《プレビュー》ピレリスーパー耐久シリーズ2020第1戦

ピレリスーパー耐久シリーズ2020第1戦プレビュー

いよいよスタートするスーパー耐久、それも富士24時間から!

本来、3月に鈴鹿サーキットで幕を開けるはずだったピレリスーパー耐久シリーズながら、新型コロナウイルスの影響で大幅なスケジュールの見直しを余儀なくされたのは、ご存知のとおり。
5か月遅れではあるものの、ようやくスタートが富士スピードウェイで切られることとなった。
それもいきなり24時間レースという!

 

 

過去2回とは異なるシチュエーション。でもポジティブに!

「NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」も今年で3回目の開催となり、どれだけドラマチックで、かつファンタスティックなイベントであるかは、すでに浸透したのではないだろうか。
昼夜通してのレースはドライバーとチームだけでなく、サーキットにいるすべての人々との一体感を生み、大いに盛り上がりを見せてきた。

ただ、今回は今年初めてのレースであること、そして6月から9月に改められての開催ということで、過去2回とは幾分シチュエーションにも変化がある。
2度の公式テストが行われたとはいえ、オフの間に仕立てられた、あるいは仕立直されたマシンが数レースを経て、鍛え上げられた後の24時間レースではなく、さらに今回は猛烈な暑さにも見舞われかねない。

だが、あえてポジティブにとらえたい。
こんなハードな状況であるからこそ、本当に強いチームだけが勝てるのだと!

 

3連覇の期待がかかるGTNET MOTOR SPORTSにレジェンドが!

FIA-GT3によって争われるST-Xクラスは、5台での戦いに。
これはすべてのクラスに当てはまるだろうが、温度的な条件によって、あらゆる記録の更新は難しいだろう。
このクラスの周回数は昨年、801周にも達し、レコードタイムも1分38秒321となった。
さらに昨年は赤旗中断がなく、セーフティカー(SC)すら導入されず、アクシデントは4回のFCY(フルコースイエロー)での対応で可能だった、という背景もある。

ST-Xクラスの優勝候補はGTNET MOTOR SPORTS。
それは過去2回の優勝で、誰もが認めるところだろう。
24時間レースの戦い方を知り尽くし、離れず追いかけ、もしくは控えめに逃げて、だがラストスパートには自信ありのチームだ。
なおかつ今年からマシンも最新モデルのGT-Rに改め、DAISHIN GT3 GT-Rとしての参戦となる。

それはつまり、レジェンド・ジェントルマンの大八木信行の復帰を意味しており、2010年にスポット参戦があったが、シリーズを通しての参戦は2001年以来、19年ぶり。
チームメイトは星野一樹と藤波清斗、息子である大八木龍一郎、そして助っ人として平峰一貴と坂口夏月が加わることになる。

そして7月の公式テストでトップだった、D’station Racingも侮れぬところ。
2シーズン目のアストンマーティン・ヴァンテージGT3も、ピレリタイヤとのマッチングが進んで安定感がより増した印象だ。
星野敏のチームメイトは、藤井誠暢と近藤翼が従来どおり。
これに元嶋佑弥が加わった。

もう1台のGT-Rも最新モデルにスイッチ。
MP Racingは、JOE SHINDOと柴田優作、影山正美、井上恵一の布陣は昨年同様。
今回、助っ人として先のスーパーGTを制したばかりの松田次生が加わることに。
ある意味、最も勢いのあるドライバーであり、国際レースではGT-R GT3の経験が豊富でもあるだけに、ポテンシャルの引き出しにも貢献するはずだ。

新規参戦はaprとMercedes-AMG Team HIRIX Racing。
aprはスーパーGTにも挑む技術集団で、スーパー耐久にはST-1クラスを戦っていた、2018年以来の参戦。
初めて走らせるFIA-GT3のレクサスRC F GT3を、どう手なずけるか?
ドライバーは永井秀貴と嵯峨宏紀、小高一斗、永井宏明、中山雄一、そして上村優太。

