《決勝レポート ①》ピレリスーパー耐久シリーズ2020 第1戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース

ピレリスーパー耐久シリーズ2020第1戦決勝レースレポート ①
ST-4クラスはGR Garage水戸インターGR86が優勝
ST-5クラスはDXLワコーズNOPROデミオSKY-Dが三度目の正直果たす

4時間以上に及んだ赤旗中断に、何度も出さざるを得なかったセーフティカー、3回目の開催となる「富士SUPER TEC 24時間レース」は、まさに天候に翻弄されたレースだった。
しかし、その一方で大事に至るアクシデントは発生せず、そのあたりはまさに「第3回」だからこそでもあった。
せめてもの救いは、スタートとゴールはサーキット上空に青空が広がっていたこと。
きっと誰もが感動で始まり、感動で終えられたのではないか。

今年も「富士SUPER TEC 24時間レース」の詳報レポートは、3回に分けてお届けしたい。
今回はグループ2こと、ST-4クラスとST-5クラスについて・・・。

 

 

ST-4クラスが、わずか5台という寂しさの中で…

今年のST-4クラスはトヨタ86を走らせ、長年に渡って最強チームとして君臨してきたTOM’S SPIRITが直接のスーパー耐久での活動を休止し、ROOKIE Racingのサポートに回ることとなった。
併せてドライバーも移籍し、松井孝允は#13 ENDLESS 86を小河諒、宮田莉朋らとともにドライブすることとなり、坪井翔は久保凛太郎と細川慎弥を擁する、#310 GR Garage水戸インターGR86を駆ることに。

これまで最激戦区として知られたST-4クラスである、こうしたドライバーの移動が同シリーズの展開に影響を及ぼすか注目されたが、開幕を目前に控えて新型コロナウイルスが発生。
世界的な社会問題ともなり、日本のモータースポーツも大きな変化が求められた。

結果、大幅にスケジュールが変更され、ようやく開幕の時を迎えたわけだが、参加チームにも厳しい現状が待ち構えていた。
スポンサーの撤退ならびに情勢を鑑みての自粛などがあり、いざ蓋を開けてみれば、ST-4クラスですら開幕戦のエントリーは5台に留まっていた。

ただし、いずれも優勝を狙える強豪チーム、先に触れた2台もその中に含まれる。
まず、予選は三つ巴状態。
平中克幸、国本雄資、HIRO HAYASHI、石川京侍、そして水野大を擁する、昨年のチャンピオン、#884 林テレンプSHADE RACING 86を従え、予選トップを獲得したのは、#310 GR Garage水戸インターGR86。
先の3人に、松井宏太を加えての参戦で、最速タイムを久保が記していた。
そして3番手が花里佑弥と菅波冬悟も加えた#13 ENDLESS 86だった。

決勝をまずリードしたのが久保で、石川を相手に一目散に逃げていく。
一方、小河はこれには加わらないと判断した模様。自分のペースを貫き、あえて4番手を走行する。
ところでスタート時の晴天が嘘のように、徐々に天気は崩れ始めて1時間30分ほど経過したところから、強い雨が降ることに。
ほぼタイミングを同じくしてコース脇に留まった車両があったため、SCが導入される。

もちろん、ほとんどの車両がピットに戻ってくる中、タイミングにも恵まれた#310 GR Garage水戸インターGR86の細川が、よりリードを広げることとなった一方で、2番手には#13 ENDLESS 86の宮田が躍り出る。
ここから先は一騎討ち状態に。

ただし、その後もマシントラブルでストップする車両があったり、何より強烈な雨に見舞われたりしたこともあって、3時間をわずかに経過した、3回目のSC導入後には赤旗が出されてレースは中断される。
4時間超となる20時30分にレースは再開。
間に別クラスの車両を挟んだ幸運もあり、#310 GR Garage水戸インターGR86は再開前と変わらぬリードを稼ぎ、その後もリードを広げ続けていった。

