《決勝レポート ②》ピレリスーパー耐久シリーズ2020 第1戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース

ピレリスーパー耐久シリーズ2020第1戦決勝レースレポート ②
勝負は最後まで分からず、ドラマは終盤に連発!

「NAPAC富士SUPER TEC 24時間レース」のレースレポート2回目は、ST-Zクラスをはじめとする4クラスのご報告。
最終回でST-XクラスとST-2クラスのレポートを。
レース展開としては、ほとんどのクラスがラスト3時間、突然の雨がターニングポイントとなっていた。

 

 

徐々に注目を集めるST-Zクラス

GT4車両によって争われるST-Zクラスが、徐々に脚光を浴びるようになってきた。
理由としては本来、FIA-GT3車両に求められていた、キャラクターが受け継がれたからなのではないだろうか。
レーシングカーでありながらリーズナブルで、なおかつジェントルマンドライバーに対してフレンドリーという。
初期のFIA-GT3車両は、これらのキャラクターを併せ持っていたが、今では競争の激化で価格は高騰、戦闘力を求めるべく誰にでも乗りこなせるマシンではなくなってしまったからだ。

逆にいうと、生粋のプロドライバーには物足りなさもあろうが、扱いやすいということは、すなわち耐久レース向きであるということ。
車種のバラエティにも富んでいることから、今後も台数を増やしそうだ。

そんなST-Zクラスにおいて、予選トップは#20 SS/YZ BMW。
2018年のPCCJジェントルマンクラスの王者である鈴木宏和と荒聖治、そしてスーパー耐久レジェンドの木下隆之と砂子塾長、さらにJ.P.デ・オリベイラを加えた強力ラインアップは、予選から猛威を振るうことなった。
決勝でもスタートを担当したオリベイラが、いきなり逃げの構えに討って出る。

これに続いたのは、九州のツーリングカー使いから、一気に全国区に羽ばたいた大塚隆一郎、青木孝行と金石年弘、下垣和也、鉢呂敏彦、廣島嵩真を擁する#500 5ZIGEN AMG GT3。
3番手が内田雄大と山内英輝、高橋翼、そして助っ人として山田真之亮と富田竜一郎を加えた、昨年のチャンピオンチーム、#3 ENDLESS AMG GT3だった。

それぞれスタート担当は青木と山内。
だが、しばらくはオリベイラのスピードに対し、静観を極めていたようで、着いていくことはせず。
やがて#47 D’station Vantage GT4の織戸学を加え、三つ巴で2番手を争うこととなる。

 

 

王者の貫禄見せたENDLESS AMG GT4!

#20 SS/YZ BMWにとって、第一の痛手は最初のドライバー交代が早かったこと。
1時間26分で鈴木へと代わるが、他のチームはその後に行われた最初のSCランに交代を合わせられたからだ。
このあたりは運でしかないが、スローペースのうちにロスを最小限にできた強みは大きく、代わってトップに立ったのは、#3 ENDLESS AMG GT3の内田。

SCラン明けの濡れた路面の中、2番手に躍り出た#500 5ZIGEN AMG GT3の金石をも、内田は徐々に引き離していく。
そんな状況において強い雨足は、いったん赤旗でレースを中断させることとなった。

再開から間もなく#500 5ZIGEN AMG GT3は、早くもメンテナンスタイムに入ったこともあり、#20 YZ/SS BMWは2番手に浮上。
ここからは一騎討ちの様相を呈するが、たび重なるSCランで追い上げもままならぬばかりか、むしろドライバー交代をうまく合わせた、#3 ENDLESS AMG GT3がより差を広げていくこととなった。

ほとんどのクラスにおいて、ターニングポイントになったのはラスト3時間、再び晴れ間が広がってからの降雨であった。
その時点で#3 ENDLESS AMG GT3と#20 SS/YZ BMWの差は、ほぼ2周。
ここで#20 SS/YZ BMWは、ドライビング中の木下がステイを判断。
これが功を奏し、その後の荒の激走とも合わせ、いったんは同一周回にまで持ち込むも、しかしそこまでだった。

