《決勝レポート・パート2》ピレリスーパー耐久シリーズ2018 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース

June 6, 2018

ピレリスーパー耐久シリーズ2018 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース 決勝レポート・パート2
シナリオどおりの展開が、ほとんどなかったグループ1

パート2としてお届けするのは、ST-Xクラスを除くグループ1のレース展開だ。

開幕3連勝を狙ったチームもあれば、SUPER TECの3年連続優勝チームもあり、それぞれ本命視されていたにも関わらず、予想外の展開が…。
もちろん、孤軍奮闘のクラスにも、ドラマは起こっていた。

 

スタートから30分間で、連勝の夢を絶たれたDAMD MOTUL ED WRX STI・・・

午後3時のスタートを間近に控え、2台がピットスタートを強いられていた。
1台はST-TCRクラスの#19 BRP★Audi Mie RS3 LMSで、もう1台はST-Zクラスの#51 DIAMANGO Caymanだった。
それぞれ電気系のトラブルで、エンジンがかからず。
しかし、#51 DIAMNGO Caymanは、原因がバッテリーにあることが分かり、スタートと同時にピットを離れて戦線に加わったのに対し、コンピュータに問題のあった#19 BRP★Audi Mie RS3 LMSの方はより深刻で、ピットを離れられたのはスタートから約30分経過したところだった。

ST-Xクラス勢に続くグループ1のリーダーは順当に、ST-1クラスの#47 D’station Porsche cupで、星野辰也がスタートを担当。
これに続いたのは、ST-TCRクラスのポールポジションからスタートした#65 L&JR Mars RS3 LMSの今村大輔で、背後に2台のシビック、#98 FLORAL CIVIC TCRの加藤寛規、#97 Modulo CIVIC TCRの大津弘樹を置く格好から、レース開始となった。
一方、ST-3クラスではいきなり#68 埼玉トヨペットGreen Brave GR SPORTマークXの脇阪薫一、#14 エヴァRT弐号機岡部自動車Z34のつば競り合いから開始されていたのに対し、ST-2クラスでは#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの大澤学が、ライバルを早々に引き離しにかかっていた。

長いレースだけに、スタートから間もなくは様子見といった印象も強かったが、その中で一際目立っていたのがST-3クラスの#62 DENSO Le Beausset RC350を駆る宮田莉朋だった。
予選3番手ながら、オープニングラップのうちに#38 muta Racing IS350 TWSの阪口良平の先行を許すも、6周目には3番手に浮上。
その後も阪口を追い回したからだ。

ただし、バトルらしいバトルはそのぐらいという状況において、スタートから30分と経たずに最初のアクシデントが発生する。
それが#59 DAMD MOTUL ED WRX STIを襲ったスカッドミサイル。
しかし、片や早々にリタイアを余儀なくされたのに対し、#59 DAMD MOTUL ED WRX STIはピットに戻ることができ、右ボディサイドにダメージを負っていたが、足回りには影響が及んでいなかったのは不幸中の幸いだった。
移動車のドアを外して交換。しかし、この修復に10周ほどの遅れを抱え、トップを#6 新菱オート☆DIXCELエボXの大橋正澄に明け渡すこととなる。

 

 

いきなり勝利の女神が微笑んだ、埼玉トヨペットGreen Brave GR SPORTマークX

また、このアクシデントによって32分目から約10分のセーフティカーランが実施されたが、その恩恵を受ける格好となっていたのが、#68 埼玉トヨペットGreen Brave GR SPORTマークXで、総合トップの車両の前に入ったSCの前にいたことによって、さっそく後続に1周のマージンを得ていたからだ。
リスタートから4周後に宮田が阪口を抜いて、2番手に浮上するも、トップに迫るのはしばらく先ということになってしまう。

この後しばらくはこう着状態が続くも、そのST-3クラスでトップが入れ替わる。
左リヤタイヤに違和感を覚えた#68 埼玉トヨペットGreen Brave GR SPORTマークXが、早めのピットストップを行なったからだ。
幸い、ことなきは得たものの、これで#62 DENSO Le Beausset RC350がトップに躍り出る。
とはいえ、この2台はその後のドライバー交代を行なってなお、接近戦を続けており、早くも一騎討ちになったことだけが明らかになる。

ST-TCRクラスでは順調にトップを走り続けていた、#65 L&JR Mars Audi RS3 LMSだったが、ピットロードの速度超過があり、68周目にドライビングスルーペナルティを余儀なくされる。
これにより#98 FLORAL CIVIC TCRがトップに浮上。
一方、#65 L&JR Mars Audi RS3 LMSはいったん4番手にまで下がったものの、6時30分からのナイトセッション突入時には、トップを奪い返していた。

