《決勝レポート ③》ピレリスーパー耐久シリーズ2020 第1戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース

ピレリスーパー耐久シリーズ2020第1戦決勝レースレポート ③
ST-XクラスはHIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3が、
ST-2クラスはROOKIE Racing GR YARISが、それぞれ劇的な優勝飾る!

「NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース」のレースレポート最終回は、待望のST-XクラスとST-2クラスを。
両クラスともに、近年なかったほどにドラマチックな展開で、レースを盛り上げることとなった。
なお、ST-Xクラスは5日(土)にお届けした「号外」を加筆、修正した上で、再開後の展開をつけ加えている。

 

 

不安を抱えていたDAISHIN GT3 GT-Rがいつしかトップに!

予選中に1コーナーでクラッシュを喫した#81 DAISHIN GT3 GT-Rは、夜を徹して修復されるも、午前中のウォームアップには間に合わず。
フロント右のハブにトラブルが生じてノーブレーキ状態になり、藤波清斗の機転でフロントからの衝突は免れたものの、ダメージはリヤのフレームにまで及んでいた。
決勝レースのグリッドにマシンは並べられたものの、果たしてまともに走れるのか、不安視さえされていた。

そして土曜日の15時に決勝レースが、いよいよスタート。
オープニングラップのリーダーは、もちろんポールポジションから鋭いダッシュを決めた、#777 D’staitoin Vantage GT3の藤井誠暢だった。
これに続いたのは#9 MP Racing GT-Rの松田次生だったが、徐々に藤井に引き離されてしまう。
しかし、それは束の間、やがて松田のペースが上回るようになり、8周目に逆転。
今度は逆に松田が藤井を引き離していく。

しかし、スタート時には灰色の雲も浮かんでいたものの、青空も見えていた上空から、25周目をすぎた頃、雨がポツリポツリと降り始め、30周目から本格的に降り始めてしまう。
これに素早く反応したのが4番手を走っていた#31 DENSO LEXUS RC F GT3の嵯峨宏紀。
タイヤをウェットタイヤに交換して、マージンを得ようとしたものの、間もなく雨はやんだからたまらない。
やむなく39周目にピットに戻り、ドライタイヤに交換するとともに、早くも小高一斗に交代する。

45周目、トップを走る#9 MP Racing GT-RがJOE SHINDOに交代。
次の周にはD’station Vantage GT3も星野敏に交代する。
ところが、それからしばらくすると、また雨が!
ほぼタイミングを同じくしてFCYが宣言されるも、これは大雨のせいではなく、ダンロップコーナーの手前で止まった車両を回収するため。
やがてセーフティカー(SC)ランに改められて、全車ウェットタイヤに交換する。

その時、#777 D’station Vantage GT3に続いていたのは、なんと#81 DAISHIN GT3 GT-Rだった。
スタートを担当した星野一樹が、アクシデントがあったことを忘れさせるほどの好ペースで周回を重ね、FCY宣言の直前に藤波に交代。
SCラン中の59周目にピットに戻って給油を行なったこともあり、4番手へと順位を落としはしたが、勝負権ありを強くアピールしてもいた。
そして70周目には、2番手に藤波が浮上する。

75周目、#777 D’station Vantage GT3がピットイン。
これで#81 DAISHIN GT3 GT-Rがトップに躍り出るが、それから間もなく目を覆うような光景が。
近藤翼に代わったばかりのマシンから右リヤホイールが脱落!
13コーナー脇にストップしてしまったのだ。
これで77周目から2回目のSCランが行われる。

アクシデントはまだまだ続く。
2番手を走行していた#888 HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3が給油中に炎上。
すぐに火は消し止められたが、マシンはピットに押し込まれてしまう。
3時間目を目前にSCはピットに戻ったものの、今度はその直後に大雨が!
当面の回復は望めないことから、18時7分に赤旗が出されてレースは中断。
それからしばらく、サーキットは沈黙に包まれることとなった。

何度も「…まで再開なし」のモニター上での表示が改められたが、ようやく「22時30分走行開始」とされ、22時からストレートに止められた車両に対し、メカニックによる作業が可能に。
その最中に#777 D’Station Vantage GT3がリペアエリアでの修復を終え、ピットに戻ってくる。
アクシデントから4時間を経て、遅れは実質9周。
まだチャンスはあるかと思われた。

しかしながら、#777 D’station Vantage GT3に関して先に結論を言えば、ピットに戻ってすぐフロントのハブにも原因不明の異常が発覚。
長い時間の修復をさらに強いられたばかりか、11時間目を間近に控えて、またもハブのトラブルでコース脇にストップ。
無念のリタイアを喫している。