 

 

GR Garage水戸インターGR86には「暗」もあれば、「明」もあった

悪天候により、その後もSCはしばし導入されたが、ライバルたちはそのタイミングに義務づけられた10分間のメンテナンスタイムを消化していたのに、頑なに#310 GR Garage水戸インターGR86だけは先延ばしとしていた。
SCに先導されてスローペースである時ほどロスは最小限であるのだが、後々のダメージ対応を考慮すれば、少しでも遅らせた方がいい。

なのに普通に周回が重ねられているタイミング、ちょうど折り返しの頃に#310 GR Garage水戸インターGR86は、そのメンテナンスタイムを消化しているではないか!
あらかじめ決めていたことなのか。
いずれにせよ形成は一転して、#13 ENDLESS 86の先行を許すことになる。

しかし、それは決めつけだったことが後に明らかになる。
松井宏太のドライブ中に接触があり、ダメージの修復に貴重な時間を充てざるを得なかったのだ。
必死に追いかけて差を詰めようにも、その後もたび重なったSCランが機会を奪う。
歯がゆい状態が続いたはず。

明け方になると、不思議なことに天候は急速に回復、なんと晴れ間が広がっていく。
極端な話、スタートとゴールだけ見たという人なら、夜間にコースが濡らされたといっても信じないほどに。
ところが、残り3時間となって間もなく、ポツリポツリと雨がまた降り始める。
近頃の天気アプリは高性能。
雨雲レーダーは真っ赤な雨雲の接近を告げていたから、ザッと強くなってきたタイミングに、ほとんどの車両がピットに戻ってくる。

トップを走る#13 ENDLESS 86、3番手を走る#884 林テレンプSHADE RACING 86も例外ではなく、それぞれ小河と国本への交代と併せ、ウェットタイヤに交換。
そんな中、あえてステイを決めたのが#310 GR Garage水戸インターGR86の久保だった。
結果的には、この判断が好機を生み出すことに。

というのも、レーダーの予想とは裏腹に、雨はすぐにやんでしまったからだ。
一時は1周以上あった差が瞬く間に詰まっていき、そこには#13 ENDLESS 86がエンジン不調を抱えていたという背景もあった。
1時間ほど経過したところで、小河は坪井と交代するとともにドライタイヤに交換。
これで久保がトップに返り咲く。
それから間もなく#13 ENDLESS 86には駆動系トラブルも生じたこともあり、2番手を死守する判断を下すこととなった。

逃げ切った#310 GR Garage水戸インターGR86が開幕戦を制し、2位は#13 ENDLESS 86で、3位は#884 林テレンプSHADE RACING 86という結果となった。

 

 

ST-4クラス優勝 #310 GR Garage水戸インターGR86

久保凛太郎
最後のタイヤ選択、あれがいちばん大きかったですね。
ENDLESS 86にプッシュして、結果的に向こうにトラブルも出たこともあったんですが、しっかり逆転できたのが良かったです。
チーム結成2年目で、こうして開幕戦で勝てたからには、もうチャンピオンを狙うしかありません!

細川慎弥
このオフに、しっかりクルマはテストしていて進化させていたので、その結果がしっかりレースに結びついたので、本当に良かったです!

坪井翔
24時間レースでは壊れないことが大事ですし、すべてがうまく噛み合わないと勝てないレースだということを、過去の経験で理解しています。
新たに加入したチームで、しっかり勝つことができたので、最高のレースになったと思います。

松井宏太
実は僕が乗っているタイミングでST-5クラスの車両と接触があり、それでメンテナンスタイムを使わざるを得なかったというのがあって遅れをとっちゃったんです。
でも、挽回するのにチームのみんなが一生懸命やってくれたので、こういう結果になって良かったです。

 

 