Mercedes-AMG Team HIRIX Racingは、昨年までOKABEJIDOSHA motorsportをサポートしていたHIRIXが新たにチームを立ち上げ、メルセデスAMGのサポートを受けての参戦となる。
当初、山脇大輔以外は外国人ドライバーが起用されるはずだったが、コロナ禍の影響により、現状ショウン・トンだけになる一方で、高木真一と林久盛、そしてランボルギーニのGT3ジュニアプログラムドライバーに昇格なったばかりの根本悠生も加えられることとなった。
未知数ながら、この陣容だけ見ても、注目すべきチームだと言えそうだ。

 

ST-Zクラスはメルセデス包囲陣が、どう機能するか?

GT4によって競われるST-Zクラスには、7台がエントリー。
車種のバラエティにも富むようになって、ますます注目度を高めているクラスである。
連覇と連勝を狙うメルセデスAMGのENDLESS SPORTSは、内田雄大と山内英輝、高橋翼、山田真之亮は昨年と変わらず、さらに富田竜一郎をラインアップにつけ加えた。
抜群のチームワークで、今回も本命か。

もう1台のメルセデスAMGで昨年の最終戦から参戦のTEAM 5ZIGENは、大塚隆一郎と青木孝行、下垣和也、鉢呂敏彦、金石年弘、廣島嵩真という陣容で挑む。

ENDLESS SPORTSに昨年、最後まで立ちはだかったKTMカーズジャパンも、今年は飯田太陽と加藤寛規、小林崇志、高橋一穂の組み合わせで変わらず、さらに柳田真孝を助っ人に起用。
直線のメルセデス、コーナーのKTM X-Bowと特性の違いが、今回のレースにどう影響を及ぼすのか注目される。

他の4台はいずれもニューマシン。
昨年のST-TCRチャンピオンチームのバースレーシングプロジェクト【BRP】は、ST-Zクラスに注力することとなり、ポルシェ・ケイマンMRを走らせる。
ドライバーは福田幸平と松本武士、塩津佑介、奧村浩一、霜野誠友、一條拳吾の6人。

SS/YZ RACING with StudieはBMW M4を投入。
ドライバーは帰ってきたレジェンド、木下隆之と砂子塾長、鈴木宏和、荒聖治、J.P.デ・オリベイラの5人。

そして昨年のクラス1チャンピオンチーム、D’station Racingはアストンマーティン・ヴァンテージGT4にスイッチ。
ドライバーは星野辰也と織戸学、篠原拓郎、銘苅翼、浜健二という布陣で挑む。

Audi Team AS Sportは、ST-TCRクラスから移行。
アウディR8 LMS GTを走らせるのは、西村元気、岡本武之、田ヶ原章蔵、藤原能成の4人。
いずれの車両も戦闘力は未知数ながら、それがかえってレースを盛り上げる要素となるだろう。

 

助っ人プロがあまりに豪華なST-TCRクラス

4台が挑むST-TCRクラスは、2台のアウディRS3 LMSと2台のホンダ・シビックによる、まさに真っ向対決の様相となっている。
アウディ勢の先鋒は、WAIMRAMA KIZUNA RACINGか。
ジェントルマンドライバーのキズナをサポートするのは、千代勝正と安田裕信、大草りき、山野直也、吉田寿博といった豪華ラインアップ。
一方、Audi Team Marsはツーリングカーのエキスパートである塚田利郎と加藤正将、下山征人、長谷川大佑、松井猛敏に、元F1ドライバーで富士24時間初挑戦の山本左近を加えている。

対するホンダ勢は、ジェントルマンドライバーを支えるプロドライバーが、いずれもえげつない!
Racer DOME RACINGは遠藤光博を、中野信治と大津弘樹が、そしてFloral Racing with UEMATSUは植松忠雄を、井出有治と川端伸太朗、野尻智紀がアシストする。

4チームともに総合力では互角と見られ、ミスを最小限に抑えたチームに栄冠が輝くこととなるだろう。

 

少数精鋭のST-1クラスは展開が、まったく読めず!

