《決勝レポート・パート3》ピレリスーパー耐久シリーズ2018 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース

June 7, 2018

ピレリスーパー耐久シリーズ2018 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース 決勝レポート・パート3
チャンピオンチームが好対照の結果となったグループ2

パート3として最後にレース展開をお届けするのは、ST-4クラスとST-5クラスによるグループ2である。
すでに結果はご存知のはずだが、昨年のチャンピオンチームがまったく対照的な展開になっていた。
まさに悲喜こもごもとは、こういうことを言うのだろう…。

 

スタートから他を圧する速さを見せたTOM’S SPIRIT 86

ST-4クラスは、いつものように#86 TOM’S SPIRIT 86と#55 Sunoasis田中建設86のトップ争いから開始された。
ドライバーは松井孝允とたしろじゅん。
しかし、今回のたしろには「何が何でも」の感はなさそうだ。
2番手はキープし続けるも、やがて一定の間隔を保つようになる。
一方、ST-5クラスはオープニングラップのうちに、#2チーム221ロードスターの山西康司がトップに浮上。
逆に予選トップだった#66 odula Idia MAZDAデミオ15MBの武地孝幸は、今は勝負の時ではないと判断し、大きく順位を落としていた。

トラブル発生第1号となってしまったのが、ST-5クラスの#168 冴えカノレーシングWITH FCAだった。
わずか2周でドライブシャフトが破損、いきなりリペアエリア行きとなり、13周もの遅れを背負ってしまう。
その周にはトップも入れ替わる。
山西をかわしたのは#69J’S RACING Moty’s制動屋FITの久保田英夫。
さらに#88 村上モータースMAZDAロードスターの村上博幸も続いて、早くも混戦模様に。
しばらくはこの3台がクラスを牽引した。

ST-4クラスのトップを行く#86 TOM’S SPIRIT 86が最初のピットストップを行なったのが、スタートから1時間54分間経過した53周目で、坪井翔にバトンタッチ。
代わってトップに立った#55 Sunoasis田中建設86が伊藤毅に交代したのは、2時間20分経過の66周目だから、やはり燃費に優れるのは間違いない。
ピット回数も減らせるならば、そこに勝機が生まれる可能性もありそうだ。

3時間30分を経過して、いよいよナイトセッションに突入。
2番手はピットストップのたび入れ替わるも、トップはそれぞれ#86 TOM’S SPIRIT 86、#69 J’S RACING Moty’s制動屋FITのまま。
あたりはすっかり暗くなった頃、女性ドライバーだけで挑んだ、#50 LOVE DRIVE RACINGロードスターもトップに立ったが、ピットレーンの速度超過で5秒ストップのペナルティを課せられてからは、せっかくの勢いを削がれた感は否めない。

日が変わる頃のST-4クラスのオーダーは、#86 TOM’S SPIRIT 86、#884 林トレンプSHADE RACING 86、#13 ENDLESS 86、#55 Sunoasis田中建設86で、それぞれ秒単位の間隔。
まさに隙あらば…の状況だ。
一方、ST-5クラスは#69 J’S RACING Moty’s制動屋FITがトップながら、2番手には#37 DXLワコーズNOPROデミオSKY-Dが浮上。
早くも燃費自慢の効果が表れる。

 

 

ENDLESS 86を襲った悲劇、そしてTOM’S SPIRIT 86にも!

