porscheに続く3位は、モーリス・チェン/吉本大樹/坂本祐也組の#89 HubAuto Ferrari 488 GT3が獲得。最後はタイヤ交換後の藤波が、吉本に激しく迫ったものの、やはりあと一歩のところで逆転を許されなかった。

 

ST-TCRクラスは#98 Modulo CIVIC TCRが3勝目をマークする

 予選から今回は特に僅差だったST-TCRクラスは、決勝でも序盤は4台が一列縦隊。予選トップだった#45 LIQUI MOLY RS3 LMSの白坂卓也が、まずは後続を引き連れていく。2周目には#98 Modulo CIVIC TCRの石川京侍が2番手に浮上。この2台のうち先手を切ったのは、#45 LIQUI MOLY RS3 LMSで竹田直人に交代する。これに対して、#98 Modulo CIVIC TCRは黒澤琢弥への交代を37周目まで伸ばすも、その際にドリンクボトルが損傷するハプニングも。しかし、黒澤にせよ、加藤寛規にせよ、石川のパートナーふたりは、それしきのことに動じようはずもなく。そうとは思わせぬペースで、後続を徐々に引き離していく。

 ようやくトラブルに見舞われぬようになった#45 LIQUI MOLY RS3 LMSながら、終盤の逆襲はかなわず。しかし、「ようやくトラブルが出ないようになり、しっかり方向性が見えてきたので、今後が楽しみ」と田ヶ原章蔵。次回以降の逆襲を誓っていた。難なく逃げ切りを果たした#98 Modulo CIVIC TCRはこれで3勝目をマーク。一方、終盤まで3番手を走行していた、#97 Modulo CIVIC TCRの伊藤真一/土屋圭市/中野信治組ながら、最後の交代を済ませたはずの62周目から、わずか4周後にサスペンションのナットが緩むトラブルが。またしても表彰台獲得はならなかった。

 

ST-3クラスはADVICS TRACY RC350 DPSが初優勝飾る!

 ST-1クラスでは、#31 Nissoku Porsche 991 GT3 Cupの影山正美が、スタートからしばらくST-Xクラス勢をも、また食う勢いを見せた。今回は遅れて来たルーキーの小川勝人が2スティントを担当。最初のスティントのアウトラップにコースアウトがあったが、すぐに復帰できて、ことなきを得る。今回は総合8位でのフィニッシュを成し遂げた。

 一方、ST-3クラスでは、予選トップだった#39 ADVICS TRACY RC350 DPSの前嶋秀司を、#62 DENSO Le Beausset RC350の山下健太が追いかける格好でレースは開始。山下はあらかじめロングスティントを予定していたため、等間隔を保って前嶋に続く。#39 ADVICS TRACY RC350 DPSが鈴木陽への交代を40周目に行ったのに対し、#62 DENSO Le Beausset RC350の中山雄一は、それより5周後の45周目に交代。#39 ADVICS TRACY RC350 DPSも素早く動いて、47周目には手塚祐弥との交代を行う間に、中山はトップに立ってリードを広げ続けていたかのように思われたものの、実際には十分ではなかった。65周目に#62 DENSO Le Beausset RC350には嵯峨宏紀が乗り込むも、コースに戻った時には手塚が先方に。わずかに差を詰めることしか許されず、#39 ADVICS TRACY RC350 DPSが嬉しい初優勝を飾ることとなった。3位は#68 埼玉トヨペットGreenBraveマークXの服部尚貴/脇阪薫一/平沼貴之組が獲得し、今季三度目、2戦連続の表彰台に立つことに成功した。

 

トラブルフリーの#6 新菱オート☆DIXCEL EVO XがST-2クラスで今季初優勝

 ST-2クラスで予選トップだった、大澤学/後藤比東至組の#59 DAMD MOTUL WRX STIは、決勝でも序盤をリードするも、その最中に後続車両の追突を受けてしまう。走行に支障が出るほどのダメージではなかったものの、レインランプが損傷していたため、最初のピットストップの際に修復を命じられ、これで大きく順位を落としてしまう。

 代わってトップに立ったのが、冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄組の#6 新菱オート☆DIXCEL EVO Xだった。ここまでの3戦は速さをアピールしても、トラブルに相次いで見舞われていたが、4戦目は完全にトラブルフリー。ひとたびトップに立つと、ライバル車両を寄せつけずに逃げ切り、今季初優勝を飾ることとなった。2位は下垣和也/松本武士/近藤説秀組の#20 RSオガワADVANランサーが獲得した。

 次回のレースは9月2〜3日に富士スピードウェイで、現在の国内レースとしては最長の10時間レースとして開催される。ポイント5割増しの、しかもウエイトハンディが半減される、今シーズンの天王山となることはもはや必至である。

 

総合優勝(ST-Xクラス優勝)

#8 ARN Ferrari 488 GT3

永井宏明

「ちょっとペナルティをもらっちゃったので、当たっちゃった人には申し訳なく思うけど、バトルの中で本当に必死になって走って、本当に嬉しいです。1位獲れて嬉しいです! チームのみんなが無線で励ましてくれたので、集中力を途切れさせることなく、本当に強い気持ちでアクセルを踏むこともできましたし、本当にみんなのおかげと思います。スーパー耐久では初勝利ということで、やっと獲れたって気持ちです。今度こそって気持ちでやってきて、臨んだオートポリス戦だったので、その思いがかなって最高の気分です!」

