《決勝レポート・パート1》ピレリスーパー耐久シリーズ2018 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース

June 6, 2018

ピレリスーパー耐久シリーズ2018 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース 決勝レポート・パート1
富士24時間のST-Xクラス、その激戦ぶりをここに記す

あらゆる意味で、久々の開催となった24時間レースは、ただでさえ長丁場とあって激戦の連続で、さまざまなドラマを生み出した。
その詳細を一度に記したのでは、かなり食傷気味になってしまうのでは。
そこで3回に分けて詳報をお届けしたい。

パート1は、総合優勝を競い合ったST-Xクラスから!

 

 

ENDLESS GT-Rが逃げ続けていた決勝レース序盤

決勝レースで序盤のリーダーとなったのは、#3 ENDLESS GT-Rだった。
ポールポジションを獲得した勢いそのままに、山内英輝が好スタートを切って、#99 Y’s distraction GTNET GT-Rの藤波清斗を寄せつけず、まずは1コーナーへのホールショットを決めていた。
だが、藤波も負けてはおらず、オープニングの1周で1秒7の差をつけられたものの、すぐに現れたバックマーカーを利用して差を詰め、やがて山内との一騎討ちを演じるようになる。

一方、3番手からスタートを切っていた、#244 MAX RACING RC Fの田中哲也は大事をとったのか、1周目こそひとつ順位を落とすに留まったものの、2周目には7番手に後退。
マイペースで周回を重ねようということなのだろう。
これにより、3番手には#777 D’station Porscheの荒聖治がつけ、その背後には3台のアウディR8勢が続くこととなる。

バックマーカーも最初は不意をつかれた格好で、トップを恐る恐る避けていたが、これが繰り返されると慎重に…。
山内がリードを広げ始めた、その時だ。
15周目の1コーナーでブレーキをロックさせた、#82 Phoenix Racing Asia R8のアレックス・ユーンが、周回遅れになったばかりのST-2クラスのトップ、#59 DAMD MOTUL ED WRX STIとTボーンクラッシュ!
その行為自体はアクシデントだからやむなしとして、その後の行為は目に余るものがあった。
2コーナーで止まったマシンから降りて、損傷した部分を自ら直そうとしたり、どうにもならないと思ったのか、その後は避難せずクラッシュパッドに座り込む有様。
結局、再始動できず、#82 Phoenix Racing Asia R8はリタイア第1号となる。

これで最初のセーフティカーランが実施され、約10分後にバトルは再開。
間に2台のクラス違いを挟んでいたこともあり、山内はリスタートだけで藤波を7秒も引き離し、その後は感覚をほぼ保って周回を重ねていく。
一方、藤波はSC前に荒をかわしていた#81 J-Fly Racing R8の川端伸太朗に迫られるようになり、応戦一方。
しかし、川端には黄旗追い越しの30秒ストップペナルティが課せられ、42周目にピットロードへ向かうことに。
これでだいぶ楽になった藤波だったが、すでにトップの山内は10秒近く先を進んでいた。

それから間もなく、1時間30分を経過しようとしていたことから、上位陣は45〜46周目に揃ってピットイン。
最初のドライバー交代を行い、#3 ENDLESS GT-Rは銘苅翼に、そして#99 Y’s distraction GTNET GT-Rは星野一樹に代わるも、ポジションは変わらず。
代わったのは3番手で、#777 D’station Porscheの星野敏が3番手に浮上する。
このポジションはしばらくそのままだったが、#3 ENDLESS GT-Rは一足早くYUKE TANIGUCHIへの交代を行なったため、91周目からは#99 Y’s distraction GTNET GT-Rがトップに浮上。
だが、星野一樹は十分なマージンを作るまでには至らず、94周目の浜野彰彦への交代後は、再び#3 ENDLESS GT-Rがトップを走ることとなる。

