4月にスポーツランドSUGOで開幕した ENEOS スーパー耐久シリーズ2024 Empowered by BRIDGESTONEは、長いシーズンを戦い、いよいよ11月16日(土)~17日(日)の2日間、静岡県の富士スピードウェイで今シーズンのラストレースとなる第9戦『S耐ファイナル 富士』を迎える。2024年の締めくくりとしてさまざまなイベントが予定されている“大感謝祭”として行われる。
そんな一戦は、全クラス参加となる9クラス65台が参戦する。第2戦富士SUPER TEC 24時間レースを上回る台数で、盛り上がるレースとなるはずだ。そんな第7戦に受け、9クラスの第6戦を振り返りつつ、最終戦をプレビューしよう。
GT3カーで争われるST-Xクラスは、第6戦岡山では#30 Handwork Challenge SPK GT-Rを含めた6台で争われた。公式予選から他の5台を大きく引き離すスピードをみせたのは、#33 Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3。3時間の決勝レースでは、ドライバーハンディキャップによる1回のドライブスルーで一時後退しながらも、そのスピードで逆転。今季2勝目を飾り、ランキングでも2位に浮上した。
残念ながら岡山では終盤接触によるコースオフもあった#30 Handwork Challenge SPK GT-Rは、スポット参戦だったため第7戦富士はふたたび5台で争われるが、なんと言っても注目はチャンピオン争い。岡山では今季初めて表彰台を逃したものの、123.00ポイントでリードするのが#23 TKRI松永建設AMG GT3。2位に110.00ポイントの#33 Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3、3位は104.50ポイントの#1 中升 ROOKIE AMG GT3、4位は101.00ポイントの#31 DENSO LEXUS RC F GT3と続く。
ST-Xクラスの場合、7戦中6戦の獲得ポイントの多いチームがチャンピオンとなるが、それを考えるとトップ4の差は超僅差。この第7戦の成績がチャンピオン争いにかなり直結するはずだ。ポールポジションに与えられる2ポイントすらも重要になる。公式予選から見逃せない戦いになるはずだ。
最大の激戦区とも言えるST-Zクラスは、第7戦富士には#59 2W Yamaguchi GR Supra GT4 EVOが復帰することから、13台で争われることになる。第6戦岡山では、2位に食い込んだ#52 埼玉 GB GR Supra GT4が、全9クラスのなかで最初に今季のチャンピオンを決めてみせた。
ただ、迎える第7戦富士が“消化レース”になるはずもない。激化しているのはランキング2位争いだ。岡山では苦戦するなか、5位まで追い上げた#22 EBI GROUP Cayman GT4 RS CSがランキング2位、岡山で優勝した#34 TECHNO FIRST R8 LMS GT4が3位、#885 シェイドレーシング GR SUPRA GT4 EVOが4位につける。ただST-Zも7戦中6戦の獲得ポイントで争われることから、優位なのは#34 TECHNO FIRST R8 LMS GT4か。
もちろん他チームも、良いかたちでシーズンを終えることを狙っている。オーバーテイクがしやすい富士でのバトルは必見だ。
第6戦岡山では、スーパー耐久初登場となったKMSA MOTORSPORT Nの#24 ヒョンデ・エラントラN TCRが加わり、4台で争われたST-TCRクラス。レースでは、M&K Racingの2台のRacer ホンダカーズ桶川 CIVICの争いとなったが、#97 Racer ホンダカーズ桶川 CIVICが優勝。#98 Racer ホンダカーズ桶川 CIVICが2位に。#24 ヒョンデ・エラントラN TCRは3位となった。
迎える第7戦富士は、ST-5クラスに参戦していたチームセレクトホテルズグループがホンダ・シビック・タイプR TCRにスイッチ。ST-TCRクラスに挑戦することになった。今シーズン、スーパー耐久の富士でのレースは2回目だが、第2戦富士SUPER TEC 24時間レースではST-TCRクラスの開催はなかった。富士でのツーリングカー同士の戦いは見逃せない。
STMOが認めた開発車両が参加できるST-Qクラスは、第6戦岡山では4台がエントリーした。10月27日(日)午前中のGr.2決勝レースでは、#12 MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER CNF conceptと#61 SUBARU HighPerformanceX Future Conceptが出走。#61 SUBARU HighPerformanceX Future Conceptはエンジン出力アップ等に取り組んだが、トラブルに悩まされる結果となった。
一方、同じくトラブルに見舞われてしまったのが、午後のGr.1決勝に出走した#271 Honda CIVIC TYPE R CNF-R。ただ逆に、第5戦鈴鹿では数々のトラブルに見舞われた#32 ORC ROOKIE GR Yaris DAT conceptは、Gr.1決勝ではドライバーのハーネスが外れるトラブル以外は快走。DATと新ロールケージのパフォーマンスをみせつけている。
