《プレビュー》ピレリスーパー耐久シリーズ2018 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース

May 25, 2018

ピレリスーパー耐久シリーズ2018 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース プレビュー
待ちに待った24時間レース、どんなドラマが待ち構えるか?

ついに「富士24時間」が開催される。富士スピードウェイでは50年ぶり、国内レースとしても「十勝24時間」以来、10年ぶりの24時間レースとなるだけに、当時と何か比較することは、ほとんど不可能だろう。 50年前は当然のこととして、10年前だとしても、あの頃はまだFIA-GT3も登場しておらず、出場する車両も大きく入れ替わった。今も走り続けるのは、ランサーエボXとインテグラ、そしてフェアレディZ33ぐらいであるだけに…。

 

大きなトラブルが発生しないと予想する、その理由

「十勝24時間」最後の戦いになった、2008年の第15大会ではリタイアはわずか1台と、あの頃から車両の信頼性は高くなっていたが、今はそれ以上のはず。当時よりも、吟味されたパーツの装着が許されているからだ。おそらくメカトラブルは、そう発生しないものと予想される。

その理由はもうふたつあって、まずひとつは20時間経過時までに8分間のメンテナンスタイムが2回義務づけられていること。その間に交換しなくてはならない、あるいは壊れそうなパーツを交換できるからだ。これはかつての24時間レースにはなかったこと。そして、もうひとつは大半のドライバー、チームにとって初めての24時間レースになるため、慎重にならざるを得ないということがある。データや経験がないためだ。今年のデータが、来年以降のレースをよりヒートアップさせるかもしれないが。

コース上のレーシングアクシデントに関しても、それほど心配する必要はないだろう。近頃のスーパー耐久はマナー向上が著しく、不用意な接触やフラッグ無視のペナルティが激減。また、異なるクラスに対する配慮も際立つようになってきた。コースの大半が照らされ、またLEDパネル式シグナルの全ポスト設置で視認性も向上。「十勝24時間」にはコース照明がなく、コースサイドに反射板が置かれる程度だったが、それでも最後の方は目立ったアクシデントが発生しなかったのだから、それほどハラハラするような光景はないと予想…したい。

 

ST-Xクラスこそ、24時間レースの経験が大いに活かされる!?

ここからはクラスごとの話題に移ろう。まずST-Xクラスのエントリーは7台。その中に、#24 スリーボンド日産自動車大学校GT-Rがいないのは、いたって残念ではある。エースドライバーの藤井誠暢はデイトナやドバイなど、さまざまな24時間レースに出場しているだけに、その経験をもってしてチームを牽引して欲しかったが、スタッフの大半を占める学生たちを深夜まで起用できないのが欠場の理由と聞いただけに、やむを得まい。

バトルの核を成すのは、#3 ENDLESS GT-Rと#99 Y’s distraction GT-R、そして#777 D’station Porscheではないだろうか。と言うと、「いつもと変わらないではないか」という声もあるだろうが、根拠として24時間レースの経験を、チームが持っていることを挙げたい。ENDLESS SPORTSとGTNET MOTOR SPORTSは、かつての「十勝24時間」を、そしてD’station Racingは「ドバイ24時間」を、しかも今年戦ったことがある。少なからぬノウハウが、積極的にレースを進めさせるのではないか。その意味で言うと、今回も(やはり、いつもと…言われそうだが)アジアから襲来のアウディ3台は未知数であり、逆に言うとダークホースにもなりそうだ。

さて、富士のスーパー耐久「SUPER TEC」は24時間レースとなる前から、長丁場ということもあって、豪華な助っ人の参加が話題となってきたが、ST-Xクラスではまず、#3 ENDLESS GT-Rが砂子塾長と山田真之亮を加えている。砂子と言えば、かつての「ミスターGT-R」。最後の「十勝24時間」が開催された08年を限りに現役を退き、今年になってブランパンGTアジアにフル参戦するなど活動を再開したとはいえ、公式テストではブランクを一切感じさせない走りを披露し、「たいしたもんだよ、俺は。久しぶりなのに、そこそこ走っちゃうんだから(笑)」と当時と変わらぬ威勢を感じさせてくれた一方で、「もちろん、前回でエイヤ〜っていうのは24時間レースではダメだから、あくまでもパーツのひとつに徹するよ」とも。語録も機会があればお届けしたい。

