ピレリスーパー耐久シリーズ2020 富士スピードウェイ公式テストレポート

ピレリスーパー耐久シリーズ2020 富士スピードウェイ公式テストレポート
全セッションでD’station Vantage GT3がトップタイムをマークする

今季2回目となるスーパー耐久シリーズの公式テストが、富士スピードウェイで開催され、まだ梅雨も明けていないこともあって、3セッションのうち2セッションがウェットコンディションでの走行となってしまった。
が、残りのセッションは、ほぼドライコンディションが保たれ、激しくトップが競われていた。
全チームがセットアップも進めていく中、トップタイムをマークしたのはD’station Vantage GT3の星野敏/藤井誠暢/近藤翼組。
そのST-Xクラスは、特に上位が僅差で並ぶことともなっていた。

 

 

雨に見舞われたセッション1

新型コロナウイルス感染予防のため、ありとあらゆるイベントが大幅なスケジュール変更を求められたが、もちろんピレリスーパー耐久シリーズも例外ではなく、9月4〜6日にようやく開幕戦として「富士SUPER TEC 24時間レース」を開催することとなった。

これに先駆けて7月30日に、富士スピードウェイで2回目の公式テストが行われた。
ちなみに前回のテストは、コロナ禍前の2月29日に行われており、実に5か月ぶりの開催でもある。
なお、今回のテストはデイセッションを1時間30分ずつ2回、そして18時50分からのナイトセッションは1時間40分で実施された。

10時30分からのセッション1は、セミウェットと言うべき路面状態からの走行開始で、周を重ねるごとにタイムも短縮されていくことが予想されたが、間もなく雨に見舞われて水しぶきさえ上がるようになり、ほとんどのチームが早々に記したタイムを上回ることはできずじまい。
そのセッション1のトップは#777 D’station Vantage GT3の藤井誠暢で、1分47秒116がマークされている。
ST-Xクラスは4台が走行、これに続く総合5番手はST-Zクラスで#47 D’station Vanatage GT4を駆る織戸学。
そして総合8番手に、ST-3クラスで#244 QUEEN EYES 34Zをドライブする三宅敦詞がつけていた。

 

 

トップ4は1秒以内! スピードは実力伯仲のST-Xクラス

セッション1が終わって間もなく雨はやんだため、本格的なパフォーマンス発揮の場はセッション2となった。
いきなりドライタイヤで走れる状況にまで回復したため、セッション1のタイムはあっという間に更新される。
まずは#777 D’station Vantage GT3の藤井、そしてこのセッションから走り始めた#81 DAISHIN GT3 GT-R GTNETの星野一樹が、開始早々シーソーゲームを繰り広げた。
ほぼ毎周のようにトップを入れ替え合うが、最終的にタイミングモニターの一番上に名を記したのは藤井で、1分41秒103をマーク。
星野は1分41秒313で続く。
このふたりに続いたのは、#31 aprのレクサスRC F GT3を駆る中山雄一で1分41秒873。

1時間を経過して間もなく、#9 MP Racing GT-Rの助っ人ドライバー、松田次生が1分41秒123を記録して2番手に浮上。
藤井との差はわずかコンマ02秒、これで4台が1秒にも満たない差で並ぶことに。
エントリーリストには名を連ねていたものの、不参加だった#300 TAIROKU RACING GT-R GT3がいたならば、いったいどの位置につけていたのだろう?
いずれにせよ、ST-Xクラスは速さに関しては均衡状態にあり、あとはどれだけの強さを持っているかが本番の鍵を握るはずだ。

なお、うっすら霧に覆われ、序盤は路面が再び濡れていたナイトセッションながら、コンディションの回復とともに、#777 D’station Vantage GT3の藤井は1分41秒912をマークして、デイセッションのタイムにも肉薄。
まさにパーフェクトなテストデーとなっていた。

 

S耐レジェンドが帰ってきたST-Zクラス

8台が参加し、よりいっそう車種のバラエティに富むようになったST-Zクラスは、昨年同様メルセデスAMG GT4が速さを見せていた。
トップタイムを記したのは#3 ENDLESS AMG GT4の山内英輝。
1分49秒186をマークして、#500 5ZIGEN AMG GT4の青木孝行をコンマ8秒引き離していた。
3番手はケーズフロンティアSYNTIUM KTRの小林崇志だった。
ちなみにナイトセッションにおいても、#3 ENDLESS AMG GT4の山内はトップにつけていた。

その3台に続いたのはいずれも新勢力で、4番手につけたのは#47 D’station Vantage GT4、5番手は#20 SS/YZ BMW。
このチームには最多勝を誇る木下隆之が、かつてのパートナーである砂子塾長とともにシリーズに復帰している。
再び記録を伸ばせるか注目だ。