迎える第7戦富士は、第2戦富士SUPER TEC 24時間レースと同じく8台ものエントリーを集めることになった。#55 MAZDA SPIRIT RACING MAZDA3 Bio conceptは今回大幅なアップデートが予定されているほか、#61 SUBARU HighPerformanceX Future Conceptも改良が加えられそう。そして第2戦以来の登場となる#230 NISSAN Z NISMO Racing Conceptも注目だ。
また第3戦オートポリス以来の参戦となる#32 ORC ROOKIE Corolla H2 conceptはどんな進歩を遂げているか。また今回、#28 ORC ROOKIE GR86 Future FR conceptは車名が変更されている。こちらもどんな開発が進められているのか、レースウイークを楽しみにしたいところだ。
#2 シンティアム アップル KTMがシーズンを通して戦っているST-1クラスは、チームの願いは残念ながら届かず、最終戦まで1台のエントリーのみに留まってしまうことになった。
第3戦オートポリスからノートラブルの戦いを続けており、給油回数が少ないST-Z車両を“仮想”ライバルとして戦いを続けているが、富士でも狙うは総合順位。ST-Zを上回り、ST-Xを“食う”戦いで今季の集大成を目指しているはずだ。
今季第5戦鈴鹿でシーズン3勝目を飾り、ランキングでも首位に躍り出た#225 KTMS GR YARIS。第6戦岡山でも、安定したスピードとピット作業の速さを武器にトップを快走していたが、#6 新菱オートDXL夢住まい館EVO10が速さと強さをみせ、レース終盤に逆転。今季初優勝を飾った。
迎える第7戦富士も8台がエントリーするが、やはり最大の注目はチャンピオン争い。ランキング首位の#225 KTMS GR YARIS、2位の#13 ENDLESS GRヤリス、さらに3位の#72 OHLINS CIVIC NATSまでがチャンピオンの可能性を残す。
また追われる立場で臨む#225 KTMS GR YARISは、レギュラードライバーふたりがマカオGPに参戦するため、チームもクルマも良く知る平良響がCドライバーとして起用された。
シーズンを通じてTRACY SPORTS with DELTAの2台のレクサスRC350、OKABEJIDOSHA motorsportの2台の日産フェアレディZによって激しい戦いが展開されているのがST-3クラス。第6戦では、そんな戦いを#15 岡部自動車Z34が制することになった。
迎える第7戦富士も4台がエントリーしているが、チャンピオン争いは120.00ポイントの#39 エアバスター WINMAX RC350 TWSと。111.00ポイントの#38 TRACYSPORTS with DELTA RC350 TWSによる2台の争いとなっている。
レースそのものの勝敗とともに、タイトル争いも大きな盛り上がりをみせることになりそうだ。
毎戦熾烈な戦いが展開されるST-4クラスの第6戦は、このクラスにとって歴史的な一戦となった。レースは2年目の挑戦となった#66 odula TONE MOTUL ROADSTER RFが2戦連続ポールポジションを獲得すると、レースでも逃げ切りポール・トゥ・ウイン。トヨタ86/GR86の牙城だったST-4での初優勝を飾った。
迎える第7戦でも第6戦同様7台が参戦することになるが、チャンピオン争いは114.50ポイントの#41 エアバスターWINMAX GR86 EXEDYと111.50ポイントの#3 ENDLESS GR86の一騎討ちとなる。どちらもチーム力、ドライバーラインアップともに互角とも言える。
混戦だけに地元レースの#884 シェイドレーシング GR86、そして速さを増す#66 odula TONE MOTUL ROADSTER RFも交えての優勝争い、チャンピオン争いが見られそうだ。
第6戦岡山では、10月27日(日)午前中のGr.2決勝レースで争われたST-5クラスだが、この一戦はマツダ・ロードスターたちの大激戦となった。ポールポジションからスタートした#88 村上モータースMAZDAロードスターと#120 MAZDA SPIRIT RACING ROADSTER、#27 メイプル広島レーシングMAZDAロードスターによる3台の戦いが展開され、レース終盤までテール・トゥ・ノーズ、サイド・バイ・サイドのバトルが続いた。
多くのファンを魅了した3台のバトルは、#88 村上モータースMAZDAロードスターが制しこれでランキング首位で最終戦に臨むことになった。一方、タイトル争いを展開していた#17 DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2は、公式予選でまさかの転倒を喫していた。
それでも、諦めずひと晩で修復を行い、第6戦岡山は4位でフィニッシュ。第7戦富士では#65 odula TONE 制動屋 ROADSTERとの三つ巴のタイトル争いとなる。ST-5クラスは近年接戦が多く、今回もチェッカーまで見逃せない戦いとなるだろう。