《プレビュー》ピレリスーパー耐久シリーズ2019 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース

ピレリ スーパー耐久シリーズ2019第3戦 富士SUPER TEC 24時間レースプレビュー

今年も祈ろう、天気に恵まれることを。よりレース、盛り上がることに期待!

早いもので、あれからもう1年。第1回大会は歴史にも残る一戦となった、「富士SUPER TEC 24時間レース」の第2回大会が、5月31日〜6月2日に開催される。コース上では激しいバトルが繰り広げられ、コース外ではさまざまなアトラクションが行われて、観客は思い思いのスタイルで楽しんでいた、という印象の強いレースだった。今年も天候に恵まれて、より一層盛り上がることを期待したい。

 

 

大本命GTNET GT3 GT-Rに、力技見せるかTAIROKU RACING GT-R GT3!

アジアのチームを含めたスポット参戦はなく、最終的なエントリー台数は48台に。しかし、それでも十分すぎる台数と言えるだろう。24時間に渡って激しいバトルが、随所で繰り広げられるに違いない。

さて、4台がエントリーのST-Xクラスは、目下ランキングトップの#777 D’station Vantage GT3、同2位の#244 LEXUS RC-F GT3の不参加によって、今後のシリーズ展開にも大きな影響を及ぼしそうだ。

もちろん、このクラスの大本命は、昨年総合優勝を飾っている#1 GTNET GT3 GT-Rだ。浜野彰彦/星野一樹/藤波清斗という不動のラインアップに、今年は平峰一貴を加えての参戦となる。S耐には今季初参加となる平峰だが、豊富なGT-Rのレース経験を持ち、なおかつ今、最も乗れているドライバーのひとりとあって、貴重な戦力になるだろう。このチームの特徴は、一発の速さよりレースでの強さを最優先させていることだ。それは3時間レースであろうと、24時間レースであろうと変わらず。終盤に差し掛かるまでは、あたかも石橋を叩き続けるような格好で周回を重ねているはず。仮にトップに立っていなくても、大きく遅れを取っていなければ大丈夫、というのがモットーであるからだ。

ただし、ラスト1時間となって勝負権ありと判断したなら、そこから見せるスパートは必見。残る力のすべてを振り絞ってくるはずだ。むしろ、ここまでの力を残していたのかと、驚きすら覚えるかも。果たして2連覇なるか、大いに注目したい。

その#1 GTNET GT3 GT-Rにとって、最大の対抗馬となるであろう存在が、#300 TAIROKU RACING GT-R GT3だ。メンテナンスを担当するB-MAX Engineeringにとっては初の24時間レースながら、耐久レースの経験は豊富。前回よりマシンをフェラーリ488からGT-Rに改める事態に陥ったものの、どうやらプラスに作用している感も……。そのひとつが本山哲を、助っ人に加えられたことだ。その存在だけでもライバルにとっては脅威であるばかりか、ル・マンを筆頭とする、豊富な24時間レースの経験をチームに伝授しているのだから。レギュラーの山口大陸/ハリソン・ニューウェイ/ニコラス・コスタにも、きっと好影響を及ぼすことだろう。さらに普段のレースでは主に監督の役を担う高木真一が、今回はドライバーに専念する。

ここまでの2戦、予選ではニューウェイがいずれも最速タイムを記しており、5月上旬に行われた第2回公式テストにおいても、非公式ながらすでにレコードタイムを更新している。速さにはチーム全体に定評があるだけに、あえて守りに入らず最初から最後まで突き抜けるのでは? #1 GTNET GT3 GT-Rとは異なる作戦に討って出ることで、ほころびを生じさせる可能性も十分にありそう。ちなみに、「本山さんと同じクルマで戦えるのが、すごく嬉しい!」と星野。同じスティントを走ることがあれば、その時ばかりはガチンコ勝負をお願いしたい。

JOE SHINDO/柴田優作/富田竜一郎/高田匠/影山正美のラインアップで挑む、#9 MP RACING GT-Rは開幕戦で3位。ジェントルマンドライバー育成に定評を持つ影山と富田が、24時間のうちにSHINDOや高田をどこまで鍛え上げるか? ツェ・カヒン/道見真也ショーン/フィリップ・タン/ショウン・トン/マーチー・リー組の#83 X WORKS R8は、昨年のレースで一時トップを走ったように速さは十分。レースオペレーションのミスさえなければ、十分ライバルにとって怖い存在になり得るだろう。

 

ウエイトハンディに苦しむENDLESS AMG GT4、その戦いぶりは?