スタートから3時間30分を経過した、18時30分からナイトセッションが開始。
徐々にあたりは夕闇に包まれるようになっていく。
そんな中、近藤翼が3番手を走行していた#777 D’station Porscheにトラブルが発生。
118周目の100Rで追突されてコースアウト、それだけならばロスは最小限で済んだはずだが、偶発的にミッションにも影響を及ぼし、制御系の関係なのか、やがてエンジンもかからぬように。なんとか再起動できた時には、大きな遅れを背負う羽目となっていた。

 

 

先手先手の展開が、やがてY’s distraction GTNET GT-Rに福音をもたらすことに

一方、4時間を経過したばかりの135周目に、#3 ENDLESS GT-Rは再び山内にバトンタッチ。
次の周には#99 Y’s distraction GTNET GT-Rも、安田裕信に交代する。
交代前は15秒ほどだった間隔が次第に広がっていたのは、山内が2回目のドライブだったこともあるのだろう。
一時は30秒近くもあったが、これが水の泡と化す。
というのも、#3 ENDLESS GT-Rは銘苅翼に181周目に交代したが、その直後にダンロップコーナー脇に留まった車両があって、184周目からFCYの実施となったからだ。

もっとも、これだけならば実質差は詰まらないものの、短時間では終わらないとの判断から、すぐにSCランに切り替えられた。
その直前に安田はピットに入って、藤波と交代。

しかも、リスタート時に藤波と銘苅の間には、クラスの異なる車両が14台もいたから、形成は大きく逆転。
#99 Y’s distraction GTNET GT-Rは30秒近いリードを奪うことに! 
この位置関係は、しばらくの間続いていくことになる。
ポジションに変動があったのは、8時間経過後の277周目。
#99 Y’s distraction GTNET GT-Rが星野一樹との交代に併せ、最初のメンテナンスタイムを行なったからだ。これで3番手に後退し、峰尾恭輔から代わったばかりの山内が再びトップに立って、2番手には#83 Phoenix Racing Asia R8のマックス・ホファーが浮上する。
この位置関係もまた、ドライバー交代が行われても、しばらく続いていく。

深夜になって、3度目のSCが。
レクサスコーナー立ち上がりでST-4クラスと#13 ENDLESS 86と、ST-TCRクラスの#10 Racingline PERFORMANCE GOLF TCRがストップしていたからだ。
ドライバーは両者ともに大事には及ばずとも、マシンのダメージは大きく、即座に赤旗が出されることに。
レース再開までに45分ほどを要してしまう。

再開から間もなく折り返しとなる12時間目を迎え、依然としてトップは#3 ENDLESS GT-R。
ナイトセッションが終了して、あたりもすっかり明るくなって14時間を経過した頃、レースは一気に動いた。
メンテナンスタイムを終えたばかりの山田真之亮がコースに戻ると、左フロントのフェンダーから白煙が上がり、それがどんどん酷くなっていく。
そして465周目に緊急ピットイン! 
予期せぬトラブルに見舞われ、ピットで長い修復を要することに。
独走から一転、#3 ENDLESS GT-Rはトップ争いから脱落する…。

これで#83 Phoenix Racing Asia R8がトップに浮上するが、ここまでまだ一度もメンテナンスタイムを行なっていない。
そればかりか、565周目にジェントルマンドライバーのリム・ケオンウィーが自ピットを離れるボーンヘッドも。
規定で定められたメンテナンスタイムを20時間目の寸前でようやく行うと、トップに立っていたのは、もちろん2回目のメンテナンスを済ませていた、#99 Y’s distraction GTNET GT-Rだった。
その時ドライブしていた藤波が、にんまり笑顔を浮かべていたのが容易に想像できる。
すでに後続との差は2周以上に広がり、もう無理をする必要は限りなくなかった。

 

 