11時間目を間もなく経過しようという頃、レースは突然中断される。
#13 ENDLESS 86が追突されて、コース上にストップしていたからだ。
ダメージは大きく、また2台がストップしていたことから、再開には45分ほどを要することに。
医務室に高橋翼らが搬送されるも、様子を見るためとのことで大事には至らず。
しかし、このリタイアによって#13 ENDLESS 86の連続表彰台獲得記録は「18」でストップしてしまう。

再開後もST-4クラスのトップは、#86 TOM’S SPIRIT 86のまま。
一方、ST-5クラスのトップには#88 村上モータースMAZDAロードスターが浮上。
#69 J’S RACING Moty’s 制動屋FITは、リヤバンパーを修理する様子が映像に映し出され、これ自体は接触によるものではなかったものの、何か歯車が狂い始めた感は否めず…。

そして、あたりが明るくなりかけてきた頃、予想外のアクシデントが発生する。
後続を大きく引き離してST-4クラスのトップを走行していた#86 TOM’S SPIRIT 86のリヤから白煙が!
最初はうっすらと、やがて大きく吹き上がるまでとなっていた。
367周目にピットイン、スタートから13時間20分を経過していた時のこと…。

「予兆みたいなのは全然なかったんです。でも、なんか煙臭いと思ったら、煙吹いていて」と蒲生尚弥。
デフのトラブルだった…。
そこから27分ほど要してピットを離れるも、白煙は再び。
中山雄一はピットに戻ることを諦め、最終コーナー脇にマシンを止める。
すなわちリペアエリアへの最短距離で。
戦列復帰は、さらに20分後。
トップからは19周遅れとなって、連勝記録は事実上ストップすることとなった。

これでトップに立ったのは、#884 林テレンプSHADE RACING 86で、その時のドライバーは平中克幸。
そして2番手は#55 Sunoasis田中建設86のたしろ。
このスティントは平中が逃げ切ったものの、それから先しばらくはお互いがピットに入るたび、トップを入れ替えるシーソーゲームを続けていく。

しかし、ピットでチームメイトの走りを見守っていた平中には、一抹の不安があった。
「メンテナンスタイムの時に早く出しちゃったみたいで、ペナルティを受けるかもしれません。林テレンプの社員が志願してメカニックをやってくれているんですが、仕方ない。気持ちが逸ってしまったんでしょう」と。
20時間を経過して、ペナルティは出た。
不足していた106秒分のストップが。
しかも1回に留まらず、今度は57秒の…。
2回目のメンテナンスタイムが遅めだったこともあり、#55 Sunoasis田中建設86は2周の遅れを帳消しにし、同一周回にまで持ち込むも、その時点での差は1分5秒。
ゴールまで3時間を切って、その後の展開が注目された。

その間、ST-5クラスは盤石。
#88 村上モータースMAZDAロードスターは、すでに独走態勢に入っていた。
そして、2番手は#37 DXLワコーズNOPROデミオSKY-D。
FIT勢にはペナルティが相次ぎ、リズムを崩した感は強く、また#2 TEAM221ロードスターは深夜の接触によるダメージが大きく順位を落としていたためだ。

 

 

 

最後まで続いたバトルを制し、Sunoasis田中建設86が悲願の初優勝飾る!

21時間を経過して間もなく、2度目の赤旗中断が。
一時は3番手を走行していた#58 ウインマックステインワコーズDC5☆KRPが、炎を吹き上げながらコカコーラコーナーでストップ。
その際に2コーナーあたりからオイルを巻いてしまったためだ。
再開には20分ほどを要することに。
その再開からほとんど間隙を置かず、#884 林テレンプSHADE RACING 86が、国本雄資から平中への交代を行う。
残すは2時間30分。
さらに25分後には#55 Sunoasis田中建設86がたしろにバトンを託す。
それまでのパターンであれば、もうチェッカーまで走りきれるのは確実だ。
一方、#884 林テレンプSHADE RACING 86は…。

残念ながら、ガソリンは足りなかった。
残り43分間、平中を乗せたまま給油だけ行うも、その間にトップには#55 Sunoasis田中建設86が浮上する。
そして、その少し前、3番手を走行していた#18 wedssport 86が緊急ピットイン。
左フロントのホイールに異変を感じた浅野武夫の判断は的確で、5本のハブボルトのうち4本が折れていたという。
もし、そのまま走り続けていれば、完走すらおぼつかなかった可能性はある。

