3月22日(土)〜23日(日)の2日間、栃木県のモビリティリゾートもてぎで開幕したENEOS スーパー耐久シリーズ2025 Empowered by BRIDGESTONE。約1ヶ月のインターバルを経て、シリーズは第2戦を迎える。舞台は世界屈指のドライバーズサーキットのひとつである、三重県の鈴鹿サーキットだ。開幕戦とは異なり、今回は参加全クラス混走の5時間レースとして行われる。
そんな一戦は、ST-TCRクラス、ST-2クラスが“お休み”ではあるものの、52台ものエントリーを集めることになった。各クラスの第1戦もてぎを振り返りつつ、第2戦をプレビューしよう。
GT3カーで争われるST-Xクラスは、第1戦もてぎには5台がエントリーした。そのうち、ST-Xクラスに2024年から継続参戦していたのはわずか2台。#101 Hitotsuyama Audi R8 LMS、#666 seven x seven PORSCHE GT3R、#777 D’station Vantage GT3という3台がシリーズ復帰、もしくは初参戦となった。
ST-Xクラスは3月23日(日)に公式予選と決勝レースが行われたが、Aドライバー予選開始早々#777 D’station Vantage GT3がクラッシュしてしまう波乱が起きるなか、速さをみせたのは#666 seven x seven PORSCHE GT3R。AドライバーのBANKCY、Bドライバーの藤波清斗のアタックでポールポジションを獲得すると、決勝レースでもまさに完勝。ポール・トゥ・ウインでスーパー耐久デビューで優勝を飾る華々しい開幕戦となった。
これを追って2位に食い込んだのは#23 TKRI松永建設AMG GT3。一方で3位争いは終盤にドラマが。#101 Hitotsuyama Audi R8 LMSが#31 DENSO LEXUS RC F GT3をかわし3番手につけていたが、ファイナルラップにまさかのストップ。#31 DENSO LEXUS RC F GT3が表彰台の一角を獲得している。
迎える第2戦鈴鹿は、第1戦に参戦した5台に加え、2024年には優勝を飾るなどシリーズを盛り上げた#33 Craft-Bamboo Racing Mercedes-AMG GT3がシリーズに復帰。6台で争われることになった。タイトルを争う活躍をみせた強豪だけに、今季も強力な存在となりそうだ。
そんな鈴鹿だが、本命の一台とも言えるのが#31 DENSO LEXUS RC F GT3。2024年も優勝を飾るなど、車両特性上得意コースなのは間違いない。また、#777 D’station Vantage GT3にとっても鈴鹿は得意コース。2024年はSUPER GTで圧勝を飾ったほか、2019年にはスーパー耐久開幕戦を制し、アストンマーティン・ヴァンテージAMR GT3の世界初勝利を飾った思い出の地だ。
もちろんライバルたちも5時間という長丁場を活かし優勝を狙っているはず。第2戦のST-Xクラスはまったく予想がつかない戦いとなりそうだ。
GT4カーで争われるST-Zクラスは、第1戦もてぎには11台がエントリーした。変則的な2レース制で争われたが、土曜のレース1ではポールポジションからスタートした#52 埼玉 GB GR Supra GT4 EVO2がリードするも、強さをみせたのは2台のraffine 日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4。26号車が逃げ切り今季開幕戦を制すると、25号車が2位に。TEAM ZEROONEにとって嬉しい初のワン・ツー・フィニッシュを飾った。#52 埼玉 GB GR Supra GT4 EVO2は、リヤバンパーが外れるトラブルに見舞われるが3位に食い込んでいる。
翌23日に行われたレース2では、前日3位に終わっていた#52 埼玉 GB GR Supra GT4 EVO2が予選クラス最後尾スタートだったものの追い上げをみせ終盤にはトップに浮上。今季初優勝を飾った。2番手には26号車raffine 日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4がつけていたものの、終盤燃料が足りずスプラッシュのピットインを行うことに。ポールポジションスタートだった#885 シェイドレーシング GR Supra GT4 EVO2が2位、26号車raffine 日産メカニックチャレンジZ NISMO GT4が3位となった。
迎える第2戦鈴鹿は、1台が増え12台がエントリーしている。その注目の一台は、中国人ドライバークルーが乗り込むPrime Racingの#315 Toyota GR Supra GT4。中でもCドライバーのSHI WEIは、F1アカデミーにも参加した経験がある女性ドライバー。近年はスーパー耐久でも女性の活躍が目立っているが、どんな走りをみせてくれるか。
もてぎでは国産車の活躍が目立ったST-Zクラスだが、第2戦に向けて期待したいのは2024年のウイナーである#22 EBI GROUP Cayman GT4 RS CS。第1戦ではレース1でまさかの火災に見舞われてしまったが、対策も進められており、復活を期待したいところ。2024年の鈴鹿大会で2位に入った#34 TECHNO FIRST FUNDINNO R8 LMS GT4も注目の存在だろう。
他のクラスに該当しない、STOが認めた開発車両が参加できるST-Qクラスは、第1戦もてぎについては1台がエントリー。GR Team SPiRITの#104 GR Yaris DAT Racing Conceptがレース2でST-2クラスと競り合いながらきっちりと総合19位でフィニッシュを果たした。
