《決勝レポート2》ピレリスーパー耐久シリーズ2019 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース

ピレリスーパー耐久シリーズ2019 第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース 決勝レポート2
スタートから5時間経過、
いろんなことが起こっていた「魔の8時」

 

3回に分けてお届けする、決勝レポートの詳報はST-3クラス、ST-2クラス、そしてST-1クラスを今回もじっくりと。スタートから5時間を経過した8時過ぎには、アクシデントが続出。勝手に「魔の8時」などと称したが、振り返ってもらえば誰もがそう思うのでは!

 

 

1時間を前にして、いきなり起こったアクシデント。ST-3クラスに波乱の予感が

年間エントリーから1台も欠けることなく、しかもどこが勝ってもおかしくないチームがずらりと並んだST-3クラス。予選トップは昨年のウィナーでもある、#68 埼玉トヨペットGreen Brave GR SPORTマークXの服部尚貴/脇阪薫一/吉田広樹/平沼貴之/番場琢組。勝ち方を知っているチームが、しかも最速とは、ライバルを震わせるに十分なインパクトだったのではないか。

2番手には#34 TECHNO FIRST RC350の手塚祐弥/大草りき/前嶋秀司/大西隆生組がつけ、3番手は#62 DENSO Le Beausset RC350の嵯峨宏紀/山下健太/小河諒/平川亮/平木湧也が獲得。ノーウエイトであるだけに、ダークホースと目される#15岡部自動車Z34の長島正明/小松一臣/甲野将哉/たしろじゅん/古谷直広組は、5番手から徐々に順位を上げていくことが予想された。

一方、ポイントリーダーでもある、#38 ADVICS muta racing RC350 TWSの堀田誠/阪口良平/堤優威/新田守男組は40kgのウエイトハンディが響いているのか、7番手に甘んじていた。「重さは影響していると思います、特に直線で。エンドのスピードはそう変わらないんですが、並んで走ると中間が明らかに厳しいので。でも、レースのラップは心配していません」と阪口。

決勝ではオープニングラップのうちに、#62 DENSO Le Beausset RC350の山下がトップに浮上。いきなりのハイペースで後続を引き離しにかかる。これに続いたのは、#34 TECHNO FIRST RC350の大草、そして#14 HIRIX☆YAIMA☆Z34の伊橋勲だ。そこからいったんは大草が遅れをとり、#68埼玉トヨペットGreen Brave GR SPORTマークXの服部の先行を許すも、伊橋は逆にペースを上げて山下に大きく離れず。

そして、間もなく1時間目を経過しようというタイミングで、今回のレース最初のアクシデントが発生する。トップを邁進していた山下が29周目の1コーナーで、ノーコントロール状態でクラッシュ。#62 DENSO Le Beausset RC350はフロントにひどいダメージを負い、いったんはリペアエリアでの修復も検討されるも、やがてリタイアが告げられる。山下は大事を取って病院に搬送されるも、大事には至らず。「マシントラブル」と坪松唯夫監督。

代わってトップに立ったのは、#14 HIRIX☆YAIMA☆Z34の伊橋だったが、コースインしたばかりのST-X車両に1コーナーでラインを塞がれて接触。ノーズを痛めて緊急ピットイン。この時のダメージは致命傷とはならなかったものの、後にミッショントラブルを抱えて、勝負権を失ってしまう。

これでトップには#68 埼玉Green Brave GR SPORTマークXの番場が、タイヤ無交換でロスを最小限にしていたこともあって浮上し、トヨペット#34 TECHNO FIRST RC350の前嶋、阪口からバトンを託されていた、#38 ADVICS muta racing RC350 TWSの堤が続くことに。ただ、明るいうちの無交換は、まだ温度も高かったことから少々厳しかったようで、スティント半ばには番場のペースが鈍り出す。これを好機とばかりに、まず74周目に堤がトップに立ち、77周目には堤が2番手に浮上する。

第3スティントは#38 ADVICS muta racing RC350 TWSの堀田、#34 TECHNO FIRST RC350の手塚の勝負に。「このチームで、ピレリのタイヤとの相性がいちばんいいのが僕」とレース前に語っていただけあり、手塚はみるみるうちに堀田との差を詰めていく。だが、堀田もしっかりと踏ん張り、やすやすと手塚の逆転を許さなかった。それでもトップに立ってからの手塚は、一気にペースアップ。トップとしてリードを確実に積み上げていった。

 

魔の8時を難なくクリアした、TECHNO FIRST RC350が逃げ切りに成功!

