スーパー耐久シリーズ2017 第4戦 オートポリス Gr-2 決勝レポート

July 17, 2017

スーパー耐久シリーズ第4戦のグループ2決勝レースが、オートポリスを舞台に7月16日(日)に行われ、ST-Xクラスでは#86 TOM’S SPIRIT 86を駆る、松井孝允/蒲生尚弥/坪井翔組が3連勝を飾り、ST-5クラスでも#88 村上モータースMAZDAロードスターを駆る、村上博幸/脇谷猛/加藤正将組が3連勝と、ポイントリーダーたちが揃って強さを見せることとなった。

 

40kgのウエイトハンディを背負ってなお、TOM’S SPIRIT 86が3連勝!

 第2戦以来、今季3回目の2グループ開催となった第4戦は、グループ2の決勝を午前に、そしてグループ1の決勝を午後に行うこととなった。スタート進行の開始は8時ながら、エントラントはそれぞれ目を輝かせて、この一戦にどれだけ賭けているかを十分に感じさせた。

 なお、本来ならば25台がスターティンググリッドに並ぶはずだったが、女性ドライバーで挑む#50 LOVE DRIVE RACINGロードスターは、予選中のクラッシュによるダメージが癒えず、レース出場を断念している。

 土曜日までは強い日差しが注がれていたオートポリスながら、スタート直前のサーキット上空には雲が浮かび、さらに最終コーナーの方から霧も流れてきたから「もしや」とさえ思わせたものの、フォーメイションラップを間近にすると、再び強い日差しが注がれるように。以降は天候の心配をせずに済む。

 そんな中、グリーンシグナルの点灯と同時に「賭けていた」と語る、#93 SKR ENGINEERING ing S2000の佐々木雅弘が、3番手から猛ダッシュを見せる。狙っていたのは、1コーナーまでにポールシッターで#86 TOM’S SPIRIT 86を駆る松井孝允をかわすことだったが、#77 CUSCO RACING 86の山田英二が壁になってしまい、成功ならず。間もなく佐々木は2番手浮上なるも、その間に松井は逃げて、オープニングの1周だけで1秒6ものリードを築き上げていた。予想外だったのは、40kgもウエイトハンディを抱えているため、早々逃げられまいと思っていたのに、松井はぐんぐん差を広げていったこと。

 オートポリスはタイヤを酷使することで知られるが、その特性を甘んじて受け入れ、通常は第2スティントはタイヤ無交換で行くものの、あらかじめ全スティント4本交換で行くことを決めていたためだ。しかし、佐々木の抵抗もあって4秒以上には広げられず。1時間を経過して間もなくの29周目、予定どおり#86 TOM’S SPIRIT 86は坪井翔に交代。これで佐々木はトップに立つが、普段なら折り返しのあたりまで走り続けるのに、タイヤが限界に達したこともあって、やむなく34周目に太田侑弥と交代する。

 代わってトップに立ったのは、#55 SunOasis田中建設スズバン86のたしろじゅんで、これに続いていたのは#13 ENDLESS ADVAN 86の小河諒。それぞれのドライブは44周目、45周目まで続いていた。この2台のうち、勝負に出たのは#13 ENDLESS ADVAN 86の方。花里祐弥への交代と併せ、タイヤを4本とも交換。そして花里は5周のショートスティントとし、代わった高橋翼を無交換でコースへ送り出す。一方、その間にトップに返り咲いていたのは、もちろん#86 TOM’S SPIRIT 86だった。

 56周目に坪井から蒲生尚弥に代わった#86 TOM’S SPIRIT 86の前に存在したのは、もはや#93 SKR ENGINEERING ings S2000のみ。それも66周目に佐々木が再び乗り込み、コースに戻った時には4番手へと退いていた。一方、2番手につけていたのは#13 ENDLESS ADVAN 86ながら、トップに返り咲いた#86 TOM’S SPIRIT 86との差は30秒以上。それが大きく広がりも、縮まりもしなかったのは蒲生がペースを合わせて走っていたからに他ならない。

 逃げ切りを果たして3連勝を飾った#86 TOM’S SPIRIT 86の後方では、新たなドラマが勃発していた。3番手を走っていたのは#54 TC CORSE iRacing ROADSTERの堤優威ながら、その時ギヤトラブルに見舞われていて、ペースが思うように上げられなくなっていたのだ。当然、迫って来たのが#93 SKR ENGINERRING ings S2000である。当初は12秒ほどあった差が、着実に詰まっていき……。ゴールまであと5周というところで佐々木は堤をかわしたばかりか、さらに#13 ENDLESS ADVAN 86の高橋にも迫っていったではないか! 逆転はならなかったものの、チェッカーを受けた時の高橋と佐々木の差はコンマ9秒。あと1周あったら、どうなっていたことだろうか。

ゴール間際にはST-5クラスのトップ争いにも、想像を超えたドラマ発生!