佐々木孝太

「本当に熾烈だったし、永井さんが2スティント行く中で、実はクールスーツつなげなくて、それで厳しい中で頑張ってバトルを制してくれたので、本当に見ていて僕らも感動しました、走りには。それにしても4戦目にしてようやく勝てて、嬉しいです。チームができて3年で、やっとここまで来られたっていうのが本当に嬉しいですね。本当にみんな、頑張ってくれました。ランキングトップに立てたっていうのは上出来すぎるけど、本当に獲りたかった勝利にやっと届いたので、この流れとか感じを忘れずに、ずっとやっていきたいと思います」

 

ST-TCRクラス優勝

#98 Modulo CIVIC TCR

黒澤琢弥

「アベレージが良かっただけで、まわりがドタバタしていて。いつもそうなんですけど、特に鈴鹿がそうだったんですが、僕らはコンスタントに行っていて、アクシデントが前の方で起きて……。でも今回は京侍が抜いてきたので、ちゃんと。僕が出る時にはもう1位でしたから楽でしたよ」

石川京侍

「ドリンクを抜く時に壊しちゃって、おふたりにまったく飲ませてあげられませんでした。次の富士は長いレースなので、そのへんもしっかり気を使って。ピットインのタイミングも急だったので、ちょっとタイヤも厳しかったので……。ちょっと慌てちゃった部分もあるんですが、富士ではしっかり組み立てて、頑張りたいと思います」

加藤寛規

「コース的にもシビックには合っていたと思いますし、レースセットアップも大胆に変えたら、さらに良くなって。いい感じでタイヤも保ったし、燃費も良かったし、完璧なレースでした。ピット作業も早かったし。あとふたつあるので、そこも獲りたいですね!」

 

ST-1クラス優勝

#31 Nissoku Porsche991 GT3 Cup

小川勝人

「今回は2スティント行かせていただきましたが、暑かったというより楽しかったです。今回も収穫はいっぱいありましたし、今後の自信になりました」

影山正美

「小川さんがオートポリスを木曜日から走り始めて、その進化度合いはすごかったですね。予選は僕の3秒落ちまで来てくれたので、小川さんのセンスの良さに改めてびっくりです。来年に向けて、いろんな練習が今回できたので、本当に良かったと思います。決勝も1回、スピンしてしまったみたいなんですけど、それも経験なので。すごくいい経験も、いいレースもできたと思います」

富田竜一郎

「今回は小川さんが初めてのオートポリスということで、チーム全員が小川さんのサポートをできるようにとやってきて、決勝はこういうきれいな形で終われたので、非常に良かったと思います。いいレースでしたね」

 

ST-3クラス優勝

#39 ADVICS TRACY RC350 DPS

手塚祐弥

「いやぁ、ようやく勝てました! やっと四輪ちゃんと走れるようになったんじゃないかと(笑)。今年から前嶋さんに鍛えてもらって、セットの出し方とか、タイヤの保たせ方とか教えてもらって、これでだいぶ良くなったんじゃないかな、と。本当に今週はずっと調子良かったんで、僕らは淡々と走るだけでした。それで大きなトラブルなく進んだので、本当に良かったです」

前嶋秀司

「俺は言うことないよね、淡々と走っていただけだから(笑)。スタートして、後ろから来なかったんで淡々と走って、ちゃんと渡して。心配だったんですよ、鈴鹿で(鈴木が)やらかしていたから! ちょっと心配だったけど、俺より速かったし、勝ちを呼び込んでくれたかもしれない。完璧でした、こんなレースを毎回したい、楽なレースを。次の富士でもこんな感じで!」

鈴木陽

「ST-4クラスでは一度勝っているんですが、このクラスで、しかもポール・トゥ・ウィンは初めてです。Cドライバーなので、セッティングは他のふたりに任せて、自分は与えられた仕事をこなすしかないんですが、予選でグリップのない状況のタイヤで、今回のレースウィークでベストなタイムが出ていたので、逆に決勝はいい状態のタイヤで走れて、クルマも仕上がっていたので、安心して自分のスティントをこなすことができました」

 

ST-2クラス優勝

#6 新菱オート☆DIXCEL EVO X

冨桝朋広

「やっと来ました。夏場なので水温とか油温がけっこう厳しくて、ヤスくん(菊地)にもプッシュしてもらいたかったんだけど、けっこうキープみたいな感じで。たまたままわりのトラブルもあって助かった感じなんですけど、うちはノートラブルで走りきったので、これでちょっとは前を向いて。次の富士はポイントも大きいので、その時はしっかり狙っていきます」

菊地靖

「いろんなことが夏場のレースは、ST-2クラスつらいと思うんですが、その中でも今回は練習からずっとトラブルフリーで、流れが良かったからトラブルなしで走れれば、なりにいいところ行けると思っていたので。でも、いろんなことで他にも助けられたけど、ここで勝てたのは相当でかいですね。59号車の連勝を止められたので、シリーズでもここから行きたいです」

大橋正澄

「久々に勝てました。我々はトラブルもなく、ST-2クラスの泥試合に勝てました(笑)。獲れるところで獲ったのはすごく大きいと思います。この調子で次の富士も頑張ります」

 

(はた☆なおゆき)

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