さて、#55 Sunoasis田中建設86と#884 林テレンプSHADE RACING 86との差は、わずか5秒。
果たして、たしろはガソリンが足りるのだろうか?
しかし、足りてなお、平中を引き離して#55 Sunoasis田中建設86は、トップでチェッカーを受けることに成功!
スーパー耐久参戦4年目の初優勝を飾ることとなった。
ただ、たしろは全力を振り絞ったあまり、チームメイトとともに表彰台に立つことは許されず。
「それだけが残念でした(笑)」と後に語る。

ST-4クラスの2位は#884 林テレンプSHADE RACING 86が獲得し、3位は#29 T’S CONCEPT小倉クラッチ86。
そして驚くべくは#86 TOM’S SPIRIT 86が4位でフィニッシュしていたことだ。
高得点のレースで、表彰台にはあと一歩及ばなかったとはいえ、この順位でフィニッシュしていたことで、シリーズ2連覇の可能性はかなり高くなったと言えるだろう。

 

 

村上モータースMAZDAロードスターが今シーズン初優勝!

そして、ST-5クラスは2位の#37 DXLワコーズNOPROデミオSKY-Dに2周の差をつけ、#88 村上モータースMAZDAロードスターが圧勝。
3位は#69 J’S RACING Moty’s制動屋FITが獲得。
「今回からクルマをアップデートして、かなりいい感じになっていたんですけど、なんだろう、ほんのちょっとの歪みが徐々に影響を及ぼすようになってきて…。でも、次は絶対に勝ちます!」と梅本淳一。

24時間にも及ぶ戦いには、3回の詳報でお届けした以上のドラマがあり、すべて伝えられないのが心惜しいものの、大いに盛り上がりを見せたのは紛れもない事実。
嬉しさも、悔しさも、きっとまた来シーズンのレース、そして今シーズンの後半戦の糧になるはずだ!

 

 

ST-4クラスウィナー #55 Sunoasis田中建設86

 

《たしろじゅん》
「けっこういい作戦だったみたいで、いろんな意味で。
僕がイケイケドンドンなんですが、24時間だったから、かなり抑えて。
本当に最後だけ本気、本気というかクルマをいたわらないスプリントみたいな走りをさせてもらいましたが、本当にそれが…。
信じられない! 信じられないとしか言いようがないですね。
富士は得意なので、86号車にはついていこうと思えばついていけたんですけど、やっぱちょっと不安なところもあって。
ドライバーのラインアップからしたら、勝負しちゃいけない相手というのもあったので2位というのを目標にしていたんです。
その86号車が遅れた後も、884号車との勝負になって。
最後、向こうはもう一度入ると思ったんでしょうかね。
相手が平中君ですから、ガチンコでいくとなったら、何秒で走るか分からないほど本気を出してくるでしょうから、うちが給油でまた入るよというアピールをすれば、温存で余裕を持ってくれるかな、と思ったんですが、うまくいって良かったです。
僕自身、今までS耐は何戦も出ていますが、優勝は1回もなかったんで、それが地元の富士で、24時間っていうのは、これ以上の贅沢はない。
ただ、僕は表彰台に上れなくて、それだけが残念(笑)」

《伊藤毅》
「優勝は初めてです。
今まで2位、3位はあったんですけど、表彰台の真ん中だけはなくて。
昨年ここではギリギリで立たせてもらったんですが、地元の富士ってことで本当に『優勝できたらありがたいね』って言っていたことが、夢がかなった。
オートファクトリーとして3年半なんですけど、やっと皆さんと一緒にレースできるような場所に来れて、楽しいレースができたかな、と思っています」

《田中雅之》
「本当にメカさんたちに感謝…だけですね。
壊れないクルマを上手に乗ったから優勝できたんだと思います。
もちろん、運もあったと思いますが、運も実力のうちと言いますからね。
富士の50年ぶりの、僕は地元なんですけど、地元の50年ぶりの開催に名前を残せて本当に良かったと思います」