ラスト2時間を切って、D’station Porscheに再び不運が・・・

650周目から星野一樹がドライブし、そして少々早めではあったものの671周目から乗り込んだ浜野は、クルージングを楽しむ予定だったに違いない。
ところが、その直後にエンジンから火を吹き、コカコーラコーナーで止めた車両が。
2コーナー立ち上がりから、激しくオイルが撒かれたため、2度目の赤旗が出されてしまう。中断は30分以上に及ぶ。
再開後もトップは、もちろん#99 Y’s distraction GTNET GT-Rで、2番手は#83 Phoenix Racing Asia R8。
だが、705周目のドライバー交代直後に#3 ENDLESS GT-Rと接触し、その際に足回りを痛めたばかりか、その行為に対してペナルティが課せられてしまう。
これで#777 D’station Porscheが2番手に返り咲くも、元嶋佑弥が712周目のダンロップコーナー手前で突然ストップ! 
なんの予兆もなくエンジンが生き絶えてしまったのだ。

ライバルはもはや満身創痍状態の中、#99 Y’s distraction GTNET GT-Rとて明け方の接触で左フロントのフェンダーを痛めていたものの、走行に支障が生じるまでに至らなかったのは、勝利の女神にずっと守られていたからなのだろう。

ゴールまであと1時間13分となった718周目に、このレース最大の功労者ともなった藤波にバトンが託される。
そして、スタートから24時間が経過した759周目にチェッカーが振られ、#99 Y’s distraction GTNET GT-Rが今シーズン2勝目をマークすることとなった。2位は#83 Phoenix Racing Asia R8が、3位は#81 J-Fly Racing R8が獲得。
最後まで目立ったところはなかったものの、#244 MAX RACING RC Fがしっかり完走を果たして、4位でフィニッシュした。
この勝利で#99 Y’s distraction GTNET GT-Rは、ランキングのトップ返り咲きを果たすことともなった。

 

 

ST-Xクラスウィナー #99 Y’s distraction GTNET GT-R 

 

《浜野彰彦》
「本当に嬉しいです、チームが良くしてくれたおかげです。
一樹も清斗も、安田くんにも親切にしてもらって、みんなで力を勝てたっていうのは本当に嬉しい!
僕にも24時間の経験はあったけど、やっぱりGT3の経験がなかったので、不安はあったんですが、そこらへんをカバーしてくれて、本当に助かりました。
ありがとうございます。
GT3に乗り始めて間もないのに、3戦2勝っていうのはヤバイですよね!」

《星野一樹》
「フェンダーは途中、僕の明け方のスティントの時に、僕のことを見てなかったクルマが当たってきた時のダメージです。
それよりもスタートのスティントぐらいから、ずっとクラッチのトラブルを抱えていて、本当にだましだまし走っていて…。
絶対いつか止まると思って走っていたんです。
それを最後まで保たせながら走りきれたってことが信じられないし、それが本当にもうすべてです。
スタートスティントから少し出始めていて、途中からそれがなくなったり、また出たりしていたので、本当に心配でした。
それにしてもすごく嬉しいですよ、24時間の勝利は! 
ニュルには何回も出て打ちのめされていたので、その経験を生かして、富士24時間を勝ちたかったので、すごく嬉しいですね。
チームみんなで本当に、全員で勝ち取りました!」

《藤波清斗》
「24時間レースに出るのは、本当に初めてだし、勝てるとは思わなかったんで、本当に嬉しいです。
今回も僕は10時間近く走ったので、本当にきつかったです。
でも、みんなが過去に24時間レースを経験しているので、その経験をしっかり教えてもらって、僕は言われた仕事をしっかりやるだけだったので。
チームはいいクルマを作ってくれて、そしてみんな、先輩方にいろんなアドバイスをいただけて、そのおかげで今回勝てたので、本当に感謝しています」

《安田裕信》
「前にも一度このチームには参加させてもらって、その時はリタイアだったんですけど、今回は優勝できてよかったです。
夜しか走っていないんですけど、貢献できたかな、と。 練習からずっと夜勤担当だったんですが、接触もせず走れました。
今回、藤波がすごくいっぱい乗ってくれて。 彼の実力はずっと知っていたんですが、今回ちゃんと結果を残してくれました。
彼はカートの頃から面倒を見ていたので、とても嬉しかったです」

(次回はグループ1編です)

(はた☆なおゆき)

 

 

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