《プレビュー》ピレリ スーパー耐久シリーズ2019 第4戦 TKU スーパー耐久レース in オートポリス

ピレリ スーパー耐久シリーズ2019 第4戦 TKU スーパー耐久レース in オートポリス プレビュー

早くも2クラスでタイトルに王手かかる!

全6戦で争われる、ピレリ スーパー耐久シリーズはオートポリスで第4戦を迎え、ここからシリーズ後半戦に差し掛かることとなる。今回は8クラス混走による、5時間レースとしての開催だ。今年は全体的に混戦模様という印象が強いものの、早くも2クラスにチャンピオン決定の可能性が……。どのクラスなのか、どういった条件で決まるのか、まず紹介したい。そして、その他のクラスに関しては、ここまでの中間展望をお伝えしよう。

 

 

ENDLESS AMG GT4、勝てば文句なく決まりのST-Zクラス

残るは3戦で、第5戦のもてぎは5時間レース、最終戦の岡山は3時間レースということで、この2戦いずれもポール・トゥ・ウィンとすれば、54ポイントの加算が可能である。つまり、今回のレースを終えた時点で55ポイント以上差を広げていれば、王座獲得ということになるわけだ。

その権利を持っているチームのひとつが、今シーズン唯一開幕3連勝を遂げている、ST-Zクラスの#3 ENDLESS AMG GT4の内田雄大/山内英輝/高橋翼組である。現在99ポイントを獲得し、2位の#2 ケーズフロンティア SYNTIUM KTMとの差はすでに57.5ポイントとあって、勝てば文句なしの決定ということになる。だが、3連勝したことによって、ウエイトハンディは75kgにも達しているので、勝つのは極めて困難だと言わざるを得ない。

#2 ケーズフロンティア SYNTIUM KTMの優勝を許すと先送りとなる一方で、それより先に#3 ENDLESS AMG GT4がゴールできれば決まりとなるが、果たして……。前回の富士では予選で圧倒的な速さを見せ、リタイアした6時間目までは安定の走りを見せていた#2 ケーズフロンティア SYNTIUM KTMは、初優勝を狙いに来るだろうが、その上でできれば1台でも、最後まで抵抗を続けるためにも間に挟みたいところだ。

そこで注目されるのが、田中勝輝/安田裕信/加納政樹/木下圭介組が走らせる、#35 モノコレ SUN’S TECHNO GINETTAである。昨年の最終戦・岡山でデビューしたが、この時は単独での参戦で、初めて勝負の機会が与えられた今年の開幕戦・鈴鹿では、練習中にクラッシュ。ようやく許された決戦の場で、果たしてどんな走りを見せてくれるのか。
というより、ST-Zクラス自体がオートポリスでは初開催になる。九州のファンが、初めて目にするGT4のポテンシャル、バトルに乞うご期待!

 

D’station Porscheは予選トップなら完走でST-1クラス連覇達成

もうひとつ王手がかかっているのが、ST-1クラスだ。ランキングトップとして臨むのは、#47 D’station Porscheの星野辰也/織戸学/濱賢二組だ。2位の#998 Z-REX ADVICS R8 TRACYとの差は62.5ポイントとあって、相手に残り3戦すべて優勝を許したとしても、今回予選トップで1ポイントを加えておけば、2位すなわち完走を果たすことで2連覇が達成される。ジェントルマンドライバーの星野、濱に対する、織戸学師匠の評価は回を重ねるごと高まっており、早々に気持ちを楽にしたいところだろう。

一方で#998 Z-REX ADVICS R8 TRACYは、型落ちでホモロゲは切れているとはいえ、車両そのものはFIA-GT3であるだけにポテンシャルの差は明らかだけに、#47 D’station Porscheにとっては予選トップの方がむしろ難しい可能性もある。単純に勝てば決まりではあるのだが。なお、毎回ドライバーラインアップの代わる#998 Z-REX ADVICS R8 TRACYだが、今回はジェフリー・ゼイ/ジェイソン・ジャン/レオ・イエー/サイモン・チェンという組み合わせ。初参加のジャンはCTCC(中国ツーリングカー選手権)にも出場しており、予選でどれだけ速さを見せるかで、抵抗が果たせるということになる。

 

