ENEOS スーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONEも残すところ2戦。シリーズは10月26日(土)~27日(日)に岡山県の岡山国際サーキットで開催される第6戦『スーパー耐久レースin岡山』を迎える。今回は例年同様10月27日(日)に2グループに分かれ、3時間レースを2回行うスタイルだ。
そんな一戦は、第2戦富士SUPER TEC 24時間レース以来ひさびさに全9クラスが参加するレースとなる。エントリー台数も60台と盛況で、各クラスとも非常に楽しみな顔ぶれが揃っている。そんなレースに向けて、9クラスの第4戦/第5戦を振り返りつつ、第6戦岡山をプレビューしよう。
GT3カーで争われるST-Xクラスは、第5戦鈴鹿では#1 中升ROOKIE AMG GT3が復帰し5台で争われた。そんななか、公式予選から速さをみせ地元、そして得意コースの鈴鹿で躍動したのは#31 DENSO LEXUS RC F GT3。ポールポジションを獲得すると、レースでも序盤の濡れた路面状況や、中盤の#81 DAISHIN GT-R GT3、#1 中升ROOKIE AMG GT3との三つ巴の争いを制し今季初優勝。永井宏明にとっては嬉しい地元勝利、そして小山美姫にとっては女性で初のST-X優勝を飾ってみせた。
#81 DAISHIN GT-R GT3がクラッシュがあったことで後退し、2位には#1 中升ROOKIE AMG GT3が、3位には#23 TKRI松永建設 AMG GT3が入った。これでシリーズランキングでは、今季全戦表彰台の記録を続けた#23 TKRI松永建設 AMG GT3が113.00ポイントでシリーズをリード。2戦休場している#1 中升ROOKIE AMG GT3が89.50ポイントで2位、#31 DENSO LEXUS RC F GT3が89.00ポイントで3位、#33 Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3が88.00ポイントで4位につけている。上位のポイント差は僅差だ。
迎える第6戦岡山には、これらの5台に加え1台楽しみな挑戦者が加わることになった。日産GT-R NISMO GT3を使う#30 Handwork Challenge SPK GT-Rだ。ミドルフォーミュラで大活躍するDRAGONをAドライバーに据え、佐々木大樹、荒川麟という強力な体制を敷く。
タイトル争いにも大きな影響を及ぼしそうな存在だが、2023年の岡山でのレースは#1 中升ROOKIE AMG GT3が優勝、#23 TKRI松永建設 AMG GT3が2位だった。短い3時間レースでどんな結末を迎えるだろうか。
GT4カーで争われるST-Zクラスは、第5戦鈴鹿には13台がエントリーした。近年鈴鹿ではトヨタGR Supra GT4勢が速さをみせており、予選では#52 埼玉 GB GR Supra GT4がポールポジションを獲得していた。
ただ、決勝では序盤のウエット路面のなか、#34 TECHNO FIRST R8 LMS GT4がリード。第4戦で初優勝を飾った#25 raffinee日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4が追い上げる展開となるが、ピットインのタイミングやコンスタントな走りで追い上げをみせた#22 EBI GROUP Cayman GT4 RS CSがリードを奪い優勝。今シーズン初勝利を飾った。
シリーズランキングでは、ペナルティもあって第5戦は4位に終わったものの、#52 埼玉 GB GR Supra GT4が111.00ポイントでリード。第5戦を制した#22 EBI GROUP Cayman GT4 RS CSが74.00ポイントでランキング2位に躍り出た。3位には#885 シェイドレーシング GR SUPRA GT4 EVOがつけている。
迎える第6戦岡山は、第5戦で印象的な走りをみせた#59 2W Yamaguchi GR Supra GT4 EVOをのぞき12台で争われることになる。2023年にこのレースを制しているのは#34 TECHNO FIRST R8 LMS GT4で、今季も優勝候補の一台と言えるだろう。
