《決勝レポート1》ピレリスーパー耐久シリーズ2019 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース

ピレリスーパー耐久シリーズ2019 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース 決勝レポート1
ST-4はTOM’S SPIRIT86が今季初優勝、
ST-ZはENDLESS AMG GT3が開幕3連勝

 

今回の決勝レポート詳報は、3回に分けて紹介することとした。日曜日にお届けした速報でも概要はつかんでいただけたことだろうが、せっかくの24時間レース、その間にあった勝負の機微のようなものを、より知ってもらいたいからである。今回はST-4クラスとST-Zクラスを。

 

 

スタートからスプリントばりに繰り広げられたST-4のトップ争い

激戦の予感は、すでに木曜日の専有走行からあった。ベストタイムはセッション1で、#86 TOM’S SPIRIT 86の坪井翔/中山雄一/松井孝允/佐藤公哉組に記録されていたが、3セッションいずれもトップが異なり、セッション2では#310 GR Garage水戸インターGR86の久保凛太郎/細川慎弥/山口礼/鈴木宏和/根本悠生組が、そしてセッション3は#884林テレンプSHADE RACING 86がトップに立っていたからだ。一方、トップにこそ立たなかったものの、コンスタントに上位につけていたのが#13 ENDLESS 86の中山友貴/宮田莉朋/蒲生尚弥/菅波冬悟組だった。

予選では坪井、中山ともにトップタイムを記した、#86 TOM’S SPIRIT 86が堂々のトップ。これに#884林テレンプSHADE RACING 86、#310 GR Garage水戸インターGR86、#13 ENDLESS 86の順で続いたのは、ここまでの2戦の展開を振り返っても、ごく自然な流れではあった。決勝でも坪井と平中、久保による壮絶なバトルがまずは繰り広げられ、3周目には久保がトップに立ち、5周目に坪井が抜き返すも、8周目からは平中がトップを走行。やや遅れて中山が、様子をうかがうという展開になっていた。

この4台のうち、最初のピットが最も早かったのは#13 ENDLESS 86。2時間を前に中山から宮田に代え、他の3台とはその後もタイミングをずらして対決を避けた模様。これに対して、2時間を過ぎて間もなく、#884林テレンプSHADE RACING 86と#310 GR Garage水戸インターGR86が60周目に、それぞれHAYASHIと細川にスイッチ。1周遅れて#86 TOM’S SPIRIT 86が中山に交代すると、再びトップに立つこととなった。ここからしばらくは淡々と周回が重ねられていく中、86周目に宮田が3番手に浮上。すると勢いづく宮田は、94周目には細川をも抜いて2番手に躍り出ることに。すでに大きなリードを築き上げていた中山には届かなかったが、このスティントでは宮田の速さが光っていた。そして、116周目に#13 ENDLESS 86は、菅波に交代する。

ライトオンの指示が出てから43分後、あたりも暗くなりかけた124周目に#86 TOM’S SPIRIT 86は松井に交代。この頃にはもう確固たるリードが築かれていた。2番手は#13 ENDLESS 86で、3番手は#884林テレンプSHADE RACING 86、そして#310 GR Garage水戸インターGR86というオーダーには微妙の変化はあったが、概ねそういった展開でレースが続いていった。

 

トラブルを一切抱えなかったTOM’S SPIRIT 86が昨年の雪辱果たす

だが、レースが折り返しを迎えるようになると、2番手以下の車両に不協和音が生じ始める。そんな中、義務づけられた10分間のメンテナンスタイムを間もなく16時間経過というところで、やっと行ったのが#86 TOM’S SPIRIT 86。速さも備えて、それだけタフであったなら、もはやライバルにつけ入る隙はない。その間にトップに立っていたのは、#13 ENDLESS 86ながら、こちらはメンテナンスタイム未消化。16時間45分でようやく実施するも、タフではあったものの、ここはやや我慢が過ぎた感も……。もちろん、#86 TOM’S SPIRIT 86がトップに返り咲く。リードは1周を超えていた。