逃げ切った#3 ENDLESS AMG GT3が連覇に向けて、まず1勝目を挙げ、2位は#20 SS/YZ BMWが獲得。
3位は#47 D’station Vantage GT4の織戸と星野辰也、篠原拓朗、銘苅翼、濱健二。

なお、序盤からパワステのトラブルに見舞われ、その後もマイナートラブルに苦しんでいながら完走を目指していた#2 ケーズフロンティアSYNTIUM KTMは、24時間を過ぎてからのファイナルラップにタービントラブルにより出火。
チェッカーを受けられず、完走扱いとはならなかった。
ドライブしていた小林崇志が煙を吸った可能性もあり、病院に搬送されたが、無事であったことが後に報告されている。

 

 

ST-Zクラス優勝 #3 ENDLESS AMG GT3

内田雄大
本当に良かったです。
今回は天候とか、いろいろ変化した中、運とかも味方につけられましたし、チームもピタッと戦略を決められたので、優勝できて本当に良かったです。
本当に嬉しいです。

山内英輝
セーフティカーが入るタイミングだとか、チームの戦略がうまくいって序盤に前に出られたので、そこからずっとキープができたので、いいレースになったと思います。
ディフェンディングチャンピオンとして、うまく守りきれました。

高橋翼
けっこう雨量が多くて、コンディション難しい中、各ドライバー大変だったと思うんですけど、みんな淡々といいタイムで刻んで。
BMWの20号車が速くて一騎討ちみたいなところはあったんですけど、SCのタイミングとかもあって離すことができました。
とてもハッピーです。

富田竜一郎
自分としても富士のビッグレースでの初優勝、ST-1クラス以外でのS耐初優勝です。
強力なチームメイトと、ちょっとの運のおかげで勝てました。
僕は24時間だけのスポット参戦ですが、ENDLESSのこの先のシーズンも、良いものになることを願っています。

 

 

ST-TCRクラスはWAIMARAMA KIZUNA Audi RS3 LMSが初優勝!

ST-TCRクラスの予選トップは、塚田利郎と加藤正将、下山征人、山本左近、長谷川大祐、そして岡島秀章という布陣で挑んだ#65 REBELLION Mars Audi RS3 LMS。
しかし、決勝ではピットスタートとなってしまったことが、結果的には致命傷になってしまう。

このクラスもまた、一騎討ちの様相を呈するようになっていた。
スタートからトップに立ったのは、キズナと千代勝正、安田裕信、大草りき、山野直也、吉田寿博で挑んでいた、#22 WAIMARAMA KIZUNA Audi RS3 LMS。
対抗馬となったのが、植松忠雄と井出有治、川端伸太朗、野尻智紀で挑んでいた、#290 F-Link HOME CIVIC TCRだ。

中盤までは#22 WAIMARAMA KIZUNA Audi RS3 LMSが一歩リードの状況で、そこからしばらくはピットストップのたび、#290 F-Link HOME CIVIC TCRとトップを入れ替えるように。
勝負のカギを握ったのは、やはりラスト3時間の降雨。

ここで#22 WAIMARAMA KIZUNA Audi RS3 LMSの千代はウェットタイヤに交換するも、#290 F-Link HOME CIVIC TCRの植松は無交換。
すぐにやんだことから植松がじわりじわりと差を詰め、千代は約40分後に再交換したことで逆転を許してしまう。

しかし、植松も無交換であったことから、やがてタイヤは限界に達し、千代がトップに返り咲くこととなる。
残り1時間半を切ったところで#290 F-Link HOME CIVIC TCRは井出にスイッチし、タイヤを4本とも交換。
次の周にピットに戻ってきた、#22 WAIMARAMA KIZUNA Audi RS3 LMSは千代のまま、フロント2本の交換に留め、ロスを最小限としたことが決定打になった。