また、#99 Y’s distraction GTNET GT-Rには安田裕信が。やはり、かつての十勝24時間では、スポット参戦ながらいい仕事をしたドライバーであるだけに、今回も期待がかかる。

 

唯一、トラブルが心配されるST-TCRクラスであるが…

ST-TCRクラスに関しては、まず助っ人のクローズアップから。昨年のSUPER TECに引き続き、脇阪寿一が#10 Racingline PERFORMANCE GOLF TCRに乗り込むこととなる。そして、#65 L&JR Mars Audi RS3 LMSには砂子同様、スーパー耐久レジェンドの吉田寿博が加わる。ふたりともメーカー色は極めて強いドライバーであるが、あえて輸入車を操ることで、何か企んでいる気配は濃厚。どんどんノウハウを盗んで反映させてほしいものだ。

ただ、このクラスで一番気になるのは、TCRという車両がもともと耐久レースで使われることを前提としていないことだ。実際、昨年からレース中にトラブルを抱えることも多く、完走率が心配だ。「ドバイ24時間」や「セパン12時間」では、しっかり完走しているではないかという意見もあるかもしれないが、ああいった類のレースにはエンデュランスパッケージが、オーガナイザー公認レースではないため、装着されているとされ、逆に公認レースであるスーパー耐久では装着が認められていない。

そういった視点であえて見れば、ここまでの2戦の#97 Modulo CIVIC TCRの安定感には特筆すべきものもある。今回も優勝候補としてもいいのではないだろうか。

 

FIA-GT4が、スーパー耐久初登場! そのレースでのポテンシャルは?

今回、ついにST-Zクラスが1台だけとはいえ、成立するのも話題のひとつだ。公式テストレポートにも書いたが、DIAMANGO Cayman、ポルシェ ケイマンGT4が登場する。ST-1クラスとST-TCRクラスの中間のポテンシャルではないかとの予想ながら、実際にレースを戦ってみると、どうなのか気になるところでもある。ジェントルマンをターゲットとした、いたって扱いやすい車両ということもあって、今回の結果次第では導入を考えるチームも現れるのではないか? まさにお手並み拝見である。

ST-1クラスは、#31 Nissoku Porsche GT3が今回もこのクラスからの出場で、またしても一騎討ちを楽しむことができそうだ。もっとも、それは我々見る立場からの興味であって、それぞれバトルを意識せずに走り続けるだろう。24時間にもわたる長丁場を完走すれば、ジェントルマンドライバーたちのスキルは著しく向上しているはず。今後が楽しみである。

 

全勝目指すWRXは24時間レースでも強い? いよいよ本領発揮かアクセラ!

4台が挑むST-2クラスでは、全勝で6連覇達成を公言してはばからない、#59 DAMD MOTUL ED WRX STIがここ2戦の展開を見るだけでも、優勝候補の筆頭といえよう。トラブルを抱えても致命傷とせず、しっかり連勝を果たしているからだ。しかし、宿敵である#6 新菱オート☆DIXCELエボXはトラブル続きであっても、こういう大一番に強いのが過去の例からも明らか。あっと言わせるような展開を見せてくれる可能性は、大いにありそうだ。

ダークホースは、もう#17 DXLアラゴスタNOPROアクセラSKY-Dをもって他にない。4WD勢に速さでは及ばなくても、まずは高燃費が最大の武器となる。タフネスぶりには定評があり、なによりチーム自体がこのレースを最大のターゲットにしているだけに、今回こそ「気がつけば…」のレースにしてくれるのではないだろうか。

 

装いも一新、エヴァRTのZ、富士でも快進撃なるか?