GT4によって争われるST-Zクラスには3台がエントリー。それぞれ車種が異なるだけに、特性の違いなどもぜひ見極めてほしいところだ。ここまで2連勝は、内田雄大/山内英輝/高橋翼組の#3 ENDLESS AMG GT4。助っ人に山田真之亮を加え、またストレートパフォーマンスにも優れる車両とあって、今回も大本命と思いきや、連勝が仇となってウエイトハンディ50kgを積まざるを得ず。公式テストでは絶えず2番手に甘んじていた。

対してトップタイムをマークしていたのは、飯田太陽/小林崇志/加藤寛規/濱口弘/高橋一穂組の#2ケーズフロンティアSYNTIUM KTM。こちらも30kgのウエイトを積んではいるが、まだそれほど影響を及ぼしていない感も。メルセデスAMGとは対照的に、KTM X-BOWはコーナーでの速さを自慢とし、エンジンはともにターボを積むが、排気量は半分の2ℓ。いかに高回転をキープして走り続けられるかが鍵とされ、このあたりジェントルマンドライバーたちが慣れてきたとなれば、十分勝ちに行けるはずだ。クルマこそ異なれど、全員が過去にもチームメイトであって、抜群のチームワークも武器のひとつになるはずだ。

一方、久々のレースとなるのが#51 DIAMAGO Cayman。これまでは孤軍奮闘だっただけに、初めての対決となる。バランスに優れるシャシーで、特性はAMGとX-BOWの中間といったあたりか。昨年のコメントではセオリーどおりの走りを求めるとも。究極のジェントルマンドライバー石原将光を支えるのは、坂本祐也と池田大祐、余郷敦といったおなじみのメンバーに、福田幸平が新加入。三つ巴のバトルが、どんな様相を呈すのか非常に楽しみだ。

 

ここまで続いたアウディ勢の快進撃、果たしてホンダ勢は?

年間エントリーの車両を1台も欠くことなく、9台がエントリーのST-TCRクラスは今年、圧倒的な存在がいない感が強く、このまま群雄割拠状態が続きそうだ。ランキングのトップに立つのは前回の初優勝だけでなく、唯一2戦連続で表彰台に立っている#19 BRP★Audi Mie RS3 LMS。普段はST-Zクラスにもエントリーしているが、今回はこのクラスだけに留め、太田侑弥/松本武士/篠原拓朗/奧村浩一/HIROBONといった最強の布陣を敷いて勝つ気満々。40kgのウエイトとBoPによる重量増が気になるところだが、今年好調なチームは総じて25〜10kg積んでいるため、それほど影響を及ぼさないものと予想される。

一方、公式テスト最速は、前回から出場の#22 WAIMARAMA KIZUNA Audi RS3 LMS。今回は堀主知ロバート/千代勝正/安田裕信/イ・ジョンウ/KIZUNA/山野直也という強力なドライバーを揃えている上に、ウエイトハンディはゼロ。前回はタイヤトラブルを抱えたためだが、結果的には今回にすべてを賭ける上での、お膳立てを整えた感もある。また、開幕戦を制している#65 Phenomen Mars Audi RS3 LMSも、岡島秀章/加藤正将/下山征人/今村大輔/松井猛敏と、隙のない陣容での参戦だ。

と、ここまで挙げたのは、いずれもアウディ勢ばかり。今年はホンダ勢が苦戦を強いられている。特に顕著なのが、ディフェンディングチャンピオンでもある#97 Modulo CIVICで、相次ぐアクシデントで本領発揮を許されていない。ハンディゼロの強みで逆襲なるか、ここも植松忠雄/中野信治/大津弘樹/野尻智紀/遠藤光博という強力ラインアップとなっている。そして、忘れてはならないのが昨年の優勝チーム、#75 AZIMUTH CIVIC TCRだ。今年もドライバーは塚田利郎/蘇武喜和/芳賀邦行/松本和之/清瀧雄二/西村元希といった、まさに知る人ぞ知る存在を集めたが、無事これ名馬といったレース運びを再び見せれば、また勝利の美酒を味わえるはず。

豪華助っ人を用意したのが、#10 IDI GOLF GTI TCRと#108冴えカノfineレーシングwith RFCだ。普段はそれぞれフィリップ・デベサと密山祥吾、ふじいじゅんと大野尊久というコンビでの参戦だが、前者は脇阪寿一を、後者は鈴木利男と荒聖治を加えてのエントリーとなる。助っ人から得られる刺激が、それぞれのチーム力を一気に高めるのではないだろうか。

 

DXLアラゴスタNOPROアクセラSKY-Dが、本気で優勝狙う

年間エントリーは2台のST-1クラスながら、今回は47 D’station Porscheのみ参戦に。しかし、相手がいたとしても自分たちの走りに専念し、最終的にどれだけ多くの周回を重ねられるかをターゲットにしていたはずだ。その#47 D’station Porscheにはレギュラーの星野辰也/織戸学/濱健二に加え、近藤翼と小林賢二といったポルシェを知るドライバーが助っ人に就く。