第3戦オートポリスから3台が参戦しているST-TCRクラスは、第5戦鈴鹿では予選で#97 Racer ホンダカーズ桶川 CIVICが大差でクラスポールポジションを獲得するも、決勝では#98 Racer ホンダカーズ桶川 CIVICとの大接戦となった。
最後には逆転した#98 Racer ホンダカーズ桶川 CIVICが16.149秒差で#97 Racer ホンダカーズ桶川 CIVICを振り切り、今季初優勝。第3戦は#97 Racer ホンダカーズ桶川 CIVICが、第4戦は#430 エヴァRT初号機 Audi RS3 LMSが制しており、3台が勝利を分け合うシーズンとなっている。
迎える第6戦岡山には、さらに新たな一台が登場することになった。韓国のKMSA MOTORSPORT Nがヒョンデ車でエントリーしたのだ。2023年からTCR Japanで活躍しているチームで、チェ・ジョンウォンがAドライバーとして登録している。クラスをさらに盛り上げてくれるのは間違いなさそうだ。
他のクラスに該当しない、STOが認めた開発車両が参加できるST-Qクラスは、第5戦鈴鹿には7台がエントリーした。ひさびさにORC ROOKIE Racingが2台、MAZDA SPIRIT RACINGが2台を参戦させ、Team SDA Engineering、GR Team SPiRIT、Team HRCからそれぞれ1台ずつが参戦した。
鈴鹿では#28 ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptが燃料系のトラブルで決勝レースを戦うことができず、悔しい一戦となったものの、他の6台はしっかりと完走を果たした。特に、ロボットを使い熟練の技を超える技術を目指したロールケージを組み込んだ#32 ORC ROOKIE GR Yaris DAT conceptは、土曜までトラブルに悩まされていたものの、それを乗り越え決勝を走り切ってみせた。
迎える第6戦岡山では、第7戦富士に向けて車両アップデートを狙っているMAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio concept、そしてORC ROOKIE GR86 CNF Conceptが“お休み”に。4台がエントリーすることになった。
カーボンニュートラル燃料を使いながら速さを増している#12 MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER CNF concept、さらに第3戦オートポリスから登場した#61 SUBARU HighPerformanceX Future Conceptもそろそろ次なる開発に移るか。また#271 Honda CIVIC TYPE R CNF-Rもこのところ若手をドライバーとして起用しており、今回は佐藤蓮が大津弘樹と組む。
また2戦連続の登場となる#32 ORC ROOKIE GR Yaris DAT conceptは、ドライバーラインアップを小変更。ふだん#28 ORC ROOKIE GR86 CNF Conceptをドライブしている豊田大輔が加わっているのも注目だろう。
#2 シンティアム アップル KTMの1台のみの参戦ながら、毎回テーマを設けて戦っているのがST-1クラス。序盤戦こそトラブルが相次いでいたが、第3戦オートポリスから第5戦鈴鹿までトラブルフリーでのレースを続けている。
迎える第6戦岡山も1台のみのエントリーで、ドライバーラインアップも変更はないが、短い3時間レースでどんな戦いをみせるか注目だろう。
第5戦鈴鹿では8台がエントリーしたST-2クラス。公式予選では#6 新菱オートDXL夢住まい館EVO10がポールポジションを獲得し、#225 KTMS GR YARISが2番手につけるが、決勝レースで序盤から快走をみせたのは#95 SPOON リジカラ CIVICだった。
序盤のウエットコンディションで小出峻が快走をみせ、今季初優勝を目指しマージンを築いていた#95 SPOON リジカラ CIVICだったものの、レース中盤で接触を喫し、フロントにダメージを負ってしまった。また#6 新菱オートDXL夢住まい館EVO10もガレージインを喫した。
そんなレースを制したのは、スタート直後すぐにAドライバーハンディキャップを消化し、展開も味方につけた#225 KTMS GR YARIS。2位は#72 OHLINS CIVIC NATS、3位は#13 ENDLESS GRヤリスとなった。