そのST-TCRクラスにはナイトセッションになって、いくつもの動きが生じていた。
まず3番手を走行していた#97 Modulo CIVIC TCRが4時間50分目、アウトラップでストップ。
スロー走行の後、またストップを繰り返していたのはスイッチ類の誤操作が原因。
ただし、これは致命傷とはなり得ず。
しかし、それから約40分後の#98 FLORAL CIVIC TCRの方は、深刻だった。
飯田太陽のドライブ中にマシンがダンロップコーナーの先でストップしてしまったからだ。
その回収のため、FCYの後2回目のSCが実施され、バトル再開には20分以上を要することとなる。

この間に義務づけられた2回のメンテナンスタイムの1回目を行なっていたのが#68 埼玉トヨペットGreen Brave GR SPORTマークXと、ST-TCRクラスの#75 m-1 CARFACTORY RS3 LMSだった。
8分間のロスをほとんどなかった格好としたことが、後に福音をもたらす要素のひとつとなる。
一方、この頃、ST-TCRクラスでトップを走っていたのは、#10 Racingline PERFORMANCE GOLF TCRだった。
#65 L&JR Mars Audi RS3LMSが離れず続き、絶対的なマージンは得られていなかったとはいえ、展開的には予定どおりだったはず。

だが、11時間目を間近に控えて、その流れが一気に崩れてしまう。
レクサスコーナーの立ち上がりで、ST-4クラスの#13 ENDLESS 86が追突されてスピン。
そこに#10 Racingline PERFORMANCE GOLF TCRが突っ込んでしまったからだ。
幸い、ドライバーの高橋翼、遠藤光博ともに大事には至らなかったものの、それぞれマシンは大破し、レース続行が不可能に。
3回目のSCだけでは済まず、赤旗が出されてレースは中断。再開には35分を要す。

 

 

ST-TCRクラスに相次いだ悲劇、m-1 CARFACTORY RS3 LMSが無欲の走行で・・・

リスタート後に、#65 L&JR Mars Audi RS3 LMSはメンテナンスタイムを行なったこともあり、トップには#97 Modulo CIVIC TCRが浮上し、その後しばらくST-TCRクラスをリードしていくこととなる。
レース折り返しの頃のトップは、ST-3クラスは#68 埼玉トヨペットGreen Brave GR SPORTマークX、ST-2クラスは#6 新菱オート☆DIXCELエボXのままで変わらず。
孤軍奮闘のST-1クラス、#47 D’station Porsche、ST-ZクラスのDIAMANGO Caymanも順調に周回を重ねていた。

グループ1的には懸念された明け方のアクシデントは発生せず、ナイトセッションの終了後も淡々とレースは進んでいたが、ST-TCRクラスでトップを走行していた#97 Modulo CIVIC TCRが、15時間経過を間もなくというタイミングでダンロップコーナー脇にストップ!
 左フロントのタイヤが脱落していた。
「スタッドボルトが全部折れていたんです。ここまでの連勝でかなりウエイトを積んでいたので、たぶん重さが影響しちゃったんでしょう」と植松忠雄。
その後、リペアエリアにマシンは持ち込まれるも、戦列復帰にはほぼ1時間を要し、3連勝の夢は絶たれてしまう。

これでST-TCRクラスのトップに立ったのは、#75 m-1 CARFACTORY RS3 LMSだった。
序盤は目立たぬ存在だったが、ノートラブル、ノーペナルティが効いて、じわりじわりと順位を上げていたのだ。
とはいえ、#65 L&JR Mars Audi RS3 LMSも僅差で続いており、マッチレースは最後まで続くものと予想された。
ところが、その#65 L&JR Mars Audi RS3 LMSも、ダンロップコーナー手前でコースアウト!
「痛かったよ。僕のこと見ていなかった車両に当てられて、そのままガードレールにヒット。
後ろからポルシェが来ていたから、そっちに気を取られていたのかもしれないけど」と吉田寿博。

これにより、#75 m-1 CARFACTORY RS3 LMSが、かなり有利な状況に。
2回目のメンテナンスタイムを行なってなお、トップを譲り渡さなかったのだから。
この時、2番手に上がっていたのは、ピットスタートを強いられ、いきなり大きな遅れを背負っていた#19 BRP★Audi Mie RS3 LMS。
もし、普通にスタートが切られていれば…。