 

少数精鋭の激戦が期待されるST-TCRクラス

2台のみの参加となったST-TCRクラスは、千代勝正が1分50秒231をマークした#22 WAIMARAWA KIZUNA Audi RS 3 LMSがトップ。
これに#290 植松忠雄が1分51秒548を記して続くこととなった。
なお、#22 WAIMARAWA KIZUNA Audi RS 3 LMSはナイトセッションでもトップタイムを記録した。

前回のテストでも参加は1台だけと、これまでのような活況ぶりは薄くなったものの、それぞれ実力派をずらり並べているだけに、いわば少数精鋭の激戦が本番では繰り広げられるに違いない。

 

ST-1クラスではROOKIE Racing GR SUPRA、またも速し!

ST-ZクラスのGT4車両を上回る速さを見せたのが、ST-1クラスの#28 ROOKIE Racing GR SUPRAだった。
蒲生尚弥が1分47秒325をマークして、他を圧することに。
3セッションすべてでトップでもあった。
セッション2で2番手につけた#12 FMR Cayman GT4も、その名称どおりGT4車両。

#38 ADVICS muta Racing RC F TWSは、市販車の状態から製作されていることから、バランスという面では引けを取っているようだ。
トップ2台には3秒遅れとあって、一発の速さでは勝負できないかもしれないが、豊富なデータがむしろ本番では活かされるかもしれない。

 

DAMD MOTUL ED WRX STIがST-2クラス王者の意地を見せる

セッション1ではトラブルに見舞われたこともあり、トップを#32 ROOKIE Racing GR YARISに明け渡した#59 DAMD MOTUL ED WRX STIだったが、コンディションに恵まれたセッション2ではトラブルも解消したこともあり、しっかりトップに。
石坂瑞基が1分54秒925をマークした。

一方、破れたりとはいえ#32 ROOKIE Racing GR YARISも佐々木雅弘が1分55秒182を出しており、その差はコンマ2秒でナイトセッションではトップ。
今回は出場しなかった、#2 新菱オートDIXCELエボXと三つ巴の戦いはもはや必至といえよう。

 

今年はZが速い! ST-3クラストップはQUEEN EYES 34Zが獲得

3台の参加となった、ST-3クラスは#244 QUEEN EYES 34Zがドライコンディションでも絶好調。
引き続きルーキーの三宅がトップタイムとなる、1分53秒630をマークしている。

注目の#52 埼玉トヨペットGreen Braveクラウンは3番手。
シェイクダウンを済ませたばかりの状態ではあるだけに、トップから1秒3遅れはまずまずではなかろうか。
ナイトセッションでのタイムアップは果たせなかったがトップにはつけただけに、まだまだ伸び代はありそうだ。

 

激戦必至のST-4クラス。GR Garage水戸インターGR86が逆転でトップに

序盤のST-4クラストップは、連覇を狙う#884 林テレンプ SHADE RACING 86。
開始早々に平中克幸が1分59秒822を記し、その後に国本雄資が1分59秒709にまで短縮して、最後までポジションキープなるかと思われた。

だが、終盤に逆転を果たしたのが、#310 GR Garage水戸インターGR86の坪井翔。
1分57秒914をマークして、コンマ8秒の差をつけることとなった。
もちろん、ナイトセッションでもトップ。
3番手は#13 ENDLESS 86が獲得した。

 

ST-5クラスでデミオがスピードを発揮し始めた!

最多となる9台が出場したST-5クラスは、長らく井尻薫が2分8秒496をマークした#37 DXLワコーズNOPROデミオSKY-Dがトップだったが、中盤に差し掛かって#50 LOVEDRIVE RACINGのロードスターを駆る、山西康司が2分8秒220で逆転に成功。
さらに#456 odula AVANTECH ロードスターにも先行を許し、#37 DXLワコーズNOPROデミオSKY-Dは3番手に退いた。

とはいえ、デミオがスピードでライバル車両と肩を並べたのは、今までなかったこと。
さらにいえば、このクラスは5台が1秒の間に並んでおり、今回は1台も姿を見せなかったFIT勢がいたならば、どうなっていたか分からないものの、本番も激戦となるのは間違いないだろう。

なお、ナイトセッションは再び雨でコースが濡らされ、しかも薄い霧が発生してしまったため、どのクラスも前回のテスト同様、このセッションでトップタイムは更新されず。
それでも、このクラスでは#456 odula AVANTECH ロードスターの橋本陸が、終了間際に2分8秒253をマークして、逆転にあとわずかまで迫っていた。

 

