2024年のENEOS スーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONEは、7月27〜28日に大分県日田市のオートポリスで開催された第3戦『スーパー耐久レース in オートポリス』から1ヶ月強のインターバルを経て、今季第4戦となる『もてぎスーパー耐久 5Hours Race』を迎える。舞台は栃木県のモビリティリゾートもてぎ。日本で最もブレーキに厳しいコースと言われており、かつ晩夏の9月はまだ暑さも堪えるレースだ。
そんな一戦に向けて、8クラス47台の車両が参戦する。今回はST-2クラスが“お休み”だが、第2戦富士SUPER TEC 24時間レース以来となるST-3クラス、ST-5クラスが開催される。今回は予選、決勝が9月7日(土)にワンデーで行われる今までにないスタイルの一戦だが、そんなレースを戦う8クラスのそれぞれの第3戦を振り返りつつ、第4戦もてぎをプレビューしよう。
GT3カーで争われるST-Xクラスは、第3戦オートポリスでは前年王者の#1 中升ROOKIE AMG GT3が参戦せず、4台が参戦した。予選では、#81 DAISHIN GT-R GT3がポールポジションを獲得。2番手には参戦2戦目の#33 Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3がつけた。
レースは序盤からこの2台に加え、#23 TKRI松永建設 AMG GT3を交えた戦いが序盤から展開される。この中で#33 Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3は接触とペナルティがあり一時後退したが、スタートから約1時間というタイミングで発生したST-Zクラスのアクシデントで導入されたセーフティカーのタイミングで、遅れを取り戻すことに成功する。
一方#81 DAISHIN GT-R GT3は、ピットイン時にエンジンが再始動しないトラブルに見舞われ、押しがけでコースインしたことによりペナルティが課されてしまう。この間にトップに立っていたのは#23 TKRI松永建設 AMG GT3だったが、レース終盤にプロドライバーのスティントを残した#33 Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3が逆転。初優勝を飾った。
#23 TKRI松永建設 AMG GT3が続き、これで3戦連続の2位表彰台を獲得。ポイントランキングでも首位に浮上した。3位には安定した走りを続けた#31 DENSO LEXUS RC F GTが入ることになった。開幕3戦を終え、ポイントランキングでは#23 TKRI松永建設 AMG GT3がトップに浮上。今回欠場した#1 中升ROOKIE AMG GT3を逆転した。
迎える第4戦もてぎも#1 中升ROOKIE AMG GT3が参戦しないことから第3戦同様4台の参戦となるが、実力差は拮抗しており、どのチームが勝利を飾ってもおかしくない。中でももてぎに並々ならぬ思いがあるのは#23 TKRI松永建設 AMG GT3かもしれない。ポイントでリードを築きたいのはもちろんだが、2022年のもてぎで優勝をほぼ手中にしながらも逃した苦い記憶がある。今季まだ優勝に手が届いていない#81 DAISHIN GT-R GT3も是が非でも勝利が欲しいはずだ。
GT4カーで争われるST-Zクラスは、第3戦オートポリスには11台がエントリーした。ポールポジションは、今季予選でスピードをみせている日産Z NISMO GT4勢のうち、#26 raffinee日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4が獲得。決勝も序盤からリードを築いた。
一方、2番手争いは序盤激しい争いとなり、#52 埼玉GB GR Supra GT4と#20 NANIWA DENSO TEAM IMPUL Zがバトルを展開していたが、スタートから1時間が近づこうかというタイミングで2台はメインストレートで接触。姿勢を乱した#20 NANIWA DENSO TEAM IMPUL Zがクラッシュし、セーフティカーが導入された。
リスタート後、接触のダメージがなかった#52 埼玉GB GR Supra GT4は少しずつ#26 raffinee日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4との差を縮め、最後はタイヤに厳しいオートポリスで無交換作戦を敢行。トップに立ち、今シーズン2勝目を飾った。2位は#26 raffinee日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4、3位は#5 マッハ車検 GR Supra GT4 EVOとなった。
迎える第4戦もてぎも11台が参戦するが、市販車の特性が色濃く反映されるのがGT4の特徴でもある。特にこのもてぎはリヤエンジン車やミッドシップ車が比較的得意。#19 BRP★FUNDINNO PORSCHE 718 GT4 RSや#22 EBI GROUP Cayman GT4 RS CS、#34 TECHNO FIRST R8 LMS GT4といったところが挙げられ、チームも狙っているはずだ。