迎える第2戦は、#12 MAZDA SPIRIT RACING RS Future concept、#55 MAZDA SPIRIT RACING 3 Future concept、さらに#61 SUBARU HighPerformanceX Future Conceptが今シーズン初登場。#104 GR Yaris DAT Racing Conceptを加え4台が参戦することになった。
#12 MAZDA SPIRIT RACING RS Future conceptはカーボンニュートラルフューエルを使用するほか、将来のスポーツカー開発に向けた取り組みも行われる。また#55 MAZDA SPIRIT RACING 3 Future conceptはリニューアブルディーゼル燃料(HVO)を継続使用する予定だ。2台ともこれまで着実に速さを増してきており、どんなポテンシャルをみせるか。
2024年にデビューした#61 SUBARU HighPerformanceX Future Conceptも、昨年着実に速さを増してきた一台。水平対向ターボエンジンやAWDといったスバルが誇る技術が今年もサーキットで鍛えられていくはずだ。
2025年は#47 D'station Porsche 992が参戦を開始し、#2 シンティアム アップル KTMとの戦いが展開されているST-1クラス。開幕戦から2台の争いは注目が集まったが、3月23日(日)のレース2では、序盤から#2 シンティアム アップル KTMがリード。チームがもうひとつの目標に掲げるST-Z車両を先行する走りをみせ、5連覇に向けて幸先の良い勝利を飾った。
ただ#47 D'station Porsche 992は復帰初戦。特にレース終盤は速さをみせており、#2 シンティアム アップル KTMのドライバーたちも警戒をみせた。第2戦鈴鹿はどんなレースが展開されるだろうか。
OKABEJIDOSHA motorsportの2台の日産フェアレディZ、TRACY SPORTS with DELTAの2台のレクサスRC350による戦いが展開されているST-3クラスは、2025年も開幕戦から僅差の争いが展開された。3月23日(日)のレース2公式予選では、#39 エアバスター WINMAX RC350 TWSがポールポジションを獲得。#15 岡部自動車フェアレディZ34、#16 岡部自動車フェアレディZ34の2台が続いた。
決勝レースでも接戦が展開されてきたが、#15 岡部自動車フェアレディZ34はコースオフ、トラブルで後退してしまうことに。そんな状況を後目に、#39 エアバスター WINMAX RC350 TWSが開幕戦を制することになった。2位は#16 岡部自動車フェアレディZ34、3位は#38 TRACYSPORTS with DELTA RC350 TWSとなった。
迎える第2戦鈴鹿も4台が争うことになる。もてぎとはコース特性が異なる鈴鹿だけに、勢力図がどう変化するか楽しみなところだ。
今シーズンも熾烈な戦いが予想されるST-4クラスは、第1戦もてぎには8台が参戦した。中には今季から登場した#37 DXLパワーミネラルEVO☆NOPRO☆NCロードスター、#290 AutoLabo Racingといった今後が楽しみなマシンも登場している。
そんなST-4クラスは、第1戦もてぎでは土曜のレース1、日曜のレース2と2日間予選・決勝をこなすことになった。レース1では、#41 エナジーハイドロゲン EXEDY GR86と#884 シェイドレーシング GR86が終盤熾烈な争いを展開。わずか0.522秒差で#884 シェイドレーシング GR86がレース1を制し、#41 エナジーハイドロゲン EXEDY GR86が2位に。#3 ENDLESS GR86が3位に食い込む結果となった。
翌日のレース2も#41 エナジーハイドロゲン EXEDY GR86と#884 シェイドレーシング GR86、さらに#66 odula TONE MOTUL ROADSTER RFも交えた戦いが展開されたが、終盤には上位陣がスプラッシュの給油を行い、相次いで首位が入れ替わる展開に。そんな争いを制した#884 シェイドレーシング GR86が連勝を飾り、2位に#41 エナジーハイドロゲン EXEDY GR86、3位に#3 ENDLESS GR86と、トップ3はレース1と同じ顔ぶれとなった。
迎える第2戦も、エントリー台数は第1戦と同じく9台。今回も接戦になるのは間違いない。GR86勢に他車種がどれほど迫っていくかも楽しみだ。
2025年から前輪駆動車のクラスとして定められたST-5Fクラスは、第1戦もてぎには8台が参戦した。豊富な車種バラエティ、接戦と魅力あふれるクラスだが、第1戦もてぎではレース1で争われ、#67 YAMATO FITがポール・トゥ・ウイン。TEAM YAMATOが創部60周年の記念すべき年の開幕戦を制した。2位は#4 THE BRIDE FIT、3位は#17 DXLアラゴスタNOPRO☆MAZDA2という結果となった。
迎える第2戦鈴鹿は、#291 AutoLabo Racing 素ヤリスがエントリーせず7台の戦いとなるが、ST-5Rクラスも交えて今回も見どころあふれるレースとなるはずだ。
2025年から後輪駆動車のクラスとして定められたST-5Rクラスは、第1戦もてぎには7台が参戦。全車がマツダ・ロードスターという顔ぶれとなった。2024年のST-5クラスでもチャンピオンを争った強豪が揃うクラスだが、#88 村上モータースMAZDAロードスターがポール・トゥ・ウインを決めている。2位は#27 Maple Hiroshima MAZDA ROADSTER、3位は#610 KOSHIDO RACING ロードスターという結果となった。
迎える第2戦鈴鹿は、これまでもスーパー耐久に参戦を続けてきた#50 LOVEDRIVE ロードスターが登場。8台のエントリーとなっている。第1戦を制した#88 村上モータースMAZDAロードスターに待ったをかけるのはどのチームになるだろうか。