ST-1クラスは、いずれも異なる車両3台での戦いとなる。
FIELD MANAGEMENT RACINGは、GT4仕様のポルシェ・ケイマンMRで、ROOKIE RACINGはトヨタGRスープラで、そしてTRACY SPORTSはレクサスRC Fでの参戦となる。
いずれも実戦を走るのは、これが初めての機会となり、正直どんな展開になるのか読めない、というのが率直な印象だ。

経験とラインアップ的には、TRACY SPORTSの堀田誠と阪口良平、堤優威、阪口晴南が強力そうで、混戦模様になればなるほど強さを発揮しそう。
一方、ROOKIE RACINGはGRスープラに、スーパーGT同様、初陣を飾らせたいと考えているはず。
FIELD MANAGEMENT RACINGはAドライバーが現状、TBNとなっているのが、かえって不気味な感も。
だからこそ、しっかり戦いを見届けていただきたい。

 

GRヤリスのポテンシャルがカギを握るST-2クラス

5台で競われるST-2クラスは、やはり大本命はスバルWRX STIを走らせるTOWAINTEC Racingだろう。
前人未到の6連覇を達成し、昨年の富士24時間も制している実績からすれば、否定するものの方が、むしろ少ないのでは。
今年は大澤学と後藤比東至、石坂瑞基といったおなじみのメンバーに、GR86/BRZレースで昨年クラブマンシリーズエキスパートクラス2位の鶴賀義幸を加えての参戦。
ハコ替えと称する、シャシー一新効果も確実にあるはずだ。

一方、2台の三菱ランサーエボリューションXで挑む、シンリョウレーシングチームも冨桝朋広をエースとする6号車をメインに戦っていくだろうが、もし何か起これば成澤正人中心の7号車がバックアップするという強みもある。

マツダ・アクセラ・ディーゼルターボを走らせる、TEAM NOPROも燃費の良さばかりでなく、徐々に速さも備わってきた。
ノートラブルで淡々と走って、終盤気がつけば・・・の展開とて、ないとは言えず。

そんな状況の中で、初参戦であるだけに未知数ではあるものの、裏本命的存在がROOKIE RACINGのトヨタGRヤリスではあるまいか。
単純に1.5ℓターボという、小排気量であるハンデはありながら、先の公式テストではコンスタントにラップに刻み続けていたのが、大いに気になるところ。
しかもTBNであるドライバーを囲むメンバーが、あまりに豪華!
石浦宏明と佐々木雅弘、そして4WDを熟知する井口卓人、全日本ラリードライバーの勝田範彦まで加えているのだから、デビューウィンは至上命令かも。
このクルマのポテンシャル次第で、今後の動向さえうかがえそうだ。

 

ST-3クラスではフェアレディZの復権か、クラウンRSの躍進ありか?

ST-3クラスは、チャンピオンチームのTECHNO FIRSTが活動を自粛し、またLe beausset Motor Sportsが活動を終了するなど、4台のみの戦いになってしまった。
それでも少数精鋭、どのチームにも勝つ権利がありそうだ。

まずは最低重量の見直しで、再びチャンスが広がったのが日産フェアレディZである。
7月の公式テストでは田中徹、田中哲也、三宅淳詞、佐藤公哉を擁するMax Racingがトップ。
もちろん長島正明、小松一臣、たしろじゅん、勝亦勇雅、山崎学、甲野将哉というラインアップで挑む、OKABEJIDOSHA motorsportも引けを取らぬポテンシャルを発揮するはずだ。
純スポーツカーの復権が期待される。