ただ一方で、速さをみせる日産Z NISMO GT4勢、トヨタGRスープラGT4 EVO勢もレースではしっかりと順位を上げてくる。5時間の長丁場でどのチームが最後に栄冠を掴むだろうか。
第2戦まで行われていなかったST-TCRは、第3戦オートポリスからM&K Racingが走らせた2台のRacer ホンダカーズ桶川 CIVIC、Audi Team SHOW APEXの#430 エヴァRT初号機 Audi RS3 LMSという3台が参戦した。レースは#97 Racer ホンダカーズ桶川 CIVICが#98 Racer ホンダカーズ桶川 CIVICとの同一周回のチームメイトバトルを制し、今季初優勝を飾っている。
迎える第4戦もてぎも同じく3台が参戦することになるが、ドライバーラインアップがわずかに異なっている。今回もRacer ホンダカーズ桶川 CIVIC同士の争いとなるのか、#430 エヴァRT初号機 Audi RS3 LMSが逆襲をみせるのか注目だろう。
他のクラスに該当しない、STMOが認めた開発車両が参加できるST-Qクラスは、第3戦オートポリスには5台が参戦した。第2戦富士でも大きな注目を集めた#32 ORC ROOKIE Corolla H2 conceptは、第2戦でのトラブルを解消し臨み、水素エンジン車の速さをみせたものの、今度は別の電気系トラブルが発生。挑戦の難しさを感じさせた。
今回の第4戦もてぎには、3台が参戦する。注目は第3戦オートポリスでデビューした#61 SUBARU HighPerformanceX Future Conceptだろう。市販車に非常に近い状態での登場で、レースウイーク中にもパフォーマンスを上げていたが、今回は参戦2戦目で、スバル本拠に近い栃木県でのレース。どんな進化を遂げてきたか気になるところだ。
そして、第2戦富士以来の登場となるのが#271 Honda CIVIC TYPE R CNF-R。第2戦からどんな進化を経ているかも気になるところだが、今回はドライバーとして、スーパーフォーミュラ・ライツでも戦う荒尾創大が加わった。若手がドライブすることで、新たに得るものがあるのか注目だ。
ST-1クラスは、第3戦オートポリスに続き第4戦もてぎも#2 シンティアム アップル KTMの1台のみの参戦となる。開幕戦から、ST-X車両に迫る速さをみせながらもトラブルが連続していたが、第3戦オートポリスではトラブルフリーのレースを展開。チームとしても満足がいく一戦となった。
そのスタイリング、スピードと魅力あふれる一台が、今回のもてぎではどんな戦いをみせてくれるか。総合順位での戦いにも注目だろう。
今シーズンもOKABEJIDOSHA motorsportの2台の日産フェアレディZ、TRACY SPORTS with DELTAの2台のレクサスRC350によって熾烈なレースが展開されているST-3クラス。第2戦富士は、#15 岡部自動車Z34がポールポジションを獲得し、レース序盤をリードしていたが、#39 エアバスター WINMAX RC350 TWSが逆転。レースを制した。#15 岡部自動車Z34が2位、#38 TRACYSPORTS with DELTA RC350 TWSが3位となった。
迎える第4戦も同じく4台が参戦することになるが、実力伯仲なのはこれまでの2戦を見ても分かる。ランキングでも#39 エアバスター WINMAX RC350 TWSが60ポイントでリードしているが、#38 TRACYSPORTS with DELTA RC350 TWS、#15 岡部自動車Z34がともに49ポイントで続いており、その差は僅差。シーズン後半に向けてどのチームがイニシアチブを握るか。その点でも第4戦は重要な一戦となる。
トヨタGR86、マツダ・ロードスターが参戦し、毎戦接戦が展開されているST-4クラスは、第2戦、第3戦とも7台が参戦した。第3戦オートポリスでは、#884 シェイドレーシング GR86がポールポジションを獲得するも、#41 エアバスターWINMAX GR86 EXEDYが逆転し今季初勝利を飾った。2位は#3 ENDLESS GR86で、ポールスタートの#884 シェイドレーシング GR86は3位に。ランキング首位は守ったが、#41 エアバスターWINMAX GR86 EXEDYが3ポイント差で続いている。
シーズン後半戦に向けて大事な一戦となる第4戦もてぎだが、今季は第3戦で表彰台を獲得した3チームが開幕3戦の勝利を分け合っており、実力差は拮抗している。もてぎでのここ3年の成績を見ると、#884 シェイドレーシング GR86が2勝、#41 エアバスターWINMAX GR86 EXEDYが1勝とこちらも読めない。ST-4らしいテクニックが詰まった戦いにご注目いただきたい。
多様な車種バラエティと台数の多さ、そして小排気量車を感じさせない迫力の走りで人気のST-5クラスは、第2戦富士以来の開催となる。富士では#65 odula TONE 制動屋 ROADSTERがクラスポールポジションを奪ったが、#17 DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2がレースをリード。得意の富士で3連覇を飾った。
もてぎにおける車種の得意・不得意も、近年の成績を見てもそれほど見られない。第4戦でも僅差の戦いが展開されるはずだ。