《プレビュー》ピレリスーパー耐久シリーズ2020第4戦

ピレリスーパー耐久シリーズ2020第4戦プレビュー

3回目のもてぎ5時間レース、最後に笑うのは?

本来ならば、もう最終戦を終えているはずのピレリスーパー耐久シリーズは、ようやく今回が後半戦への突入となる。
舞台となるのはツインリンクもてぎで、今回は開幕戦以来となる全クラス混走で、5時間レースとして開催される。

ちなみに、もてぎで5時間レースとして競われるのは今年で3回目。
過去2回はいずれも、9月の開催だった。
当然、残暑が厳しい時期で、逆に今年は寒さが少々堪えそうだが、マシン的にはご機嫌なコンディションのはずだ。

 

何事もなければ、150周オーバーは確実!?

もてぎの5時間レースは3回目だと先に述べたが、2018年のオーバーオールウィナーは150周走ったのに対し、2019年は139周でしかない。
トップが相次いでトラブルを抱えて、何度も入れ替わったのもあるが、いちばんの理由はセーフティカー(SC)が5周も導入され、さらにFCY(フルコースイエローに)も2回、合わせて10分間実施されたことだろう。
2018年はFCYが2回実施されたが、合わせて4分間と極端に短い。

今年、何より望みたいのは、アクシデントが発生しないこと。
起きたとしても、FCYで対応できる程度。
そうなれば、150周を超えるのは間違いない。
低い気温がエンジンを回し、アベレージスピードの向上は必至であるからだ。
さすがにレコードタイムは、近年設けられたST-TCRクラスやST-Zクラスを除けば、まだタイヤコンペティションのあった時代、もしくは以前のコントロールタイヤの頃に樹立されているので、更新は難しそうではあるが。

ひとつ心配事があるとすれば、スピードの向上でブレーキへの負担が増してしまうこと。
しかし、それはあえて考えないこととしよう。

 

まだ3戦ある、もう3戦しかない。意識はどちらかST-Xクラス

150周オーバーを狙えるというのは、もちろんST-Xクラス。
今年はここまで3戦、いずれもウィナーが入れ替わって激戦模様を呈している。
ランキングのトップは開幕戦以来、#888 HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3だが、前回の岡山でマシンはクラッシュ。
高木真一が腰椎と右手首を骨折している。

その後の情報では、高木の手術は順調に終わり、いたって元気でこの先1週間ほどで退院できるとのこと。
さらにマシンは新たに用意され、開幕戦に出場した山脇大輔とショウン・トン、根本悠生での参戦となるという。

その#888 HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3に、5ポイント差にまで迫ったのが、#31 DENSO LEXUS RC F GT3の永井秀貴/嵯峨宏紀/小高一斗組だ。
ランキング3位である#9 MP Racing GT-RのJOE SHINDO/柴田優作/影山正美/井上恵一組ともども速さは今ひとつの感はあるが、何より粘り強さが身上。
コンスタントに高得点を重ねているが、ただ今年のポイント6戦中5戦の有効システムが、今後どう影響を及ぼすか。

逆に速さで言ったら、別格であるのが#777 D’station Vantage GT3の星野敏/藤井誠暢/近藤翼組だ。
ビッグポイントの開幕戦を落としたことで、今年はチャンピオンを狙わず、ジェントルマンドライバー星野のスキル向上に、より一層の時間を費やすと、ターゲットを変更。
初めてのポールスタートを星野がそつなくこなしたことが、前回の何よりもの勝因となった。
彼らが「まだ3戦ある」と思っているか、「もう3戦しかない」と思っているかで、今後のシリーズの流れも変わってきそうだ。

 

ST-ZクラスはケーズフロンティアSYNTIUM KTMの2年連続勝利なるか

今季最多10台がエントリーのST-Zクラスは、開幕2連勝を飾っている#3 ENDLESS AMG GT4の内田優大/山内英輝/高橋翼組が、依然としてトップ。
前回はウエイトハンディが響いたものの、それでもしぶとく3位につけていた。
その結果、今回はさらに10kg増となる60kgを積むとあって、ストップ&ゴーが繰り返すもてぎでは、よほどのことがない限り、勝ちは狙えないだろう。