ST-2クラスには、いつもの4台がエントリー。目下、ランキングのトップは#6新菱オート☆DIXCELエボXで、前回の優勝でチームの士気は高まる一方、昨年に続く連勝を冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄/八巻渉/藤井芳樹といったメンバーで狙いに来る。開幕戦を制した#59 DAMD MOTUL ED WRX STIは、前回のリタイアが痛い。まさに絶対に負けられない戦いとなる。レギュラーの大澤学/後藤比東至/井口卓人/石坂瑞基という布陣で挑むだけに、ここは絶好のチームワークを見せてほしい。

そして、このクラスの隠れ大本命が、#17 DXLアラゴスタNOPROアクセラSKY-D。一発の速さでは、依然として四駆勢に引けをとるものの、コンスタントラップの向上が最大のポイントに。これまではライバルに抑え気味の走りを許していたが、決勝で同じようなペースで周回できれば、好燃費ゆえにピット回数を減らせそう。それではまずいとペースを上げてくれれば、何か起こる可能性も増して、勝機も生じるというのがチームの考え方だ。最後の最後にすごいドラマが、ST-2クラスには待ち構えているかもしれない。ドライバーを務めるのは野上達也/谷川達也/大谷飛雄/野上敏彦、そしてアジアの澤圭太が加わることとなっている。

 

今年もST-3クラスでは終始ガチンコバトルが続くのか?

ST-3クラスも、年間エントリーの7台が欠けることなくエントリー。耐久レースといえば、久しく耐えるとの字のごとく、サバイバルに生き残ったチームが好結果を得るという印象もあったが、昨年は24時間に渡ってスプリントばりのハイペースでバトルを繰り広げていたクラスでもある。

今年、ここまでランキングトップにつけるのは開幕戦で2位、第2戦で優勝の#38 ADVICS muta racing RC350 TWS。今年から阪口良平と堀田真のパートナーとして堤優威を加え、さらに今回は新田守男を助っ人に迎えてのエントリーとなる。気になるのは40kgのハンディを背負っていることと、RC350勢は一律、昨年よりも20kg最低重量が増やされていること。そういった重量増がどう影響を及ぼすか。昨年は3位だっただけに、今年こその思いはどのチームよりも強そうだ。同じくRC350で挑み昨年2位で、今年のランキングも2位の安定感が目立つ、#62 DENSO Le Beausset RC350は、昨年まるでトヨタオールスターズのような陣容で戦い話題を集めたが、今年は現時点では嵯峨宏紀/山下健太/小河諒といったレギュラーのみの発表となっている。果たしてサプライズはあるか?

そして、昨年優勝の#68埼玉トヨペットGreen Brave GR SPORTマークXは、服部尚貴/脇阪薫一/吉田広樹/平沼貴之/番場琢と、ほぼ変わらぬ陣容での参戦。ハンディは#62 DENSO Le Beausset RC350同様、25kgを積むも昨年からの最低重量の変化は+10kgなので、その点ではやや有利か。どんな長さであっても、常に攻めのレースが信条のチームだけに、いきなり飛び出して行く可能性はある。

その中ハンディを一切背負っておらず、またマシン自体の軽さもあってダークホース的な存在なのが、#15岡部自動車Z34だ。今年は長島正明と小松一臣、甲野正哉といったおなじみのドライバーに、久々参戦の古谷直広、そして昨年ST-4クラスを制した、たしろじゅんを加えての参戦となる。粘り強さには定評があることから、展開が荒れれば大逆襲の可能性は十分ある。

 

リベンジに体制も万全、今年こそ来るかTOM’S SPIRIT 86が!

10台がエントリーのST-4クラスは、やはり#86 TOM’S SPIRIT 86が本命か? ここまで2戦、不運なアクシデントに見舞われ続け、入賞を果たすに留まっている一方で、ノーハンディで挑める強みは十分。とはいえ昨年もデフトラブルに見舞われたが、チームとしては今年の分まで対策は施しているからと、もう勝つことしか考えていないよう。逆にいうと、このレースを落としてしまえば、もう後のない背水の陣での戦いになる。ドライバーには坪井翔/中山雄一/松井孝允といったレギュラーに加え、佐藤公哉を助っ人に起用した。