ゴールまで2時間を切った段階で、#2番手を行くのは#884林テレンプSHADE RACING 86。だが、ペースは明らかに鈍っている上に、ライブ配信されたオンボード映像でギヤが入りにくくなっている様子が映される。そこを643周目に逃さず捕らえたのが、#13 ENDLESS 86の菅波だった。その後、#884林テレンプSHADE RACING 86はミッション交換を決断。すでに4番手とは32周もの差があったためだ。

その間にもトップを突き進む、#86 TOM’S SPIRIT 86は盤石。残り1時間50分となった642周目に松井がマシンに乗り込み、そのままゴールまで駆け抜けていった。昨年も圧倒的な速さを見せながら、デフトラブルで涙を飲んだが、今年は完璧なレース展開でリベンジに成功! まさに完全勝利を果たしていた。

2位は3周差で#13 ENDLESS 86が、36分間でミッションを交換した#884林テレンプSHADE RACING 86が3位に。開幕3連勝こそ果たせなかったが、ランキングのトップは以前キープしている。なお、ランキング2位には#86 TOM’S SPIRIT 86が、8位から一気に浮上した。

 

ST-4クラス優勝 TOM’S SPIRIT 86

坪井翔
パーフェクトです! 24時間レースなのに最初は熱い戦いになりましたけど、許容範囲だったというか。去年はトラブルで悔しい思いをしたとはいえ、走りきれれば勝てる自信はあったし、それだけの速さはありました。だから、速く走るだけじゃなくて強い走りをするため、24時間で最初にゴールするためには何が大事かってことを考えながら、ミッションいたわったりとか、いろんなできることを精いっぱいやったら、こういう結果になったので去年のリベンジをしっかり果たせて良かったと思います。開幕から2戦、トラブルで結果も出なかったけれども、なんとか優勝できたので、この長いレースで優勝できたのはすごく大きいと思います。

松井孝允
チームもドライバーも、ミスがなかったのがいちばんかな、と思います。メンテナンスタイムもギリギリまで引っ張って、そこまでにFCYとかのタイミングとかあれば、使うつもりだったんですが、そのタイミングがなかったので引っ張って。逆に言えば、そこしかなかったかなという感じです。今季初優勝、これからも勝てると思いますし、追い上げていきたいと思います。

中山雄一
ホッとしています。やっぱり落ち着くまでは坪井選手も、まわりのドライバーのすごい追撃を受けていましたけど、ペースをつかんでからは首位独走できて。でも、いつトラブル出るかっていうのは、ずっとヒヤヒヤしていました。今年は開幕戦も第2戦も、トラブル出ていたんですが、この24時間を乗り切ることができたマシンを用意してくれた、チームにまず感謝しています。

藤公哉
助っ人としていい仕事ができたかは、僕には分からないので、チームの皆さんに後ほど判断していただけたら。本当に楽というか、お三方が作ってくれたマージンの中で、淡々と走ることができたので、逆に劇的なことトライすることもなく、淡々とただ走ってクルマを運ぶことだけを目標にして走ったので、とりあえず無事故無違反で終われて良かったです。S耐が、というか優勝そのものが久しぶりなので、まだ実感があんまりないです。

 

「第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース」のレポートやS耐TVアーカイブをチェック!

 

 

ライバルの脱落にも乗じ、ENDLESS AMG GT4が逆転で3連勝!

今回のST-Zクラスにおいて、#2ケーズフロンティアSYNTIUM KTMの飯田太陽/小林崇志/加藤寛規/濱口弘/高橋一穂組の優勝を疑う者は、そう多くはなかったのではないか。開幕2連勝でランキングトップに立つのは、#3 ENDLESS AMG GT4の内田雄大/山内英輝/高橋翼/山田真之亮組ながら、ウエイトハンディ50kgを積む影響はあまりに大きく、5月8日の公式テスト、そして前日の専有走行では一度もトップに立つことができなかったからだ。せめてもの意地が予選のAドライバーセッションで見られ、内田は飯田をコンマ2秒差で上回ったものの、Bドライバーセッションでは小林が、山内を1秒以上以上も引き離していた。