逃げ切った#22 WAIMARAMA KIZUNA Audi RS3 LMSは、チーム結成2年目にして初優勝を飾ることとなった。

 

 

ST-TCRクラス優勝 #22 WAIMARAMA KIZUNA Audi RS3 LMS

キズナ
コロナ禍の中、無事24時間に出られて、チームのみなさんのおかげで優勝できたので本当に良かったと思います。
これを機に、もっともっと強くなりたいと思います。
本当に最後の最後まですごいレースで、ドライバーみんな、そしてメカさんが頑張ってくれたので良かったです。

千代勝正
TCRは激戦で、各チーム豪華なメンバーが揃っていて。
290のシビックと最後は一騎討ちになりました。
最後の3時間でウェットタイヤ履いて、路面がすぐ乾いちゃったのだけ誤算だったんですが、チームがリカバリーしてくれて、ここまでうまくいくレースはなかったです。

山野直也
このチームと久しぶりに1年ぶりに戦えて良かったし、なおかつ24時間レースで優勝できたことは、本当に嬉しいですね。
また引き続き、みんなでレースできたらと思います。

吉田寿博
いいチームに誘ってもらえて良かったですよ。
みんなでいい仕事をしたから、こんな結果がついてきたんだと思います。
いいチームワークでした、久々にレースやれて良かったです。

 

 

ラスト30分の大逆転で、ST-1クラスをROOKIE Racing GR SUPRAが制す!

わずか3台の出走となったが、それぞれ初陣で、しかもニューマシンということもあり、戦前の予想が困難を極めたのがST-1クラスだった。
予選では蒲生尚弥と豊田大輔、小倉康宏、河野駿佑、矢吹久、大嶋和也を擁した、#28 ROOKIE Racing GR SUPRAが他を圧倒。
決勝でもスタートから蒲生が逃げていく。

しかし、レースシミュレーションでは、スーパー耐久の経験豊富なの方が圧倒的に勝り、最初のピットストップ後には逆転に成功、堀田誠と阪口良平、堤優威、そして阪口晴南の4人がレースを一歩リードしていくこととなる。
ただ、絶対的なリードは築けなかったことが、後々の展開に影響を及ぼすことに。

ラスト2スティントは阪口良平が担当。
「ストレートではスープラと勝負にならない」ため、タイヤ無交換でつなぐも、フレッシュタイヤで#28 ROOKIE Racing GR SUPRAの大嶋が徐々に迫ってくる。
ラスト30分を控えた486周目に阪口良平は抗う術もなく逆転を許し、逆に大嶋はそれから6周後に給油だけを行うためにピットに戻ってなお、トップで逃げ切ることに成功。
#28 ROOKIE Racing GR SUPRAがデビューウィンを達成、#38 ADVICS muta Racing RC F TWSは、堀田にチェッカーを受けさせるため交代したこともあり、1周差での2位となった。

 

 

ST-1クラス優勝 #28 ROOKIE Racing GR SUPRA

蒲生尚弥
チームもドライバーもみんなノーミスでできた結果だと思いますし、何よりクルマもノートラブルで、24時間しっかり走りきってくれたので、本当に良かったと思います。
こんなに長丁場を走ったことなかったので、こんな最高の結果に終わるとは思いませんでした。

豊田大輔
ヤリスとともにWポール・トゥ・ウィンが達成できて、本当に良かったと思います。
チーム及び関係者の皆様に、本当に感謝です。

矢吹久
市販車のスープラの開発からGT4の開発にも関わってきたので、こういった形になって、心から良かったです。
ずっとプロにおんぶに抱っこでしたが、ありがたかったです。

大嶋和也
本当にホッとしています。
前半はトップからかなり遅れをとっていて、なかなか取り返せないかなと思って最後のスティント、フルプッシュで行ったんですけど、まさか届くとは思っていなかったので、本当に嬉しいです。

 

 

ST-3クラスで埼玉トヨペットGBクラウンRSも初陣飾る!