昨年は2位で、今年はここまで無敗の2連勝。まさに勢い十分なのが、#884林テレンプSHADE RACING 86であるのは間違いない。今回も積極果敢なレースに討って出るのか、はたまたポイントでライバルを大きくリードしているだけに、あえて守りの構えとなる可能性も。もうひとつの根拠は30kgのハンデを背負っていること。このクラスで、この重さはずしりと響きそう。そのため、攻めていけないという事情もあるかもしれない。ドライバーは平中克幸/国本雄資/HIRO HAYASHIといったレギュラーに、石川京侍が加わることとなっている。

一方、新チームながら2戦連続2位と健闘が光るのが、#310 GR Garage水戸インターGR86だ。当然、24時間レースは初挑戦ながら、ここでも結果を残せば強さは本物。どんなレース運びを見せるか大いに注目される。久保凛太郎/細川慎弥/山口礼をアシストするのは、鈴木宏和と根本悠生だ。

ひとつ残念なのは、このクラスの戦いにシビックやインテグラといった、FFのホンダ勢がいなくなってしまったこと。孤軍奮闘の#116アルカディア号PRINCEWSS2000を駆る、大塚隆一郎/吉田靖之/仙波王仁/赤星陽太郎/小串康博/首藤哲也組の活躍を、ホンダファンは望んでいるはずだ。

 

J’S RACINGが好調なST-5クラス、大一番で狙うは1-2フィニッシュ!

ST-5クラスには10台がエントリー。今年ここまでの印象では、ロードスター勢が苦戦を強いられているという感が強い。20kgの最低重量増もさることながら、なぜか不運が続いている。そのこともあって、ランキングの上位を独占しているのがFF勢。第2戦で優勝を飾った#70 J’S RACING☆FITがトップで、2戦連続の3位で#69 J’S RACING☆FITが2位につけている。今回はそれぞれ藺牟田政治/植田正幸/久保田英夫/高橋宏和/MC HIRATA、梅本淳一/窪田俊浩/イフワット・ラジック/ナジリー・アヤッド/成尾悟史というラインアップの参戦。もちろん狙うは1-2フィニッシュだ。

そして前回のレースをあえてスキップして、この一戦に賭けているのが#37 DXLワコーズNOPROデミオSKY-D。チーム代表の野上敏彦は、本気で2クラス制覇を狙っている。最大の武器である好燃費で、ピット戦術にも幅をもたせやすく、それを勝因とも開幕戦ではしていたほど。今回ドライバーを務めるのは、井尻薫/辻かずんど/藤原能生/加藤芳皓/山本浩朗/関豊だ。そして、初優勝の期待がかかるのが#101ヒロマツ デミオだ。前回もポールポジションを奪って、まずは速さをアピール。今回は強さをアピールしたいところ。こちらはレシプロエンジンを搭載し、ディーゼルエンジンの#37 DXLワコーズNOPROデミオSKY-Dより軽くて、バランスに優れるのが何よりもの特徴。吉田綜一郎/佐々木孝太/KENBOW/檜井保孝/Wappaya/小山佳延という組み合わせでの戦いとなる。

もちろんロードスター勢の逆襲にも期待したいところ。王座奪還を目指し、仕切り直したはずの#88村上モータースMAZDAロードスターが、ここまでなんとノーポイント! 開幕戦はクラスの異なる車両に追突されて全損、第2戦はエンジントラブルの後、交換したエンジンが吹けず、ピットスタートを余儀なくされた上に規定周回に満たず、という大不運……。三度目の正直という言葉を、村上博幸/雨宮恵司/中島保典/山谷直樹/近藤善嗣組は、きっと強く信じているに違いない。

 

メンテナンスタイムが1回になって、影響はどう出る?

なお、今回のレースの特徴として、昨年は20時間目までに8分間、2回行うことが義務付けられていたメンテナンスタイムが10分間、1回に改められている。この間にブレーキなどを交換できたことが完走率を高めた理由とされているが、1回になったことでどんな影響をもたらすか。

また、今回に限らないが、FCYだけでなく、今年はセーフティカーラン中のピットインが可能になっている。さらに、ひとりのドライバーの最大運転時間は2/3までとあって、今回は16時間まで。ST-X、Z、TCRクラスのプラチナドライバーに関しては40%以下のため、9時間36分までに規制され、同様にAドライバーは15%以上走らなくてはならないので、3時間36分以上走らなくてはならない。ただし、Aドライバー以外、および70歳以上のジェントルマンドライバーに関しては、この規定は適用されないこととなった。

さて、予選のスタートだが、5月31日(金)の正午にスタート。6月1日(土)には決勝レースに先駆けて、初開催となるS耐クラシックのエキシビジョンも行われることになった。実際にS耐を戦った車両はごくわずかとはいえ、懐かしい車両との再会が今から待ち遠しい。そして決勝のスタートは15時。果たしてどんなドラマが繰り広げられるのだろうか?

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