5時間を過ぎると上位陣に、いよいよさまざまなことが起き始める。まずは#68埼玉トヨペットGreen Brave GR SPORTマークXがミッション交換を強いられ、その作業にほぼ2時間を要してしまう。そして#38 ADVICS muta racing RC350 TWSも接触による足回りのダメージが予想以上に大きく、やはり30分ほどピットに留まらざるを得ず。これで#34 TECHNO FIRST RC350のリードはより広がることになり、その一方で#15 岡部自動車Z34が2番手に浮上する。そして、3番手には#39 5ZIGEN ADVICS RC350 TWS TRACYの下垣和也/大島和也/近藤説秀/伊藤裕仁/廣島嵩真組がつけるように。

もはや無傷のまま残っているのは、この3台のみだったが9時間を経過して、もう1台にアクシデントが発生。#15 岡部自動車Z34がダンロップコーナー入口の縁石に乗って姿勢を乱し、そこを1台で通過していたなら、単にスピンを喫しただけで済んだかもしれない。しかし、目の前にST-5クラスの車両がいて接触してしまったばかりか、コーナーをインカットせざるを得ない状況において、もう1台とも接触していたのだ。

ピットに戻ってきた直後の#15岡部自動車Z34は、一見フロントノーズを失っただけに感じられたものだが、実はダメージはフレームにも。これまた修復に2時間以上を要し、トップ争いから脱落してしまう。一方、その頃すでに3周ものリードを奪っていた#34 TECHNO FIRST RC350には、もう無理をする必要はなくなっていた。それでも後続との差はじわりじわりと広がっていき……。一方、#39 5ZIGEN ADVICS RC350 TWS TRACYには、徐々に#38 ADVICS muta racing RC350 TWSが近づいていき、逆転も可能かと思われたものの、またしても接触があってマシンにダメージを負うことに。今回はどん底まで叩き落とされたわけではないが、どうにもツキには見放されていた。

結局、ノートラブルのまま24時間を走り抜いた#34 TECHNO FIRST RC350が、2位の#39 5ZIGEN ADVICS RC350 TWS TRACYに11周差の圧勝に。ラスト43分間はベテラン前嶋が乗り込んで、無事チェッカーを受けていた。3位には#38 ADVICS muta racing RC350 TWSがつけ、ランキングトップの死守には成功した。

 

ST-3クラスウィナー TECHNO FIRST RC350

手塚祐弥
びっくりするぐらい何にも大きなトラブルがなかったので、4人でひたすら淡々と(笑)。もうよけいな動きもせずに、とにかくぶつからずに走り続けて、優勝することができました。それも素晴らしいチームに恵まれたおかげです! これでまた、チャンピオンの可能性も出てきたと思うので、残り3戦も頑張ります。

前嶋秀司
 久しぶりっていうか、優勝は何年ぶり? あ、去年のオートポリスで勝ったか。じゃあ1年ぶり。でも、24時間レースは長〜いことレースやっているけど、初めて。レース歴は30年、このレースは27年ぐらいになるんだけど、N1耐久から始めて、実は初めて! めっちゃ嬉しい〜。最後はいいところちょうだいって(笑)。俺、走らせてって。ここから追い上げて、チャンピオン獲りにいきたいと思っています。

大草りき
 ハコでは初優勝です。1年半かかったんですけど、今年はいいチームメイトに恵まれて、クルマも前嶋さんと手塚くんのおかげで、とんでもない進化を遂げていて、やっと形になったかなという感じで。すごく嬉しかったです。

大西隆生
 僕はもう、ハイライトで何度も映してもらった(ダンロップコーナーで17時間目)スピンした時に、本当にぶつからなくて良かったという(笑)。あそこでぶつかっていたらどうしよう。たぶんタイヤカスに乗っただけで、トラブルでなかったから良かったし、その後も普通に走れたので。だいぶ足引っ張ったんじゃないですかね? あ、大丈夫。だいぶ優しいですね、とりあえず○ですか、ああ良かった(笑)。

 

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1年越しの無念を見事、晴らしたDAMD MOTUL ED WRX STI!

