スーパー耐久シリーズ

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第1戦 鈴鹿大会の振り返り / 第2戦 富士24時間大会のプレビューレポート

2022.05.30

3月19日(土)~20日(日)、三重県の鈴鹿サーキットで開幕したENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook。

シリーズは6月3日(金)~5日(日)、いよいよシリーズ唯一の24時間レースである第2戦NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レースを迎えるが、各クラスの第1戦を振り返りつつ、第2戦を展望しよう。

ST-X

まだ冷え込みが残る3月に開幕した第1戦鈴鹿。FIA-GT3規定車両で争われるST-Xクラスは6台がエントリーした。3月19日(土)の予選では、合算タイムで2番手を大きくリードした#16 ポルシェセンター岡崎 911GT3Rがポールポジションを獲得した。

快晴のもと行われた3月20日(日)の決勝レースでは、序盤から#16 ポルシェセンター岡崎 911GT3Rと#31 DENSO LEXUS RC F GT3、今季からST-Xに移行した#62 HELM MOTORSPORTS GTR GT3による白熱のトップ争いが展開されるが、中盤以降追い上げをみせてきたのは#81 DAISHIN GT3 GT-R。レース終盤には、#16 ポルシェセンター岡崎 911GT3Rと#81 DAISHIN GT3 GT-Rの争いとなった。しかし、逆転しトップに立った#16 ポルシェセンター岡崎 911GT3RはNISSINブレーキヘアピン立ち上がりで他クラス車両と接触。リタイアを喫し、#81 DAISHIN GT3 GT-Rが優勝。昨年のST-Zからクラス移行後初レースだった#23 TKRI松永建設AMG GT3が2位、#31 DENSO LEXUS RC F GT3は3位となった。

迎える第2戦富士は、#16 ポルシェセンター岡崎 911GT3R、#23 TKRI松永建設AMG GT3はスキップするものの、今季初レースとなる#9 MP Racing GT-Rが加わり5台での争いとなる。本命とも言えるのは、この富士でこれまで圧倒的な成績を誇る#81 DAISHIN GT3 GT-R。コースとの相性も良い。ただ、同じGT-Rとして#9 MP Racing GT-R、さらにDドライバーにショウン・トンを加えるなど強力なラインアップを揃えた#62 HELM MOTORSPORTS GTR GT3も強力な存在だ。

また、Aドライバーであるマーティン・ベリーが来日を果たした#888 Grid Motorsport AMG GT3も、2020年のNAPAC 富士SUPER TEC 24時間レースの優勝メンバーが多く、優勝を争う存在。開幕戦では#16 ポルシェセンター岡崎 911GT3Rをドライブしていた永井宏明と上村優太を加えた#31 DENSO LEXUS RC F GT3もラインアップは強力で、5台すべてに勝利の可能性はあるだろう。いずれにしろ、いかにトラブルを減らし安定して24時間を走りきるかが重要なカギだ。

ST-Z

第1戦では7台が参戦したST-Zクラスは、2021年に比べて台数は減ったものの、それを感じさせない熱戦が繰り広げられた。予選では、大塚隆一郎と太田格之進がアタックを担い、2021年から続く安定した速さをみせつけた#500 5ZIGEN AMG GT4がポールポジションを獲得。

レースでは、序盤#500 5ZIGEN AMG GT4ががリードするも、2021年からスピードをみせつけてきたGR Supra GT4勢が#500 5ZIGEN AMG GT4を攻略。#310 GRGarage水戸インター GR SUPRA GT4がトップを奪い、さらに#885 シェイドレーシング GR SUPRA GT4がリードを築いていく。

2021年まではピットでの逆転を許すこともあったGR Supra GT4だったが、第1戦では、清水英志郎が61周もの周回をこなした#885 シェイドレーシング GR SUPRA GT4が悲願の初優勝を達成。#310 GRGarage水戸インター GR SUPRA GT4が2位に入り、GR Supra GT4勢がワン・ツー・フィニッシュを飾っている。#500 5ZIGEN AMG GT4は3位となった。

第2戦は#34 テクノ・SUN'S・モノコレ G55、#111 Access HIROSHIMA+ GR SUPRA GT4が欠場するが、代わって#21 Hitotsuyama Audi R8 LMS GT4、#505 RED SEED Audi R8 LMS GT4という2台のアウディR8 LMS GT4が登場する。また、各チームともに豪華な追加ドライバーを起用しており、激戦は必至だ。

ST-TCR

鈴鹿サーキットでの第1戦でも#75 Team Noah HONDA CIVIC TCR、#97 Racer HFDP CIVICという2台のシビックの戦いとなったST-TCRだが、予選、決勝ともに#97 Racer HFDP CIVICはトラブルに泣かされることになってしまい、#75 Team Noah HONDA CIVIC TCRが優勝を飾ることになった。

迎える第2戦では、#75 Team Noah HONDA CIVIC TCRはシビックの経験も豊富な金丸ユウ、#97 Racer HFDP CIVICはHonda Racing School Suzuka出身の若手ドライバーたちを加え、ラインアップを充実させて挑む。

ST-Q

非常に多くの注目を集めているのがST-Qクラスだろう。第1戦鈴鹿では、クラス転向を果たした#3 ENDLESS AMG GT4が優勝したものの、今季から参戦を開始し、カーボンニュートラル燃料を使用する#28 ORC ROOKIE GR86 CNF Concept、#61 Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptの争いが大いにサーキットを沸かせた。敗れるかたちとなった#61 Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptは、第2戦富士に向け車両改良に着手するなど、環境を意識した戦いのなかでも切磋琢磨を続ける姿勢をみせている。