話題のGOLDEX TAIROKU RACING GT-R出場せず、さらに……

今回、#300 TAIROKU RACING GT-Rのドライバーのひとり、ハリソン・ニューウェイの父親であり、言わずと知れた鬼才として知られるF1デザイナー、現在もレッドブル・ホンダで手腕を振るうエイドリアン・ニューウェイが、#200 GOLDEX TAIROKU RACINGで出場することで話題を集めるはずだったが、F1で優勝の影響なのか、マシン開発のスケジュールの変更によって都合がつかなくなり、急きょ出場を取り消しに。さらに#300 TAIROKU RACING GT-Rも、オーナーでもある山口大陸の体調不調により、やはり出場を取り消すこととなった。残念ではあるが、やむを得まい。

これで俄然、タイトル争いを有利に進められそうなのが、#1 GTNET GT3 GT-Rの浜野彰彦/星野一樹/藤波清斗組だ。富士24時間の2年連続優勝を飾ったばかりか、目下2連勝でランキングのトップ。今回も勝った上で、現在ランキング2位である、#9 MP Racing GT-RのJOE SHINDO/柴田優作/影山正美/TBN組がリタイアでもしたなら逃げ切りも可能だが、このチームの完走率は極めて高いことから、まずあり得ないと断言してもいいはずだ。

ル・マン24時間テストデーとの日程重複から、前回の富士24時間を欠場した#777 D’station Vantage GT3が真っ白いボディで出場するのも話題のひとつ。従来のマシンはスーパーGTに登録変更したため、月曜にシェイクダウンを行ったばかりの、まっさらのニューマシンで挑むこととなる。なお、ドライバーは星野敏/TBN/近藤翼となっており、第2戦まで出場していたダレン・ターナーは今度乗車の予定はないという。現時点で正式な発表はないが、シェイクダウンを担当したことから藤井誠暢がドライブするのではないかと思われる。

 

三つ巴の戦いが続くのかST-TCRクラス、混戦状態は最後まで?

昨年とは打って変わってST-TCRクラスが、今年は大混戦だ。3戦終えてウィナーは3チーム。ランキングのトップに立つのは、#45 BRIN・NAUB RS3 LMSの竹田直人/白坂卓也/田ヶ原章蔵組で、参戦3年目にして富士24時間で挙げた初優勝が、大きくモノを言う格好となっている。2位は開幕戦を制した#65 Phenomen Mars Audi R8 LMSで、3位は第2戦を制した#19 BRP★Audi Mie RS3 LMSと、順当な並びとなっている。この3チームだけでも、差は14.5ポイントでしかないため、タイトル争いはどうあれ最後まで持ち越されそうだ。

なお、#65 Phenomen Mars Audi RS3 LMSも、#19 BRP★Audi Mie RS3 LMSも、サーキットごとドライバーの最適化をはかって臨んでいるが、今回のラインアップは松井猛敏/加藤正将/下山征人/今村大輔組、太田侑弥/松本武士/篠原拓郎組となる。これがどう影響を及ぼすか。

どのチームが最初に2勝目を挙げるのか、それとも4チーム目のウィナーが誕生するのか、大いに気になるところだ。4チーム目が誕生するとなれば最も有力なのが、ディフェンディングチャンピオンでもある、#97 Modulo CIVICの植松忠雄/中野信治/遠藤光博/大津弘樹組だろう。今年はどうにも歯車が噛み合わずにいるが、黙って手をこまねいているとは思えず、むしろリスク承知の戦いに挑んできそうな気配もある。

 

トップと2位が最僅差のST-2クラス

ST-2クラスは、毎度変わらぬ一騎討ち状態。トップは#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの大澤学/後藤比東至/井口卓人/石坂瑞基組ながら、わずか3.5ポイント差で#6新菱オートDIXELエボXの冨桝朋広/菊地靖/大橋正澄組が続いている。優勝回数は#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの方が勝るのだが、第2戦のリタイアが差を広げられずにいる原因だ。

パフォーマンス的にはほぼ互角。今年は特にそう感じられる一方で、両車とも長年のレース仕様が原因なのか、レース中にトラブルを抱えることも少なくなく、さながらサバイバル戦の様相を呈してはいる。それさえなければ、常にお互いが見える位置で周回を重ねているだけに、最後まで続く見応えのあるバトルを期待したい。

 

全チームに王座獲得の権利あるST-3クラス

今年もシリーズ随一の激戦区であるのが、ST-3クラスである。7チームが出場して、全体の差が38.5ポイントでしかないからだ。完走率まで高いクラスだけに、上位が揃ってリタイアするなどということはないだろうが、すなわち数字の上では全チームにチャンピオンの可能性が残されているとも言えよう。少なくても、どのチームも安泰ではないのは間違いない。