ST-2クラスは、いつものように#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの大澤学/後藤比東至/井口卓人/石坂瑞基組、そして#6新菱オート☆DIXCELエボXの冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄/八巻渉/藤井芳樹組の一騎討ちが予想された一方で、実はダークホースとして大逆襲を虎視眈々と狙っていたのが、#17 DXLアラゴスタNOPROアクセラSKY-Dの野上達也/谷川達也/大谷飛雄/澤圭太/野上敏彦組。ディーゼルエンジン搭載ならではの、好燃費を武器にピット回数を減らし、なおかつ昨年よりもアベレージが大幅に上がっていることもあり、「2強」が抑えて走っているうちに前に出てしまおうというわけだ。

予選トップは#59 DAMD MOTUL ED WRX STIだったが、決勝ではオープニングラップのうちに大橋が大澤の前に出て、まずは一歩リードの形から開始される。「もうバチバチ! たぶん86よりも遅いと思うけど(笑)」という菊地の予想どおりの展開となり、#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの最初のピットが少々早かったこともあり、しばらくはお互いのピットのたび、トップを入れ替える展開となっていた。そして、そのつど#17 DXLアラゴスタNOPROアクセラSKY-Dがギュッと差を詰めることに。どうあれ、3台は同一周回でのバトルを繰り広げていた。

だが、その三つ巴の戦いから最初に脱落してしまったのが、意外にも#17 DXLアラゴスタNOPROアクセラSKY-Dだった。5時間を過ぎて足回りにダメージを負ったのが原因だ。そうしたプレッシャーのひとつから解放されて、いつもどおりの一騎討ちが繰り広げられるが、先に白旗を上げたのが#6新菱オート☆DIXCELエボX。18時間目にパワステのポンプが悲鳴を上げた。何とか15分強で修復を果たすも、残り3時間を切ったところで、今度はミッションにトラブルに生じて万事休す。これでチームメイトである、#7 新菱オート☆NeoGlobe☆DXLエボXの成澤正人/岡崎善衛/安斎景介/面野一/今井慎吾組の先行をも許すことに……。

これにより、#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの逃げ切りが決定。昨年はスタート直後にST-X車両の激突を食らい、早々に勝負権を失っていたばかりか、その後も相次いだトラブルによって、まさに惨敗を喫していた。「チャンピオンは獲れたけれど、心残りというか、忘れ物があったような」とレース前に語っていた大澤。まさにリベンジ達成だ! そして僅差ではあるものの、ランキングトップにも返り咲いた。

 

ST-2クラスウィナー DAMD MOTUL ED WRX STI

大澤学
今はもう、ホッとしたという気持ちだけですね。序盤ちょっと苦戦していて、実はトラブルも出ちゃったんですけど、チームの方がすぐ直してくれて、全然大事に至らず挽回できていたので良かったです。まぁでも、ああいう展開になっても、本当にゴールするまでもう気が抜けなくて、ずっと胃が痛かったです(苦笑)。本当に良かったです。最後はかなり間が空いたんですが、チェッカー受けるまで勝った気がしないというか。去年のことはトラウマだったので、勝てて良かったです。

後藤比東至
 本当に言葉がないです。いや〜、結果はこんなに差がついているけれど、本当は厳しい24時間でした、特に16〜17時間までは! あ〜、何度か諦めかけましたが、それだけに今の嬉しさはひとしおです。

井口卓人
 いや〜、去年の悔しさを晴らせて、本当に良かったです。多少イレギュラーのピットもありましたけど、それ以外はクルマの調子も本当に良くて、24時間をかなり安定して走れました。向こうにトラブルありましたけど、途中まではガチンコでレースできていたので、かなり良かったですね。今回のポイントは大きいと思うので、チャンピオンシップも含めて最終戦までしっかり戦えるように準備したいと思います。

石坂瑞基
 去年があんな感じでしたから、リベンジできて嬉しかったですし、今回も決して楽な展開ではなかったので、本当に勝てて嬉しいです。ずっと競っていて、その中でも6号車のトラブルという形で決着がついてしまったと思うんですけど、そこまではすごいいいレースできていたと思うので、本当に嬉しいですね!