 

 

ノーマークからの大逆転!HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3が総合優勝

22時30分からレースは再開したものの、夜間のうちは一向に雨はやむ気配を見せず、大降りになるたびSCが導入されることに。
そんな状況においても#81 DAISHIN GT3 GT-Rのトップは安泰。
後続に大差をつけていた。
ところが、そういった状況にほころびが生じ始めたのが、13時間経過の4時をすぎて間もなく。
ピットレーンの速度超過に対し、60秒ストップのペナルティが課せられてしまったのだ。

これで一時的にではあったが、トップに立ったのは#888 HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3。
中断直前に出火した、あのマシンだ。
ハーネスなどにトラブルを抱えたものの、他の車両は赤旗中断中、コース上で待機させられていたのに対し、ピットでのアクシデントだったため、ガレージでの修復が可能だったからロスを最小限にできていたのだ。

これにより、ダークホースだったはずの#888 HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3は、一躍注目の存在に。
#81 DAISHIN GT3 GT-Rのペナルティ消化から2周後に高木真一への交代を行なったため、藤波に再びトップを明け渡したものの、5時半のナイトセッション終了後、244周目にはあらためてトップに浮上することとなった。

時間を戻して、一時は#81 DAISHIN GT3 GT-Rに続く、2番手を走行していた#9 NP Racing GT-Rだったが、11時間経過直前にピットでの長い滞在を強いられていた。
「どちらが先か分からないのですが、駆動系のトラブルと左リヤのタイヤがバースト。タイヤがドライブシャフトをやっつけたのか、逆なのか…。いい調子で走れていたのに、残念です」と柴田優作。
修復に1時間以上を要し、こちらも優勝争いから離脱していた。

不思議なもので、あたりがすっかり明るくなり、眠っていた観客がスタンドに戻ってくると、上空には青空が広がるように。
もし、スタートからの短い時間だけ観戦して、ホテルなどに移動し、朝方サーキットに戻ってきた観客がいたとしたら、あんなに悪天候に見舞われたなど思わなかったのではないか。
そのぐらい天気は急激に回復した。

さて、#888 HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3の快走は、依然として続く。
明るくなってきてからの根本悠生、ショウン・トンが極めて安定したペースで周回を重ね、ピットストップ直後こそトップを譲っても、相手がピットに入ると奪い返すことの繰り返し。
そして20時間を過ぎると、それでもトップをキープするように。
他のクラスで勝敗に大きな影響を及ぼした、ラスト3時間の降雨すら、足を引っ張る要因にならなかった。

 

結果、長い中断と10回にも及んだSCランのため、昨年の記録801周を大幅に下回る528周ではあったが、#888 HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3が走破を果たして、トップチェッカーを受けることに。
山脇大輔と高木、トン、根本が表彰台の中央に立った。

2位は永井秀貴、嵯峨、小高一斗、永井宏明、中山雄一、上村優太の強力メンバーで臨んでいた、#31 DENSO LEXUS RC F GT3が獲得。
タイヤとのマッチングに苦しむも、マシンはノートラブルだったことが好結果の原動力に。

3位は#81 DAISHIN GT3 GT-R。
ペナルティ後の追い上げに期待がかかったものの、18時間目の接触で足回りにダメージを負ったのが、何よりの痛手に。
残念ながら3連覇は成し遂げられなかった。
4位の#9 MP Racing GT-Rは、5周目に松田が記したファステストラップが、何よりもの勲章となっていた。

 

 

ST-Xクラス優勝 #888 HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3

山脇大輔
自分はクルマを買う段階から立ち上げに関わっていたので、この優勝にはちょっとびっくりというか、言葉にならないというところで、久々に泣きました。
でも、一応プランどおりに進んだので、燃える以外は!
それ以外はスティント割りもすべて予定どおりでした。
今年はフルで出ます!
これからも応援よろしくお願いします。

高木真一
S耐もけっこうやってきたと思うんですけど、総合優勝は今までないと思うんですよ。
初めてなので、50(歳)超えて、こんなご褒美があると思いませんでした!
本当にびっくり(笑)。

ショウン・トン
僕らは雨のセットアップが良かったから、雨のペースが良いのは分かっていて、僕らふたり(トンと根本)で夜は担当したんだけど、それはエキサイティングで楽しかった。
ただ、ドライではどうしても遅れを取っているのは分かっていたけど、落ち着いて走れたし、最終的にこういうポジションに来れてすごく嬉しいです。

根本悠生
いろいろあってメカさんたちもメンタル的に厳しかったと思うんですが、そこを一丸となって最後まで諦めずに、ここまで来られたのは僕ら自身も驚いているし、その実力があったことを証明できたことは本当に嬉しいです。
第2戦以外は僕、出る予定になっていて、初年度なんでまだ完成率が高くないチームですけど、これからもっともっと強くなって、参戦初シーズンですけど、チャンピオン狙って頑張ります。

 

 

ROOKIE Racing GR YARISで、MORIZOがスーパー耐久で初優勝!