TRACY SPORTSのレクサスRC350には安定のスピードが期待できる一方で、未知なるポテンシャルに注目されるのが埼玉トヨペットGreen Braveのトヨタ・クラウンRSである。
ライバル車両がNAの大排気量エンジンを搭載するのに対し、クラウンRSは2ℓのターボエンジンを搭載。
どうしてもレスポンスがピークになりがちで、ワイドトレッドかつロングホイールベースであることは、セクター3のようなテクニカルセクションでは不利かも。

逆に言えばセクター2のような高速コーナーでは安定感もありそうで、どちらの特性がマージンになるかで、戦い方が変わってくるだろう。
服部尚貴、吉田広樹、川合孝汰、平沼貴之という強力ラインアップには十分期待が持てそう。
いずれにせよ、めまぐるしくポジションが入れ替わる戦いは必至である。

 

86中心の戦いのST-4クラスながら、インテグラも天候次第で侮りがたし

かつては最大勢力だったST-4クラスながら、今回はトヨタ86が4台、ホンダ・インテグラが1台の、5台のみの戦いとなってしまった。
とはいえ、いずれも勝ちに来ているチーム。
激しいバトルが期待できそうである。

7月の公式テストでトップにつけて、際立つスピードをアピールしたのがC.S.I Racing。
久保凛太郎と細川慎弥のコンビは昨年同様、今年は坪井翔と松井宏太も加えての参戦となる。
坪井の経験が、チームの実力をさらに高めたのは間違いない。

昨年のチャンピオンである、林テレンプSHADE RACINGも優勝候補、何より安定感に長けていることが強みになりそう。
平中克幸と国本雄資、HIRO HAYASHI、石川京侍という陣容には、昨年から変化はない。

小河諒と宮田莉朋、松井孝允、花里祐弥、菅波冬悟といったフレッシュメンバーで挑むのはENDLESS SPORTS。
昨年の2位から、もうひとつポジションアップの期待がかかる。
対してベテラン浅野武夫が中心となる浅野レーシングサービスは、土屋武士をチームメイトに加えたのが大きなトピック。
どんな化学反応を起こすのか注目したい。

そしてインテグラで孤軍奮闘のTEAM G/MOTION’は、ST-4クラス最大のダークホース。
FFということで、望みたくはないが雨にでも見舞われようものなら、大いにレースは有利に進むはずである。

 

ST-5クラスが今や最激戦区に。いったい勝つのはどのクルマ?

エントリー12台と最激戦区になったST-5クラスは、マツダ・ロードスターが6台、ホンダ・FITが3台、トヨタ・ヴィッツとマツダ・デミオ15MB、そしてマツダ・デミオディーゼルがそれぞれ1台と、車種のバラエティにも富んでいる。

昨年のチャンピオンであるFITのチームBRIDEは、伊藤裕士と松尾充晃、黒須聡一、佐藤駿介、三浦康司、そして見並秀文という昨年とほぼ変わらぬラインアップ。
絶妙のチームワークで、まずはスタートダッシュを狙う。

昨年の優勝チームである、ロードスターの村上モータースは王座奪還のためにも、この一戦は絶対に落としたくないところ。
やはり村上博幸と雨宮恵司、中島保典、山谷直樹と、ほぼ昨年同様のメンバーでの参戦だ。
一方、7月の公式テストでトップタイムをマークし、一気に優勝候補の一台に躍り出たのが、山西康司をエースとするロードスターのLOVE DRIVE RACING。

さらに同日のスポーツ走行で最速タイムを記したとされるロードスターの新興チーム、日本自動車大学校は小松寛子、猪爪杏奈らロードスター使いをユーティリティプレイヤーの金井亮忠がアシスト。
その動向も気になるところである。

またディーゼルエンジンを使用することで、絶対的な燃費に自慢のTEAM NOPROのデミオも、長年の熟成によってライバル車両に対して、速さでも引けを取らなくなっている。
トラブルにさえ見舞われなければ、最後にあっと驚くような結果も期待できるに違いない。

 

(はた☆なおゆき)

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