台数の多いクラスだけに、ウエイトを積む車両は他にも5台存在するが、次に重いのは#47 D’station Vantage GT4の星野辰也/織戸学/篠原拓朗/浜健二組、そして前回のウィナー#500 5ZIGEN AMG GT4の大塚隆一郎/青木孝行/坂本祐也組の25kgとあって、その差は依然大きい。

その上で、昨年もてぎで勝っている、#2 ケーズフロンティアSYNTIUM KTMの飯田太陽/加藤寛規/高橋一穂組が、わずか10kgしか積まずに済むのは、いかにも好都合。
マシンの軽さが、このコースには極めてマッチしているからだ。

一方、速さはあるが、展開には恵まれずハンディ15kgに留まっている、#20 SS/YY Studie BMWの鈴木宏和/木下隆之/砂子塾長組も、注目すべき存在だ。
特にレジェンド木下と砂子は目立ちたがっているから(!)、開幕戦の2位では満足していないはず。

 

やはり、もてぎにはシビック強し?

今回は5台がエントリーし、久々ににぎわいを見せるST-TCRクラス。
2017年にこのクラスが設けられて以来、絶対的な強さを見せるのがホンダシビック。
ホンダのホームコースということもあってか、実は一度も負けていない。
前回、ポールの勢いもあって、#290 F・Line Home CIVIC TCRの植松忠雄/井出有治/川端伸太朗組が有利と見るが、侮れないのが#97 Racerホンダカーズ桶川DOME CIVICの遠藤光博/中野信治/大津弘樹/小出峻組。
今年はレースを絞っての参戦ではあるが、マシンそのものが勝ち続けている個体であるからだ。

その一方で、しっかり歯車が噛み合えば、圧倒的な強さを見せることが、#22 WAIMARAWA KIZUNA Audi RS3 LMSのKIZUNA/千代勝正/安田裕信/大草りき組には明らかになっているだけに、シビックの連勝を止められるか大いに注目される。

 

またもGRスープラの孤軍奮闘に…

残念ながら、今回もST-1クラスは#28 ROOKIE Racing GR SUPRAの蒲生尚弥/豊田大輔/小倉康宏/河野駿佑組だけで、ちなみに#38 ADVICS muta Racing RC F TWSの今後のエントリーは、最終戦・鈴鹿のみになるという。

前回の岡山では、ST-ZクラスのGT4勢にも迫る勢いで、序盤に蒲生がマージンを作っていた。
パートナーたちにも速さが増してきたこともあり、今回は総合でどのあたりにつけるか注目したい。

 

決勝に強くて当たり前? ST-2クラスでDAMD MOTUL ED WRX STIが

今回は1台増で、6台での戦いとなるST-2クラス。
ランキングのトップは依然として#32 ROOKIE Racing GR YARISの井口卓人/佐々木雅弘/MORIZO組ながら、第2戦からの連勝で#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの大澤学/後藤比東至/石坂瑞基組も9ポイント差にまで接近。
タイトル争いは、まだまだ分からぬ状況にある。

#59 DAMD MOTUL ED WRX STIには熟成され尽くした強みがあり、なおかつ今年ハコ替えもして、シャキッと感を取り戻してもいる。
それを「ここ数年で、ここまでセットアップしたかってぐらい」と大澤が言うほど細部を詰めているのだから、強くて当然と言ったところか。

その一方で、#32 ROOKIE Racing GR YARISは、それほど勝ち負けにはこだわっていない。
いずれユーザーの手に渡る時のため、今年は鍛え上げに専念しているからだ。
来年、エントリー増加の可能性は十分にある。

 

エアーバスターWINMAX RC350 TWSの勢いを止めるのは?

ST-3クラスは、第2戦からの連勝によって#39 エアーバスターWINMAX RC350 TWSの大島和也/冨林勇佑/石井宏尚/伊藤善博組が、ついにランキングのトップに躍り出た。
しかし、#52 埼玉トヨペットGBクラウンRSの服部尚貴/吉田広樹/川合孝汰組も、わずか7ポイント差で続いており、まだまだ予断を許される状況にはない。

開幕戦をほぼノートラブルで乗り切り、デビューウィンを遂げた#52 埼玉トヨペットGBクラウンRSながら、ここ2戦はマイナートラブルに見舞われ続けている。
スプリントばりの3時間レースでは、持ち味を発揮できなかったということか。
ならば5時間レースに期待がかかる。