ST-2クラスで予選トップは、井口卓人、佐々木雅弘、MORIZO、勝田範彦、石浦宏明というラインアップで臨んでいた#32 ROOKIE Racing GR YARIS。
これに対するライバルたちの意識は「一発だけの速さならばいいけど、あれを決勝でも維持されると厳しい」と。
しかしながら、24時間レースを戦う術においては、常連チームの方が優っていた。
#59 DAMD MOTUL ED WRX STIのスタート担当、石坂瑞基は2周目にはトップに立って、かつてのチームメイト井口を引き離しにかかる。
さらに#6 新菱オート☆NeoGrobe☆DXLエボXの大橋正澄も井口の背後につけて、包囲網を築き上げる。

だが、そんな状況から脱落してしまったのが、#59 DAMD MOTUL ED WRX STIだった。
タービンにトラブルが生じ、エンジンは本来の調子を発揮できなくなっていたのだ。
こうなると、俄然勢いを増すのが#6 新菱オート☆NeoGrobe☆DXLエボXなのだが、#32 ROOKIE Racing GR YARISを引き離すまでには至らず。
それぞれピットストップのたび、トップを入れ替える展開が続いていく。

  

そんな状況に変化が現れ始めたのが、レースは折り返しを過ぎたあたり。
#32 ROOKIE Racing GR YARISはピットストップを行なってなお、トップをキープするようになっていたのである。
「僕らはノートラブルで、普段どおりに走っていたのに、向こうは一向にペースが落ちないどころ、壊れちゃうんじゃないかって思うほどで…」と、#6 新菱オート☆NeoGrobe☆DXLエボXの冨桝朋広。
明るくなる頃には周単位での差がつくほどに。

ラスト30分間はMORIZOがドライブし、トップチェッカーを受けた#32 ROOKIE Racing GR YARISは、2位の#6 新菱オート☆NeoGrobe☆DXLエボXに6周差の圧勝。
見事、デビューウィンを達成した。

 

 

ST-2クラス優勝 #32 ROOKIE Racing GR YARIS

MORIZO
ROOKIE Racingはスープラとヤリスの2台体制で初レースでしたが、結果ポール・トゥ・ウィンで両方とも。
夢のような結果になりました。
これもクルマを作ってくれたみんなと、そしてプロのドライバー、プロのメカニックがそれぞれの持ち場で皆さん、やってくれた結果だと思いますし、それに加えてS耐が初戦で24時間となって観客も入り、S耐関係者の皆さんもこれまでご苦労したと思います。
でも、今日見られた皆さんの笑顔は、本当にやって良かったなと思います。
皆さん、おめでとうございます。

井口卓人
昨年も同じクラスを違うクルマで優勝させてもらって、今年はチームを移籍して、新しいクルマで優勝して、本当にここまで完璧なレースはなかったと思います。
予選でヤリスの速さを証明できて、今日の本番で強さをアピールできて、ここまでいい結果はデビュー戦ではなかったと思います。

佐々木雅弘
コンディション的には大変だったんですけど、いい意味でいろんなコンディションが僕らにすごく速さを、どのコンディションでも、フルウェット、セミウェット、ドライもね、いろんな状況で他のクルマを圧倒していたのが、今回僕らが勝てた理由かと。
もともと持っているノーマルのパフォーマンスが、ものすごく高いというのを証明できたんじゃないでしょうか。

勝田範彦
レースは初めてで、本当に皆さんのおかげ。
ラリーとはまったく別の競技ですね、相手がいて、後ろから速いクルマが来るという。
性能差の違うのが混走しているのが、すごく難しくて。
でも、いい経験ができましたし、このクルマの開発のエンジニアもいちばんに軽さを意識して開発したみたいなので、それがすごく活きていて、今回こういう結果になったのだと思います。
だからノートラブルだったし、軽いがゆえにクルマの負担も軽かったんじゃないでしょうか。

 

(はた☆なおゆき)

 

 

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