しかしながら、決勝では#3 ENDLESS AMG GT4の山内が、オープニングラップのうちに#2ケーズフロンティアSYNTIUM KTMの濱口をかわしてトップに浮上。とはいえ、濱口も遅れを取ることなく続き、やがてトップを奪い返すと徐々に差を広げていくように。その後、それぞれ高橋、内田に代わるも思ったほどには差が広がらず。むしろ、このジェントルマン対決では内田に分があり、86周目にはポジションチェンジ。103周目に#3 ENDLESS AMG GT3は高橋に代わり、104周目には#2ケーズフロンティアSYNTIUM KTMが飯田に。それでも状況に変化はない。

間もなく5時間を経過しようという156周目に、#2ケーズフロンティアSYNTIUM KTMは、いよいよエース加藤を投入! ここから一気に巻き返しを……と思いきや、ピットでの作業違反に対し、60秒停止のペナルティが。これでようやく#3 ENDLESS AMG GT4が一息つけられるようになる。この頃ドライブしていたのは山田だ。

だが、レース開始から6時間。ST-Zクラスにとって激震が走る。なんと#2ケーズフロンティアSYNTIUM KTMが190周目に突然ストップ!「突然エンジンが止まった」と加藤。マシンはリペアエリアへ、いったん持ち込まれたが修復は不可能と、早々のリタイアが発表された……。とはいえ、#3 ENDLESS AMG GT4は一気に楽になったとはいえ、まだまだ気を抜くことは許されず。このクラスにはもう1台、#51 DIAMANGO Caymanの石原将光/坂本祐也/池田大祐/余郷敦/福田幸平組が控えているからだ。このクルマは今季初参戦とあって、ノーハンディ。しかし、あらかじめ2位狙いで来ていたこともあり、2番手浮上もペースを改めず。

#3 ENDLESS AMG GT4にとって、もはや唯一の脅威だったトラブルも、抑えて走れるようになって一切生じず、難なく逃げ切りを果たすとともに、8クラスで唯一開幕3連勝を果たすこととなった。

 

ST-Zクラス優勝 ENDLESS AMG GT4

内田雄大
重さのこともあるので、厳しい戦いを予想していました。テストの時から差をつけられていたので。実際、けっこう厳しかったんですけど、ドライバー4人とメカさんがミスなく、ひとつひとつ詰めていった結果が途中でトップを奪えて、そのまま独走状態を作れたと思うんです。ライバルが途中でいなくなったんですが、みんながしっかりと自分たちの仕事をできたっていうところが、やっぱりこの24時間ゴールにクルマを運べたってことですよね! 去年は出ていないんで初出場なんですよ、24時間レースには。その分、嬉しさも格別ですよね!

山内英輝
今回はウエイトもあったから、きついかなと思っていたんですが、いちばん速かったKTMさんがトラブルでいなくなったので、楽な展開にはなったんですけど、それは大きかったと思います。まだまだ重くなりますけど、その中で24時間を勝てたのはすごく嬉しいです。シリーズを考えてもすごく有利に動くと思うので。でも、気を引き締めて、次はジネッタも参戦するというので、それに負けないように頑張りたいと思います。

高橋翼
今回、早めにライバルがいなくなっちゃって、本当にまぁ、最初の方だったんですけど、なんとか対抗して、こっちもいろいろ戦略を考えてやっていたんですけど。単独になっちゃったんですが、自分たちの仕事をしっかりこなして、ゴールできたので、そこは良かったと思います。けっこう2号車は練習走行から速くって、実際に予選も前に行っていたんで、決勝も難しい戦いになるのかな、と思っていたんですが、みんなの力で前に出ることもできましたし、そこらへんはすごく良かったと思っています。

山田真之亮
GTよりも1スティントが長いので、いろいろと不安な面もあったんですが、走ってみるとその不安は払拭できる走りはできたかなと。けっこうセーブしつつ、いたわりながら走ることもできたので、途中まではライバルもいたんですが、脱落してしまったのでマイペースと言いますか、自分のペースで走るよう心がけました。

 

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