いつしか最多勢力となったST-5クラスで、
予選最速となったのは#88 村上モータースMAZDAロードスター。

村上博幸をリーダーに、雨宮恵司と中島保典、山谷直樹と昨年とほぼ変わらぬ陣容で挑んだばかりか、谷川達也を加えてきたのだから、優勝候補が王道のレースを見せるかと思われた。
しかし、スタートから間もなくは少なからず守りの意識もあったのだろう、村上はわずか5周で#456 odula AVANTECHロードスターの橋本陸にトップを明け渡す。
それは巻き返す自信があったから。

なのに#88 村上モータースMAZDAロードスターに、いきなり試練が訪れた。
シフトミスによるオーバーレブによってエンジンのベルトが切れて、突然スロー走行となってしまったのだ。
これで10分をロスして、1時間を経過せぬうちに、大きく順位を落とす羽目に。

そもそも後の悪天候が、FRであるロードスター勢には味方してくれなかったのは事実。
そればかりか容赦なく、魔の手を仕掛け続けた。#456 odula AVANTECHロードスターの橋本が、トップ快走中に駆動系トラブルに見舞われたのを始めとして、同じようなトラブルが相次いだからだ。

水浸しとなった路面の中、まさに「水を得た魚状態」だったのがFF勢。
特に梅田真祐、久保田英夫。
窪田俊浩、梅本淳一、MC平田、蘇武喜和を擁する#69 J’S RACING☆FIT、佐々木孝太と吉田錝一郎、大崎悠悟、加藤潤平、吉田隆ノ介を擁する#102ヒロマツデミオマツダ2の速さが際立ち、さらに自慢の高燃費で井尻薫、吉岡一成、関豊、上松淳一、加藤芳皓を擁する#37 DXLワコーズNOPROデミオSKY-Dが食らいついていく、という展開となっていた。

しかし、このうち#102 ヒロマツデミオマツダ2はピットでの作業違反で、30秒ストップのペナルティが命取りに。
折り返しを過ぎると、完全に一騎討ち状態になっていた。
それぞれのピットストップのたびトップを入れ替えるような展開が続いていたが、ラスト3時間で状況は明らかになる。
#37 DXLワコーズNOPROデミオSKY-Dが残り2回の給油で済んだのに対し、#69 J’S RACING☆FITは3回!
これが決め手となって井尻が窪田に対し、16秒差でのトップチェッカーを受けることに。

長丁場にはめっぽう強い#37 DXLワコーズNOPROデミオSKY-Dは、富士でのレースで2勝の経験はあるが、24時間レースでは初勝利。
まさにラッキー3となっていた。
一方、ロードスター勢の最上位は#88 村上モータースMAZDAロードスターながら、6位でのゴールが精いっぱい。
濡れた路面以上にSCの連続が追い上げを拒んでいた。

 

ST-5クラス優勝 #37 DXLワコーズNOPROデミオSKY-D

井尻薫
大変なレースで、最後は目いっぱいでした。
ラスト3時間でJ`Sが残り2回(の給油)でいくのかな、と思っていたに3回だったので。
最後2時間はフルプッシュですよ、後ろとの差を見ながら。
クルマは何も問題なく、ノートラブルでした。
それが大きかったんでしょう。

吉岡一成
今年からこのチームに加わり、いきなり優勝。
あっという間に時間が過ぎちゃいました。
今年で24時間レースは3回目なんですけど、2回ともずっと悔しい思いをしてきたので、本当に嬉しいです。

関豊
燃費ばかり強調されますが、実は雨の中ではすごく速くなっていて、今回雨の名で走る時間が長かったので、そういう強みはあったかもしれません。
ただ、その雨も勢いが変化し続けて、めまぐるしかったので、すごく難しいレースでした。
今回の優勝はすごく嬉しいです。

加藤芳皓
チームとしてもいちばん欲しい結果だったと思うので、三度目の正直で取れてホッとしました。
個人的にも初めての優勝なので、それも嬉しいですし、安心して見ていられました。
連れてきてくれた皆さんにホント感謝です。

 

(はた☆なおゆき)

 

 

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