ST-3クラスいちばんの話題は、なんといってもOKABE JIDOSHA motorsportのZ34が、2台ともエヴァンゲリオンカラーで彩られることだ。#15 岡部自動車T-MAN Z34改め、#15 エヴァRT初号機 岡部自動車Z34は、前回のSUGOで久々の優勝を飾って勢い十分。今のZ34のポテンシャルが富士にもマッチすれば、連勝も決して夢ではない。また、このチームも「十勝24時間」の経験を持つだけに、いきなり積極的な戦いに討って出そうだ。

そして「SUPER TEC」に絶対の強さを誇り、ここまで3年連続優勝を果たしている、#62 DENSO Le Beausset RC350は、なんと助っ人に石浦宏明、平手晃平を招き、ドリームチームと言われるほどのラインアップで挑む。ドライバーラインアップに隙はないだけに、ここは確実に行く、というレースは絶対にしないはずだ。

開幕戦を制した#38 muta Racing ADVICS IS350 TWSは、あえての3人体制。レギュラーの堀田誠と阪口良平、さらに新田守男を加えて挑むが、どうしても他のチームより、ひとりの負担は大きくなる。それを承知の上で挑む戦いを注目したい。

 

24時間レースの経験豊富な、TOM’S SPIRIT 86には絶対に負けられない戦いになる

昨年の第2戦以来、ST-4クラスで快進撃が続く#86 TOM’S SPIRIT 86は、まずは7連勝を狙う。ただでさえ強いチームである上に、十勝、スパ、ニュル、そしてル・マンと、ありとあらゆる24時間を戦ってきたチームの経験値は高い。おそらく抑えのレースなど、しないに違いない。

対抗馬として挙げられるのは、中山友貴を助っ人に加えた#13 ENDLESS 86、大嶋和也と飯田章を助っ人に加えた#29 T’S CONCEPT小倉クラッチ86、そして国本雄資を助っ人に加えた#884 林テレンプSHADE RACING 86か。また、ラリーで長丁場、ナイトセッションの戦い方にノウハウを持つ#77 CUSCO RACING 86も、見逃せないところ。いずれも、そろそろ#86 TOM’S SPIRIT 86を止めないことには、目覚めも悪かろう。

また、ここはエンジンパフォーマンスの高さが何よりモノを言う富士である。ホンダ勢の第逆襲にも期待がかかる。トラブルにさえ見舞われなければ、そろそろ#58 ウィンマックステインワコーズDC5☆KRPが来るのでは、という願望も含め。またスポット参戦の#999 えんとつ町のプペルGLORY FN2も、そのカラーリングで話題を集めそうだが、それ以上の活躍に期待したいところである。

 

富士だからこそ勝つ! FIT勢が積極的なレースを見せる

前回のSUGOではFIT3の逆襲が見られたST-5クラスは、パワーサーキットの富士とあって、今回もロードスターと互角以上の戦いを繰り広げそうだ。このクラスで24時間レースの経験が最も豊富なのは、#69 J’S RACING Moty’s 制動屋FIT。チームは「十勝24時間」を戦った経験があり、代表でもある梅本純一も「ニュルブルクリンク24時間」を戦ってきたばかりであるからだ。ウエイトに苦しんでいない強みも、きっと活きてくることだろう。一方、どういうわけか展開に恵まれずにいる、#4 THE BRIDE FITも持ち前のスピードを最後まで維持できれば、最後に笑みがこぼれるはずだ。

逆に、開幕戦を制している#2 TEAM221ロードスターは、25kgのウエイトがどう影響をもたらすか。たかが25kgでも非力なこのクラスでは、ボディジャブのようにじわりじわりと効いてこなければいいのだが。連覇を目指す、#88 村上モータースMAZDAロードスターは、大量得点可能なレースで巻き返しをはかろうと誓っているに違いない。

そしてST-2クラスのアクセラ同様、ディーゼルエンジンのメリットが活きるような展開となれば、#37 DXLワコーズNOPROデミオSKY-Dは、今回のレース最大のダークホース。第2戦でこそトラブルに見舞われたものの、だからこそ…の想いはきっと強いはずだ。

 

(はた☆なおゆき)

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