ポイントリーダーは、連覇を狙う#38 ADVICS muta racing RC350 TWSの堀田誠/阪口良平/堤優威組ながら、前回の富士24時間で優勝を飾った、#34 TECHNO FIRST RC350の手塚祐弥/大草りき/前嶋秀司組が急接近。8.5ポイント差にまで迫ってきた。しかも、#34 TECHNO FIRST RC350にとってオートポリスは、昨年優勝を飾って相性のいいサーキット。逆に#38 ADVICS muta racing RC350 TWSは、その差とは裏腹にウエイトハンディがきつく、50kgを背負っているのに対し、ライバルはせいぜい25kg。唯一表彰台に上がり続けていることで、思いがけぬ違いになってしまっている。

このアップダウンの激しいオートポリスにおいては、#38 ADVICS muta racing RC350 TWSが我慢のレースを強いられるのは間違いない。その間に、どのチームがまた差を詰めてくるか。今回の結果が、タイトル争いにかなり大きな影響を及ぼすのではないだろうか?

 

ENDLESS 86がカギを握る!? ST-4クラスのタイトル争い

昨年は追いかける立場だった、#884林テレンプSHADE RACING 86の平中克幸/国本雄資/HIRO HAYASHI組が、今年は開幕2連勝を決めて追われる立場に。立場を入れ替え、追いかけるのは、#86 TOM’S SPIRIT 86の松井孝允/坪井翔/中山雄一組だ。敗れた2戦はいずれも、以前ならあり得ないようなトラブルで完走を果たすに留まったが、前回の富士24時間は完璧なレース運びで流れを取り戻した感はあった。ともあれ、現在の差は26ポイント。これをお互い、大きいと思っているか、小さいと思っているか、意識の違いで残りのレースの戦い方は確実に変わってくるだろう。

なお今回、#884林テレンプSHADE RACING 86は、石川京侍を加えての参戦となる。スーパーGTで初優勝を飾ったばかりのラッキーボーイの起用は、どうあれマイナスにはならないはず。この布陣を敷いたからには、守りのレースをすることはないだろう。#86 TOM’S SPIRIT 86も、もう優勝しか狙っていないはずなので、壮絶なバトルが繰り広げられるのは必至と言える。

一方、中山友貴/宮田莉朋/蒲生尚弥組と、今年はドライバーを一新して挑んでいる、#13 ENDLESS 86も成績は右肩上がり。前回も2位に入っているだけにトップ2のチームは、いずれも割って入って欲しいと思っているに違いない。

 

ST-5クラスの上位独占なるか、J’S RACING!

ST-5クラスも今年は激戦が続き、毎回ウィナーが入れ替わっている。だが、ポイントリーダーは、意外にも未勝利のチーム。#69 J’S RACING☆FITの梅本淳一/窪田俊浩/梅田真祐組がコンスタントな入賞で、第2戦を制している#70 J’S RACING☆FITの植田正幸/久保田英夫/高橋宏和組を、4.5ポイント差で抑えている。そのことはすなわち、チーム内バトル勃発ということ。作戦を違えて挑んでいることで、シーソーゲームのようになっているのだろう。

このクラスはタンク容量も少なければ、1回にできる給油量も少ないので、速く走るか燃費を稼ぐか、実に悩ましいところではある。その上でトラブルを抱えないことが、何より重要となるだけに、上位の独占は見事の一言。一時期の強さを取り戻しているのは明らかだ。今後も骨肉の争いが注目される。

一方で、ロードスター勢が苦戦を強いられているのもまた事実。わずか20kgの最低重量追加であっても、相当重くのしかかっているよう。ただ、運にも見放され続けていた感のあった、#88村上モータースMAZDAロードスターの村上博幸組が前回の富士24時間で苦境から脱し、一気に差を詰めてきたのは見逃せない。今後の巻き返しにも注目される。今回の村上のパートナーは、山谷直樹と雨宮恵司、梶谷太郎だ。

また決勝では目立った結果を残せずにいるものの、予選での速さでは#101ヒロマツ デミオの吉田綜一郎/佐々木孝太/KENBOW組も際立つようになってきた。これを決勝でも結びつけられれば、まだまだシリーズにも大きな流れが生じるはずだ。

 

さて、気になる週末の天気だが……。なんと天気には恵まれ続けているはずのスーパー耐久ではあるのに、曇り時々雨やら曇り一時雨の表示が、この原稿執筆時点で! 下手に雨でも降ろうものなら、山間に位置するオートポリスはやんだ途端に霧、ということが往々にしてある。雨以上に厄介な代物には、何としても遭遇したくないもの。全関係者の日頃の行いに期待しよう!

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