 

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D’station Porscheを襲った試練。それも織戸のドライブ中に……

#998 Z-REX ADVICS R8 TRACYが欠場のため、完走さえ果たせばポイントフルマークとなって、シリーズもかなり有利に運べることとなる、#47 D’station Porscheの星野辰也/織戸学/近藤翼/小林賢二/濱賢二組。ST-Xクラスのエントリーが4台ということもあり、総合での上位フィニッシュも狙えるし、何かが起これば総合優勝も……という立場にもあったが、「しっかり完走です、接触、トラブルなく、しっかり完走することが今回のテーマです」と織戸はきっぱり。レース序盤の明るいうちは、ジェントルマンの星野と濱で周回を重ね、暗くなってからは織戸と近藤、小林でつないでいった。

マシンそのものにはトラブルは一切生じず、順調そのもの。しかしながら間もなく日付が変わろうというタイミングで、予想外のアクシデントに見舞われる。セクター3で、ST-4クラスの車両からタイヤが脱落し、その直撃を織戸の走行中に食らってしまったのだ。「タイヤが走ってきたんだから」と織戸。ダメージはフロントバンパー程度かと思われたものの、ピットに戻って剥ぐってみると、チーム全員、驚愕の事態が。なんとダメージはフレームにも及んでいたのだ。幸い孤軍奮闘のため、しっかり修復してマシンをコースに戻す。

さらに20時間目をまたぐ格好で、またもピットでの修復も強いられていた。今度はタイヤカスがラジエータガイドを直撃。ラジエータまで影響を及ぼさなかったとはいえ、万が一もう一度があったら致命傷にもなりかねないからだ。とはいえ、その後は何事もなく、無事完走を果たして2連勝を飾ることとなった。

 

ST-1クラスウィナー D’station Porsche

星野辰也
去年より成長の走りができて、本当に良かったです。去年に続いて2連勝で、本当はアウディのR8がいれば良かったんですが、それはちょっと残念でした。次のオートポリスでも今日みたいな感じでまた、スキルアップできればいいなと思います。

織戸学
非常に良いチームと、良いスタッフと、良いドライバーで楽しく24時間レースができたんですが、途中危なくタイヤが飛んできて、大変な目に遭いそうになりました。それでだいぶ遅れちゃった部分はあるんですけど、きっちり完走できてチームに感謝しています。降りてから見たら、思った以上にダメージ大きくて、びっくりしましたよ! いちばんは辰也さんと濱さんの安定感と速さが、今回はびっくりするぐらいあって、僕らと本当に変わらないぐらいのペースで走行していただいたので、そこがいちばん嬉しいですね。翼ももう完璧で、小林先生も与えられたことを、しっかりとこなしてくれたということで完璧です。

近藤翼
しっかり走れたので良かったです。去年は(ST-Xクラスで)完走できなかったので、しっかり最後まで走れて、優勝できて良かったです。この調子で、次は86/BRZレースでも勝ちたいですねぇ(笑)。

小林賢二
去年も同じチームに助っ人で、ミスなく足を引っ張らないでゴールできて良かったです。夜も少しですけどね、暗くなりかけから真っ暗まで、微妙な時間を走らせてもらって、いい経験になりました。もし、機会があれば、またチャレンジしたいですね。

濱賢二
チーム的には結果的に目標どおり完走できて、最高だったんですが、最後に私自身ペナルティもらっちゃったんで、次戦に向けて冷静にドライビングできるように、やっていきたいと思っています。でも、結果は最高でした、非常に楽しめました!

 

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