この結果、#225 KTMS GR YARISがランキングでもトップに立ったが、わずか4.50ポイント差で#13 ENDLESS GRヤリスが2位に続いている。また78.50ポイントの#72 OHLINS CIVIC NATSもまだ射程圏内と言えるだろう。第5戦同様8台で争われる第6戦岡山は、シリーズの趨勢を決する一戦となりそうだ。
シーズンを通じてTRACY SPORTS with DELTAの2台のレクサスRC350、OKABEJIDOSHA motorsportの2台の日産フェアレディZによって激しい戦いが展開されているST-3クラスは、第5戦の予選こそ#38 TRACYSPORTS with DELTA RC350 TWSがポール、#39 エアバスター WINMAX RC350 TWSとレクサス優位の状況だったが、レースでは序盤、#15 岡部自動車Z34がリード。#38 TRACYSPORTS with DELTA RC350 TWSと#16 岡部自動車Z34による三つ巴の戦いがレースを大いに盛り上げていった。
しかし、#15 岡部自動車Z34はトラブルを喫しレースは次第に2台のレクサスの争いに。最後は#39 エアバスター WINMAX RC350 TWSが#38 TRACYSPORTS with DELTA RC350 TWSを振り切り今季2勝目を飾ることになった。
第6戦岡山も4台による熾烈な戦いが展開されそう。特に今回はグループ2の上位争いともなり、目が離せそうにない。タイトル争いでは#39 エアバスター WINMAX RC350 TWSが108.00ポイント、#38 TRACYSPORTS with DELTA RC350 TWSが96.00ポイント、#16 岡部自動車Z34が71.00ポイントと続いており、シリーズ争いも白熱しそうだ。
トヨタGR86、マツダ・ロードスターによって争われているST-4クラスは、第5戦鈴鹿での開催がなく、第4戦もてぎ以来のレースとなる。エントリー台数は第4戦もてぎと同様、7台が第6戦岡山に参戦する。
暑さが厳しいレースとなった第4戦もてぎでは、予選で#66 odula TONE MOTUL ROADSTER RFが初めてのポールポジションを獲得してみせたが、レースでは終盤、#3 ENDLESS GR86、#884 シェイドレーシング GR86の激しいトップ争いが展開された。
しかし、チェッカーまで残り2分というところで、それまでトップを守っていた#884 シェイドレーシング GR86を#3 ENDLESS GR86がオーバーテイク。#884 シェイドレーシング GR86はガス欠症状が出てしまい、無念のストップを喫した。
第4戦を制した#3 ENDLESS GR86が99.50ポイントでランキング首位に立っているが、このレースで2位を得た#41 エアバスターWINMAX GR86 EXEDYが同点でランキング2位となっている。#884 シェイドレーシング GR86も80.00ポイントで続いており、第6戦岡山はタイトル争いにとって重要な一戦になるのは間違いないだろう。
毎戦熾烈な戦いがレース序盤から終盤まで展開されているST-5クラスは、第5戦鈴鹿では予選ポールを#65 odula TONE 制動屋 ROADSTERが獲得するも、序盤からフルコースイエローやセーフティカーも相まって目まぐるしく順位が変わっていく。
上位争い、中位争いとも熾烈な戦いが展開されていくが、終盤ふたたびトップに返り咲いたのが#65 odula TONE 制動屋 ROADSTER。#17 DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2をわずか0.833秒差で下し優勝を飾ることに。3位の#88 村上モータースMAZDAロードスターも38.735秒差と、終始僅差のレースが展開された。
迎える第6戦も14台がエントリーする。102.00ポイントを獲得している#17 DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2がランキング首位で、第5戦鈴鹿で表彰台を分け合った3台がランキング上位を占めており、第6戦もこの3台が中心となるか。短い3時間レースではさらに僅差の戦いとなるかもしれない。