昨年のチャンピオンチーム、TECHNO FIRSTがコロナ禍で活動を自粛し、TRACY SPORTSの38号車はST-1クラスに移行。
さらにLe Beausset Motorsportsはレース活動を終了ということもあって、台数半減となってしまったST-3クラス。
そんな中、話題を一手に集めたのが、服部直樹と吉田広樹、川合孝汰、平沼貴之を要する埼玉トヨペットGreen Braveだ。
本来なら、最初の2戦をマークXで戦うはずが、スケジュールの大幅見直しによって、いきなりニューマシンのクラウンRSで開幕戦に挑むことに。

予選ではABSのトラブルが服部のアタック中に発生。
埼玉トヨペットGBクラウンRSは2番手に留まってしまう。
一方、予選トップは長島正明と小松一臣、たしろじゅん、勝亦勇雅、山崎学、甲野将哉の6人で臨んだ、#15 岡部自動車RECAROフェアレディZが獲得する。
最低重量の見直しで、持ち前のフットワークにより磨きをかけたZ勢は、田中徹と田中哲也、三宅淳詞、佐藤公哉の#244 QUEEN EYES 34Zとともに、決勝をより有利に戦っていた。
ところが、まず#244 QUEEN EYES 34Zに燃料系トラブルが発生。
対策されるも根本で修復ならず、たびたび遅れの原因に。

一方、何ら危なげなく走っていたはずの#15 岡部自動車RECAROフェアレディZだったが、ラスト1時間のピットからなかなかコースに戻れず。
リヤハブの交換を強いられ、約10分間のロスを抱えてしまう。

この間にトップに躍り出ていたのが、#52埼玉トヨペットGBクラウンRSだった!
458周目に逆転を果たし、これまたデビューウィンを達成。
最初のピットストップ後、エンジンが再始動せず肝を冷やすシーンもあったが、リセットによって対処。
その後、大きなトラブルに見舞われなかったことが何より効いた格好だった。

なお、川合はこれによりスーパーGTのGT300、GR 86/BRZプロフェッショナルシリーズに続く、3回目のデビューウィンに成功。
改めて持っているドライバーだと感じさせた。

 

 

ST-3クラス優勝 #52 埼玉トヨペットGBクラウンRS

服部尚貴
うまくいきましたね、びっくりです、本当にね。
ファーストスティント終わりの時に、トラブっちゃってリセットして戻ったから良かったんですけど、まぁ逆に言うと、それ以外トラブルらしいトラブルはなかった。
レース前には何機エンジン用意しなきゃいけないの、って思っていたぐらいだったんですけどね。
予想を反対側で裏切ってくれて良かったです。
孝汰がトリプルクラウン達成で、させてあげたかったし、そういった意味でも良かったです。

吉田広樹
1スティント目からトラブルが出たり、タイヤを交換したら雨が降ったり、シチュエーションに対して裏目、裏目に出ちゃったんですが、僕らはやることをやれば、僕らにとっていい流れになるだろうと思っていたら、それが優勝だったんで、すごく良かったです。
これが開幕戦で、走ってみなければ分からなかったことがたくさんあって、もっと考えていかなきゃいけないところもあるし、データも取れたので、いいレースだったと思います。

川合孝汰
デビューウィン3連発!
もう、これ以上ないですね。
チームの皆さん、応援サポートしてくださっている皆さんのおかげです。
平沼さん、服部さん、吉田さんと一緒に走ることができ、本当に貴重な体験ができました!
次も集中して戦いたいと思います。

平沼貴之
運も味方につけた部分もあると思うんですけど、チームワークの賜物だと思います。
3ラップダウンから同一ラップになって、最後はピットで入れ替わったので嬉しくも、ちょっと複雑な心境です。
あれだけの距離を走ったことがまだないクルマなので、いいデータが取れたと思います。

 

(はた☆なおゆき)

 

 

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