対して、#39 エアーバスターWINMAX RC350 TWSは、やはり熟成され尽くした強みがあって、若手ドライバーの元気いっぱいの走りにも悲鳴を上げず、持ちこたえてくれるのが何より大きい。

一方、同じレクサスRC350である、#62 HELM MOTOR SPORTS RC350の平木玲次/平木湧也/三浦愛組にも注目しないわけにはいかない。
新興チームではあるが、昨年の優勝チームであるLe Beausset Motor Sportsの体制、マシンを引き継いでおり、その意味では勝つ能力も秘めている。
平木兄弟にとって、ホームコースであるだけに大暴れの予感十分にあり。

 

GR Garage水戸インターGR86にとって、負けられない戦いがここにある

前2大会が2グループ開催だったことで、普段は大排気量車に隠れがちだった、激しいバトルがよりクローズアップされた、ST-4クラスとST-5クラス。
特にST-4クラスは三つ巴の状況となっており、それぞれ一歩も引かぬバトルが観客を魅了した。今回もお見逃しなく。

ランキングのトップは、#310 GR Garage水戸インターGR86の久保凜太郎/細川慎弥/坪井翔組で、開幕2連勝を達成。
前回の岡山こそ序盤のアクシデントで大きく順位を落とし、目標としていた「全勝チャンピオン」の夢こそ潰えたが、アベレージの高さは引き続き披露し、なおかつしぶとく走り続けて5位となっている。
今回のもてぎは、昨年初優勝を飾っているサーキットでもあり、チームにとってホームコースである。
今回は最も「負けられない戦い」として臨んでくるのは間違いない。

#310 GR Garage水戸インターGR86のリードを許してはいるものの、絶えず表彰台に乗り続けていることで、ウエイトハンディは30kgと、5kg重くなっているのが、#13 ENDLESS 86の小河諒/宮田莉朋/松井孝允組、そして前回のウィナーでもある#884 林テレンプSHADE RACINGの平中克幸/国本雄資/HIRO HAYASHI/石川京侍組だ。
ただ、この違いが3台の実力に影響を及ぼすことは、まずないと予想される。

引き続き三つ巴の戦いが期待される一方で、前回#18 Weds Sports 86の浅野武夫/藤原大暉/土屋武士組の3位はトピックのひとつともなった。
チームにとって8年ぶりの表彰台となり、三強に何かあれば食い込んでくるあたりは、実に見事だった。
そのしぶとさを引き続き発揮してほしいものだ。

 

 

雨さえ降らなければ、ロードスターの独壇場?

開幕からの2戦は雨に見舞われたことで、完全に速さを封じ込められていたST-5クラスのマツダロードスター勢だったが、最初から最後までドライコンディションが保たれた前回のレースでは、本領を発揮! 優勝を#456 odula AVANTECHロードスターの橋本陸/妹尾智充/貫戸幸星組が飾り、マシントラブルでリタイアに終わったものの、#88 村上モータースMAZDAロードスターの村上博幸/中島保典/谷川達也組が激しく争い合っていた。

毎回ウィナーが入れ替わっている激戦区ではあるが、ランキングトップに立つのは、その3チームではなく#69 J’S RACING☆FITの梅田真佑/久保田英夫/窪田俊浩組。
未勝利ではあるが、毎回表彰台に上がり、コンディションを問わない安定感が何よりもの強みとなっている。
ウエイトハンディが25kgに達し、積んでいる他の車両はせいぜい15kg、10kgなので、ローパワー小排気量のクラスで、どう影響するかきになるところではある。

一方、前回はミッショントラブルでリタイアしたこともあり、ランキングトップから陥落したものの、#37 DXLワコーズNOPROデミオSKY-Dの井尻薫/吉岡一成/関豊/加藤芳皓組は、前2大会の3時間レースでは物足りなかったはず。
最低でも5時間レースが本領発揮の場となって、きっとリベンジしてくれるに違いない。

また、もてぎに相性抜群なのが#4 THE BRIDE FIT。
この2年間、負け知らずなのだ。
今回は太田侑弥/伊藤裕士/松尾充晃/カルロス本田の布陣で挑む。
3年連続優勝なるか?

 

(はた☆なおゆき)

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