《大井貴之》
「まさか勝てるとは思っていなかったんだけど(笑)。
俺はもう、24時間の経験が10回以上あるんで、『縁石踏むな』とか昔怒られていた話を偉そうに言って、走っていたんだけどね。
実は最後のガソリン、全然大丈夫だった。
少しでも、じゅんちゃんを助けられないかと思って。
本当にガソリン足りなかったら、10秒離せないよね〜。
じゅんちゃんがイケイケだったから、抑える方の我々とのバランスがうまくいったね。
あとはオートファクトリーの86に対するこだわりと煮詰め。
だから、『そんなペースで行ったら壊れちゃうでしょう』、『いや、これは大丈夫』。『大丈夫?』って。
『データから見て、これは行けますよ』って、すごいよね。勝てて良かったよ」

《三笠雄一》
「自分なりにチームに貢献できることは、精いっぱいやれたんじゃないかなと思います。
24時間っていうのは初めてですし、耐久もなかなか(機会が)ないので、本当に多くのことを学びながら、プッシュしつつ。
クルマがすごく良かったので、本当はセーブしなきゃいけないんですが、『セーブする中で、自分の好きなように走っていいよ』って言われていたので、本当にその点ではチームのおかげでアピールすることもできましたし、いいチームに巡り会えたのが、今回いちばんの幸運じゃないかと思います。
これで僕自身、勢いはついたと思います」

 

ST-5クラスウィナー #88 村上モータースMAZDAロードスター

 

《村上博幸》
「24時間なので、最初のうち他のチームはかなりペース抑えていたと思うんですよ。
うちのチームも、富士とS耐が初めてのドライバーがいたので、序盤はそういうドライバーを先に走らせて、後半は慣れているドライバーで逃げるという作戦を考えていました。
なんかまぁ、比較的時間もあったので、テストもしっかりしてきたので、そういう面でクルマに対する不安はなかったですけど、どっちかというとドライバーの経験値がまちまちだったので、そこだけが不安材料ではありました。
だからこそ優勝できて良かったです。
やりきった感じはありましたね」

《雨宮恵司》
「いや〜、本当に何が起こるか分からないので、まぁ予選は頑張りましたが、決勝の序盤は抑えながら、壊さないように。
何が壊れるか、何が起こるか分からないので、抑えながら走って完走できて、本当に良かったと思います。
ありがとうございます。
富士はスプリントでは走っているんですけど、耐久ということでいろんな要素が違うので、初めてのことが多かったですが、なんとか優勝できて良かったと思います」

《吉田綜一郎》
「けっこう乗りました、楽しくて、楽しくて(笑)。
24時間、あっという間でした。
こんな長い耐久は初めてで、去年の10時間ぐらいですかね。
S耐も初優勝なんで、すごく嬉しいです」

《脇谷猛》
「今年はスポットで、4時間をターゲットにエントリーしようと思っていまして。
それがかなった感じです。
最初のスティントが夜だったもので、初めての経験ということで単独スピンをしてしまいまして(笑)。
今、考えるとタイムロスにつながっているので、ヒヤヒヤしながら夜が明けてからのタイム差を見ながら過ごしていた感じです。
実際、走りながら慣れたのが朝方の第2スティントだったんですが、それでも雨宮さんとか経験ある方に1秒ぐらいの遅れをとっていたので、あとは託そうということで。
うまく切り替えられました」

《中根邦憲》
「僕は今回、初めてS耐の決勝だったんですけど、自分のスティントをとにもかくにも無事に終われてホッとしています。
あとはみんなが頑張ってくれたので、本当に良かったと思っています」

《杉野治彦》
「僕はパーティレースからの初S耐なんですけど、皆さんが頑張ってくれて、本当に良かったです。
チーム全体の成果だと思います」

 

(はた☆なおゆき)

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