20時間を経過したあたりで、ほぼレースの大勢は決していた。
序盤に得たマージンは、未だ甚大だったST-3クラスの#68 埼玉トヨペットGreen Brave GR SPORTマークXは、好調のまま。#62 DENSO Le Beausset RC350が必死に追いかけるも、同一ラップに持ち込むのが精いっぱい。そしてST-2クラスでも終始トップを#6 新菱オート☆DIXCELエボXが守り抜く中、夜半に接触がありながらも、必死に追い上げていた#59 DAMD MOTUL ED WRX STIに、またしてもトラブルが襲う。
2番手にまで上がっていた矢先の553周目、足回りにトラブルが生じ、コース脇にストップ。
なんとか復帰は果たすも、せめて表彰台は…の思いも潰えることとなる。

だが、22時間を過ぎてなお、まだ波乱は生じた。
それまで快調にレースを運んでいたはずの、#51 DIAMANGO Caymanがストップしたのだ。
原因は電気系のトラブル。リペアエリアに持ち込まれた後、なんとかラスト25分で復帰は果たしていたが…。

 

 

ST-1クラスの意地を見せつけ、D’station Porscheが総合6位も獲得!

午後3時、スタートから24時間を経過し、チェッカーが振られることに。ST-1クラスでは、#47 D’station Porsche cupがST-Xクラスの5台に続く、総合6位を獲得。
これに続く総合7位はST-3クラス優勝の#68 埼玉トヨペットGreen Brave GR SPORTマークXで、2位の#62 DENSO Le Beausset RC350に2周の差をつけた。

「今回は僕らに、あまりに運がなさ過ぎました。ずっと燃費走行をやってきたんですが、仮に前回プッシュで行っていてもイーブンか、負けていたペースだったから、勝てていたか分からないし。(SUPER TECの)連勝ができなかったのはしょうがない。残念です」と#62 DENSO Le Beausset RC350の嵯峨宏紀。
このクラスは、ここまで3戦いずれもウィナーが入れ替わる大激戦が続いている。
前回のウィナーで、連勝を狙った#15 エヴァRT初号機岡部自動車Z34は、接触の影響がボディにも及び、修復に長い時間を要したことで、無念の7位に甘んじた。

ST-TCRクラスは、参戦3戦目にして#75 m-1 CARFACTORY RS3 LMSが初優勝。
何度もポールは奪っているアウディRS3ながら、優勝はこれが初めて。
2位は開幕3連勝ならず、悔しさをにじませた#67 Modulo CIVIC TCR。
3位は「ずっとコンピュータのトラブルに苦しめられて、最後は4速ホールドで走っていました」と奥村浩一が語る、#19 BRP★Audi Mie RS3 LMSが獲得した。

ST-2クラスでは、#6新菱オート☆DIXCELエボXが今季初優勝。
大金星とも言える2位は、#17 DXLアラゴスタNOPROアクセラSKY-Dが獲得。
ST-Zクラスの#51 DIAMANGO Caymanも無事チェッカーを受けていた。

 

 

ST-1クラスウィナー #47 D’station Porsche cup

 

《星野辰也》
「チームワークの大切さとか、メカニックの大変さとか、よ~く分かりました。やったなりの成果が表れる大会ですね!」

《浜健二》
「織戸さんのコーチングで、ずっと練習してきたんですが、とにかく24時間を走りきるということで、そのとおり結果が残せて、非常に感動する、いいレースができたと思います」

《織戸学》
「予定どおりというか、かなり順調に、ほぼ予定どおり。
1回だけ予防でドライブシャフトを交換したんですが、それもブーツが破れていたぐらいで。
それ以外は接触もなかったし、ペナルティも何もなくて、みんなが与えられた環境の中で、いい仕事ができたと思います。
いいレースでした。ジェントルマンのお二方は、すごい成長を遂げられたと思いますよ!」

 

 

ST-3クラス優勝 #68 埼玉トヨペットGreen Brave GR SPORTマークX

 

《服部尚貴》
「すべて風が吹いていたという、うちらの方に。
クルマがどうのこうのよりも、そういうすべての運が今回、本当に勝利の女神がこっちに向かって微笑んでいたというか、そのぐらいすべて完璧に進みました。
(一昨年から)3、2と来て、ついに1まで来られました。
次はチャンピオンを目指したいけど、これがなかなか大変(笑)。
でも、今回のポイントは大きいので、まだまだ後半頑張ります!」

《脇阪薫一》
「今年はここまで特にいい流れでなくて、表彰台にも上がれていなかったのに、うまく行く時はこういう感じなんだな、と思っています。
とにかく4ドアセダンをここまで仕上げてくれたから、ポールも獲れたし、レース中も余力はありました。
特筆すべきはライバルも言ってくれたんですが、平沼選手の成長というのもあります。良かったです」