ST-Xクラストップ D’station Vantage GT3

星野敏
「トップタイムは藤井選手が出してくれましたが、クルマは昨年から比べてバランスが良くなって、非常に乗りやすくなりましたね。
ちょっとハーフウェットぽかったですけど、トップタイム出て良かったです。自分もいいタイムを出せたのは、クルマが良かったせいだと思います。
近藤選手もすごく速かったので、頼もしいですね!」

 

ST-Zクラストップ ENDLESS AMG GT4

山内英輝
「クルマのバランスとしては、まだ納得していない部分はあるんですけど、他社と比較してもトップタイムではあるので、そんなに悪い位置ではないのかと思います。
ただタイヤ状況が、まわりが分からないので、自分たちのベストを、いいクルマを作っていこうと集中しています。」

 

ST-TCRクラストップ WAIMARAMA KIZUNA Audi RS 3 LMS

安田裕信
「ベストタイムは千代選手がニュータイヤで出してくれました。
僕は1年ぶりに、このクルマ乗るんですが、FFだからすぐ慣れたし、扱いやすいし。
レースに向けては24時間、去年クラッシュして…、1位とか2位争っていたのに。
今年は慎重に、みんなで運転すれば大丈夫だと思うんですが、遅いクルマを抜いたり、後ろから速いクルマを抜かさせたり、そのへんが24時間の難しさだと思います。
それでも、こういうレースは得意なので、頑張りたいと思います。」

 

ST-1クラストップ ROOKIE Racing GR SUPRA

蒲生尚弥
「昨日からスポーツ走行も行なっているんですけど、ようやくドライコンディションでちゃんと走れました。
このスープラは新しいクルマですけど、今のところ順調に走れていますし、スープラの良さのコーナリングや直線の伸びも非常に良く感じているので、順調に仕上がっていると感じています。」

 

ST-2クラストップ DAMD MOTUL ED WRX STI

大澤学
「感触は悪くないけど、そんなに良くもないって感じですね。
クルマは、ハコを前回のテストから変えて、寒い時はタイヤも良くて、クルマのバランスと合っていたんですが、ちょっと路面温度が高いと、アンダーが強くて。
今朝もトラブルがあって、ちゃんと走れなかったんで…。
まぁ、これから本番に向けてセットアップを詰めていきます。
ヤリスは速いですね、正直ちょっと決勝であのペースで走られたら、しんどいかもしれないですね。」

 

ST-3クラストップ QUEEN EYES 34Z

三宅敦詞
「ハコ車でのレースは今年が初めてなんですけど、GTでも乗らせていただいていて、その速いGTの後なので、それが余裕になっているかもしれません。
2月のテストに続いて今回も調子いいんですが、ただクラウンがどんだけ上げてくるか分からないので、油断できないというのが本音ですね。
一発のタイムが速くても、24時間はかなり長いので、そういう走りも哲也さんとか徹さん、公哉さんは経験者なので、しっかり教えてもらってレースでも1位になれるようにしたいな、と思います。
Hパターン(のミッション)はまだ慣れません。
大事な周にミスしたりして(苦笑)、スーパーFJで乗っているんですけど、右なんですよね。
左でやるのは免許取って以来、やっていないので、もうちょっと完璧にできたら、もうちょっとタイム上がると思います。」

 

ST-4クラストップ GR Garage水戸インターGR86

坪井翔
「やっとドライで走れたのでセットの確認をしながら、やりたいメニューをこなしながら、って感じだったんですが、前回のテストもけっこうドライは調子良くて、その感じをキープできたかなと。
ちょっと混雑しながらのアタックだったので、まだまだ伸び代はあるのかなと思いますけど、ひとまずトップタイムなので仕上がりは順調だと感じています。
いきなり24時間ですから、速さというよりチームの総合力も大事だと思うので、このテストからチームワークをしっかり固めて、ミスなくこなせられるようにしておけば、24時間も大丈夫だと思います。
速さに関しては全然問題なさそうなので、あとは壊れない、ミスしないというのを意識していきます。」

 

ST-5クラストップ マツダ ND ロードスター

山西康司
「一歩一歩クルマを作り上げていく中で、入れ替えたんですよ、女性陣は78(号車)で、男性陣は50(号車)に。
そこの積み重ねが、もう一歩欲しいな、というところを練っていったので、順調には来ているかな、という感じです。
他と比べる機会がなかったから、ようやく他と一緒に走れて、楽しみながらやっています。
2台とも雰囲気を似せて、78のデータを50に活かさせてもらって。
50のいいところも78にフィードバックして、そういう2台体制のメリットも活かしてやっていきたいと思います。
自分としてはチームを引っ張っていかなければいけない立場で、運営のところも勉強しながらと思っていますが、やはりドライバーとして結果を出すことをメインで頑張っていきます。」

 

(インタビューはマスク着用の上、ソーシャルディスタンスを保って、させていただきました)

 

(はた☆なおゆき)

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