また、2022年からマツダ2に車両をスイッチしたバイオディーゼル燃料を使う#55 MAZDA SPIRIT RACING MAZDA2 Bio conceptも持ち前の安定した戦いを披露。第1戦でもMORIZOが最多周回をこなすなど、多くの注目を集めた水素エンジン搭載の#32 ORC ROOKIE Corolla H2 conceptも、ピット時間短縮など、さらなるポテンシャルアップをみせた。

第2戦では、#32 ORC ROOKIE Corolla H2 conceptにはWRC世界ラリー選手権で長年トップドライバーだったヤリ-マティ・ラトバラが加入するなど、さらなる話題を集めている。24時間本番ではどんな進化を遂げ、水素を“つくる"、“はこぶ"、“つかう"の新たな仲間が加わるのか、楽しみだ。

さらにこの第2戦には、日本でまだ発売されていない『Nissan Z Racing Concept』が2台、ST-Qクラスに参戦する。日産自動車/NISMOが、Zの「さまざまなモータースポーツカテゴリーでの活用の可能性を探り、実戦データを得るため」の参戦で、NISMOとMax Racingの2チームから、豪華ドライバーによって参戦する。公式テストでは初参加とは思えぬスピードをみせており、本番も楽しみなところだ。

ST-1

第1戦は3台がエントリーしたST-1クラス。ラインアップもさまざまで、2021年にチャンピオンを獲得した#2 シンティアム アップル KTM、昨年からさらなる進化を続ける#38 muta Racing GR SUPRAに加え、ニュルブルクリンク24時間用のマシンを持ち込んだ#47 D'station Vantage GT8Rという3台が揃った。予選では、その#47 D'station Vantage GT8Rがポールポジション獲得を果たす。

しかし決勝では、#2 シンティアム アップル KTMの安定したスピードが際立ち、#38 muta Racing GR SUPRAに1周差をつけ優勝。#47 D'station Vantage GT8Rは接触もあり3位となった。第2戦では、この3台に加え#8 Studie BMW M2CSRが参戦。2021年も登場したマシンだが、今回も木下隆之/砂子塾長/大井貴之/小澤弘毅/東風谷高史という魅力的なラインアップで参戦する。#2 シンティアム アップル KTMに対し、3台がどう戦いを挑んでくるか。

ST-2

7台がエントリーしたST-2クラスの第1戦は、予選こそ#6 新菱オート☆夢住まい館☆DXL☆EVO10が速さをみせるが、決勝レースでは序盤トラブルがありレースを失ってしまう。また、#59 DAMD MOTUL ED WRX STIも途中イレギュラーのピットインを強いられた。

レースは#13 ENDLESS GRヤリスがリードするが、ST-1車両との接触もあり後退。#225 KTMS GR YARISが開幕ウイナーとなった。迎える第2戦は、#225 KTMS GR YARISにとっては“苦い思い"がある一戦。2021年は新車を投入しレースの大半をリードしながら、無念の車両火災でリタイアを喫し、それがシリーズタイトル争いにも影響してしまった。

もちろん第2戦富士は、#225 KTMS GR YARISにとっては今季こそしっかりと走り抜きたい一戦。そのうえで、豊富な経験をもつライバルたちとどんな争いが展開されるか。2021年の富士に参加していなかったのは#13 ENDLESS GRヤリスのみだが、もちろんチームには24時間の実績はある。接戦が予想されるクラスのひとつだ。

ST-3

今季もレクサスRC350、トヨタ・クラウンRS、日産フェアレディZという3車種が揃ったST-3クラス。2021年とはチームの顔ぶれも異なるが、昨年王者である#39 エアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWSがポールポジションを獲得した。

しかし今季トップドライバーが数多く集うST-3の決勝レースは、序盤から混戦に。そのなかでペースを掴んだ#52 埼玉トヨペット GB クラウン RSが優勝。#39 エアバスターWINMAX RC350 55ガレージ TWSは2位、#311 Team Fukushima Z34が3位となった。

第2戦も6台の顔ぶれは変わらないが、#311 Team Fukushima Z34などドライバーラインアップが第1戦と異なるチームもある。このクラスも、第2戦の勝敗を分けるのは、トラブルなどの要素になりそうだ。

ST-4

2022年のENEOS スーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankookはレースごとに開催されないクラスがあるのが特徴だが、ST-4は第1戦の開催はなく、第2戦富士が開幕戦となる。このレースには4台がエントリーしている。

なんと言っても注目なのは、新型トヨタGR86。これまで多くのタイトルを手中に収めてきたTOM'S SPIRIT、名門浅野レーシングサービスがそれぞれ1台ずつを投じる予定。実績あふれるシェイドレーシング86、全薬工業withTEAM G/MOTION'インテグラとどんな戦いが展開されるか。

不安要素としては、世界的な物流等状況の影響もあり、2台の新型トヨタGR86は、5月10日に実施された公式テストに参加できなかった。第2戦でその姿を見ることを期待したい。

ST-5

14台という台数が集うST-5は、今季も盛況となっているクラスのひとつ。第1戦では、予選で#72 OHLINS Roadster NATSがポールポジションを獲得するも、レースは#66 odula TONE MOTULロードスターを奪う。しかし、レース終盤に#72 OHLINS Roadster NATSが逆転し開幕戦を制した。

2021年同様、第1戦ではロードスター勢が速さをみせ、マツダ・デミオ/マツダ2勢、ホンダ・フィットRS勢が続く展開が予想されるが、24時間レースは長丁場だけに燃費やトラブルなど、予想もつかない要素がある。2021年の富士ではロードスター勢が表彰台を占めたが、他車種とそこまで大きな差がついていたわけではない。今季も目が離せない戦いとなりそうだ。

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