《平沼貴之》
「ST-3クラスでは初優勝です。
マークXでも初優勝なので、本当に良かった。
すべてが良い方向に動いてくれました。
もちろん、皆さんのおかげでもあるんですけど、良かったです。
前回、ST-4クラスで勝った時と同じ盛り上がりを感じますね。
チャンピオンシップにはこれで残れたと思うので、今度は年間を狙います!」

《番場琢》
「あそこまでSCとかFCYでうまくいくとは思っていなかったけど、テストの段階からクルマがすごく速かったので、僕はミスしない、壊さない、ペナルティを受けないっていう、この三つを徹底していたので、乗っていてすごく楽しかったですね」

《菅波冬悟》
「耐久レースは初めてで、それが24時間レースで、すべてが未体験のものだったんですけど、服部さんを始め、偉大な先輩たちに引っ張ってもらえて、力強いサポートがあったので、なんとか自分のスティントを無事走れました。
それで結果、1位でゴールできて、良かったと思います。この流れを86レースやF4につなげられればいいですね!」

 

 

ST-TCRクラス優勝 #75 m-1 CARFACTORY RS3 LMS

 

《塚田利郎》
「初優勝がこんな24時間の大舞台なんて、本当に出来過ぎです! 
ずっと確実に、ノートラブル、ノーペナルティで走ることができたのが良かったんでしょうね。
あるチームの監督に言われたんですが、マツダがル・マンで勝った時、メルセデスより4秒遅かったんだそうです。
でも、やるべきことをきっちりやって、ノーミスでいけば勝てると言っていたのを思い出して、それに習ったような感じです」

《蘇武喜和》
「これが初優勝なんです、やっと!やっと勝てました。
初めからまわりのペースが速かったんですが、それにいかに惑わされず、僕らはいかに僕らのペースで行くか、そういう課題でした。
ドライバーもそうですけど、メカニックもチームのみんなも、ひとりひとりが我慢を強いられる戦いだったので、それが何とか結果につながって、本当に良かったと思います」

《清瀧雄二》
「アウディジャパンの社長とも昨晩、話をしたんですよ、RS3に勝ちを取らせてあげたい、って。
念願かなって恩返しができたと思います」

 

 

ST-2クラス優勝 #6 新菱オート☆DIXCELエボX

 

《冨桝朋広》
「ようやく! クルマも壊れない作り、ドライバーも壊さない走りを心がけて、メカニックもミスなく送り出してくれたので、それが一番良かったし、勝因だと思います。
泣かないっすよ、まだ。チャンピオンが残っていますので!」

《菊地靖》
「奇跡だね、まったくノートラブルだし! ぶつけもしていないし、何のペナルティもないし、パーフェクト。恐ろしいぐらい(笑)」

《大橋正澄》
「勝てると思っていなかったんで、絶対うちが最初にトラブル出ると思っていたんですよ、ホント(苦笑)。
トミやん(冨桝)が一所懸命クルマを作ってくれたからの勝利です。
練習から本番を想定して、回転とかもかなり絞って、ブーストも絞って走っていたので、トラブらないように走れば結果がついてくると思っていたので、そのとおりにできたことがビックリです!」

 

 

ST-Zクラス優勝 #51 DIAMANGO Cayman

 

《石原将光》
「達成感はすごくあります。
最後は私がチェッカーを受けさせてもらいました。
良かったなぁって、感じですね。
いろいろありましたけど。これからも挑戦していきたいと思います」

《坂本裕也》
「僕から慎弥くんに、ちょうど交代する周だったんですけど、ヘアピン立ち上がったら、電気がド~ンと落ちて、『あ、これ止まっちゃうな』って思って、右側のランオフに止めて、いろいろ試行錯誤。
無線は生きていたので、ピットからの指示でいろいろやってみたんですが、結局復活しなくて。
それでドナドナされて、作業エリアで『ああ、これだ』っていうのが分かって、何とか直して残り、おそらく30分ぐらいだったと思うんですけど、石原さんに乗っていただいて、何とかチェッカーを受けることができました。
それまでは本当に順調で…、でもスタートも同じトラブルでグリッドにつけなかったんですよ。
同じような電気系のトラブルだったんですが、そこでもうちょっとしっかり見ておけばなぁ、っていうのが、反省点ですけどね。
何とか完走できて良かったです」

(次回はグループ2編です)

(はた☆なおゆき)

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