 ST-5クラスの予選は、さながらマツダフェスティバル! ロードスター2台にデミオのレシプロとディーゼルが並び、ホンダのフィット勢を完全に封じ込めていたからだ。「スペックを改めた今年のコントロールタイヤと、フィットのマッチングが今ひとつ」というのが、とある関係者の声。いずれにせよ昨年までの快進撃を思えば、なんとも不可思議な事態ではある。

 決勝でもロードスター勢の猛威は続いた。まずは#88 村上モータースMAZDAロードスターNDを駆る村上博幸のリードからレースは開始されるも、#2 TEAM221 BOMEXマッハ車検ND5RCの山西康司が食らいついて少しも離れず。それどころか、山西は6周目の1コーナーでトップに立つと、そのまま徐々に村上を引き離していく。気がつけば、これがいつしか20秒以上に及ぶリードにもなっていた。それぞれ第2スティントを担当する、山下潤一郎に脇谷猛が迫る格好となっていたが、逆転するまでには至らず。

 トップを行く#2 TEAM221 BOMEXマッハ車検ND5RCが、最初の交代で左側2本、次の交代でも右2本だけの交換で筒井克彦をコースに送り出したのに対し、#88 村上モータースMAZDAロードスターNDは、最初の交代でこそ4本換えたが、2回目の交代でも換えてしまえば勝機はなくなると、加藤正将を無交換で送り出すことに。この作戦がうまくはまって加藤は、筒井との差を一気に詰めたばかりか、その後も徐々に間隔を詰めていく。そして、70周目の1コーナーで、ついに逆転に成功! それでも再逆転を狙って、少しも離れず筒井は続いていったものの、ついぞチャンスは訪れず。コンマ3秒差ながら振り切って、#88 村上モータースMAZDAロードスターNDは3連勝を飾ることとなった。

 3位は関豊/梅田剛/井尻薫組の#37 DXLアラゴスタNOPROデミオSKY-Dが獲得。決勝も引き続きマツダフェスティバルの予想を呈していた。

 

総合優勝(ST-4クラス優勝)

#86 TOM’S SPIRIT 86

松井孝允

「今回はタイヤに厳しいというのがフリー走行で分かっていたので、特に重いというのがあって、毎回交換という作戦を採ったんですが、その作戦がぴったりハマった感じですね。チームの作戦がバッチリでした。次の富士で、チャンピオンを決められれば嬉しいですが、そこは気を引き締めて、特に長いレースなので、チーム一丸となって戦います」

蒲生尚弥

「スタートからペースも良かったですし、松井選手も坪井選手もぶっちぎってきてくれて、ピット作業もミスなくて。僕はもう、ゆっくり走っただけですね(笑)。何事もないように、ゆっくり走っていました。次で決まればいいですけど、今までどおりのレースができればいいですね」

坪井翔

「今回はフリー走行から速かったので、普通にレースすれば大丈夫なんだろうと。重かったからセクター1がきついとか、いろいろありましたけど、でもセクター3が速かったので。ミスさえなければ勝てるんだろうな、って思っていました。今まで僕のところは無交換だったんですが、さすがにオートポリスはタイヤにきついんで、昨日の走行でもタイムが落ちてくるので、タイヤを換えてもコース上でもマージンの方が大きいという判断で、今回は四輪とも交換しました。本当にクルマがいいですし、チームメイトにも恵まれているので、そこのおかげだと思います」

 

ST-5クラス優勝

#88 村上モータースMAZDAロードスターND

村上博幸

「タイヤがやっぱりきつくて、想定していた以上にタイヤの保ちが悪かったので、急きょ作戦を変えて。あとは燃費で、2回給油で行くと決めて。それがラスト、加藤選手が出る時、タイヤを換えると前に出られないので、それでも頑張ってくれと。完璧な仕事をしてくれました。脇谷も完璧な仕事をしてくれて、今日はスタッフ含めて全員の勝利だと思います」

脇谷猛

「予定外のタイヤチェンジだったので、相当きついのかな、と。ただ、保せないといけないというのがあったので、プッシュもし切れないし、淡々と走る。これはいつものとおりなんですが、なんとかつないで……。見ている時はドキドキしましたけど、さすが加藤さん! こんなレースができて幸せです。今日は涙が出ちゃいました」

加藤正将

「ちょっと博打ではないんですけど、昨日のうちにロングランのテストをやっておいたおかげで、セットアップが詰められたので、最悪の状態を考えて、ことを進めていたのが勝因だったと思います。もうちょっと路面温度が上がっていたらきつかったかもしれないけど、それは我々、ツイていたと。今回持っていたと思います。タイヤを向こうは交換していたので、そのアドバンテージはありましたけど、筒井さんは元チームメイトなので、手の内は知っていますし、クリーンなバトルを心がけました」

 

(はた☆なおゆき)

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