《プレビュー》スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第1戦 もてぎスーパー耐久 5Hours Race プレビュー

スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第1戦プレビュー

より速く、より多く。進化に期待の開幕戦


スーパー耐久シリーズは2021シーズン、新たなスタートを切ることとなった。コントロールタイヤが改められ、その名もスーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankookとして。 2月27日に行われた公式テストにおいて、新たなコントロールタイヤはライフとグリップ、両面での性能向上が明らかになった。
予選はコンディションに恵まれれば、レコードラッシュは必至。決勝でも、総周回数がどれだけ伸びるか、大いに期待される。開幕の地は、ツインリンクもてぎ。レースは5時間で、全クラス混走で争われることとなっている。ちなみにピットストップの義務づけは、3回だ。エントリーは51台。果たしてどんなバトルが繰り広げられるのか!

 

ST-Xクラスは、どのチームも優勝候補!

もてぎで5時間レースとしての開催されるのは、今年が4回目となる。これまでのST-Xクラスにおける最多周回数は、2018年と2020年に記された150周。FCY(フルコースイエロー)がそれぞれ約4分(2回)、約2分(2回)実施されて、この記録である。さらに冒頭で触れたタイヤの性能向上もあり、記録更新なるか注目される。
またレコードタイムは、2016年に星野一樹がGT-Rで記録した1分49秒183。昨年は#777 D’station Vantage GT3の藤井誠暢が1分51秒366を出し、2秒差はあるとはいえ、現在のハンコックタイヤの高評価からすれば、あながち更新は無理だとは言い切れない。

昨年のウィナーは、#888 HIRIX GOOD DAY RACING AMG GT3で、山脇大輔組がシーズン2勝目を挙げたことを決め手に、チャンピオンを獲得しているが、今年は参戦しない模様。したがって、また新たな覇権争いが繰り広げられることとなる。

コースとの相性良しは、#777 D’station Vantage GT3が先に述べたポール獲得で明らか。昨年は序盤のアクシデントで順位を落とし、悔し涙を飲んだものの、星野敏と藤井、近藤翼のトリオのままで体制に変化なし。リベンジに期待がかかる。

昨年のレースで一時トップを走行し、また2月の富士テストにおいてナイトセッションで最速タイムを記していたのが、永井秀貴 / 嵯峨宏紀 / 小高一斗組の#31 LEXUS RC F GT3。エースである嵯峨が、F3時代にハンコックのタイヤを使用していた経験が生かされた様子だ。昨年は未勝利だっただけに、優勝は喉から手が出るほど欲しいところだろう。
昨年はランキング2位だった、#9 MP Racing GT-Rも侮りがたい存在である。まだ勝利の美酒を味わったことはないが、安定感はとにかく抜群。今年もJOE SHINDOを強力ドライバーたちがバックアップ、ホームコースで臨む第1戦では柴田優作と影山正美、そして監督でもある井上恵一がステアリングを握ることとなっている。

DAISHINオレンジの復活で、大いに話題を集めた#81 DAISHIN GT3 GT-Rは、大八木信行と青木孝行のゴールデンコンビが復活! 年々、頼もしさを増している藤浪清斗とともに、久々の優勝の期待がかかる。そして、昨年も1勝を挙げている#16 PC Okazaki 911 GT3Rには、永井宏明と上村優太の新パートナーとして、中山雄一が加わった。トヨタ車以外を初ドライブとなる中山ながら、ポルシェを手なずけるのは時間の問題だろう。
そして、ST-TCRクラス王座の手土産を引っさげ、植松忠雄と川端伸太朗、井出有治がST-Xクラスに移ってきた。新パートナーとなる澤圭太が持ち込んできた、#290 Floral UEMATSU FG 720S GT3は。富士テストのデイセッションでトップタイムをマーク。乗りやすく耐久向きとされる、スーパー耐久初登場のマクラーレンが、どんな走りを見せてくれるか注目したい。

S最激戦区となったST-Zクラスも見逃せない

開幕戦には15台のエントリーを集め、最激戦区となったのが、GT4を用いるST-Zクラスだ。その内訳は、メルセデスAMG GT4が6台、このクラスには初登場となるトヨタGRスープラGT4が4台、そしてBMW M4 GT4とポルシェ718ケイマンGT4 CS、ジネッタG55 GT4、アストンマーティン・ヴァンテージAMR GT4、アウディR8 LMS GT4が1台ずつとなっている。

このクラスもまた、どのチームが勝ってもおかしくない強力布陣となっているが、優勝候補はやはり内田優大 / 山内英輝 / 菅波冬悟 / 小河諒組の#3 ENDLESS AMG GT4だろう。2年連続でチャンピオンを獲得しており、チームの総合力としては随一。何より内田のジェントルマンドライバーとして突出した実力は、今もライバルチームにとって脅威に映るはずだ。

その#3 ENDLESS AMG GT4を、昨年のレースで終盤の逆転で打ち負かしたのが、#47 D’station Vantage GT4の星野辰也 / 織戸学 / 篠原拓朗 / 浜健二組。142周を走破しており、この記録がどこまで伸ばされるかも注目したい。また、このクラスのレコードタイムは昨年、加藤寛規がKTM X-Bowで記した2分1秒638。これも更新はほぼ間違いない。

新興勢力であるGRスープラ勢は、いずれも魅力的なドライバーを並べてきた。#108アスラーダVer. SUPRAは鈴木利男と黒澤琢弥、#111 Access HIROSHIMA+GR SUPRA GT4は平川亮、#885林テレンプSHADE RACING GR SUPRA GT4は平中克幸と三浦愛という! これだけでも、どのチームも活気満々であることが分かる。

だが、最も注目すべきは、昨年のST-4クラス王者として活動の舞台を移してきた、#311 FABULOUS GRMI GR SUPRA GT4の鈴木宏和 / 久保凜太郎 / 塩津佑介 / 佐藤公哉組か。GR 86 / BRZレースとの二冠達成なった、久保の勢いに衰えがなければ!

またスーパー耐久の古参であり、常勝チームであったテクノファーストの復活も見逃せない。2年前は御難続きだったジネッタの真価を引き出せるか? 田中優暉 / 安田裕信 / 山田真之亮というラインアップも、期待を膨らませる要素である。

たとえ台数は少なくても…

ST-Zクラスの驚異的な盛り上がりからすると、少々寂しさが否めないのが、ST-TCRクラスと新設されたST-Qクラス、そしてST-1クラスだ。それぞれ2台、1台、3台にエントリーが留まっているからだ。

中でもST-TCRの#65 REBELLION Mars Audi RS3 LMSは、この原稿執筆時点ですべてのライバーがTBNとなっており、その中のひとりが加藤正将であるのは間違いないだろうが、実力を推し量る術がないのは残念なところ。一方の#75おとぎの国CIVIC TCRは、スーパー耐久の経験豊富なドライバーを並べてきた。どうあれ、激しい一騎討ちとなることを期待したい。

ST-Qクラスは、ST-1クラスから移行してきた#28 ORC ROOKIE Racing GR SUPRAの孤軍奮闘。トヨタからより強いクルマにすることを、ROOKIE Racingは依頼されての参戦となる。ある意味、GRスープラ GT4の未来形態が見られるのでは? 蒲生尚弥と豊田大輔、小倉康宏の新パートナーとして山下健太が加わり、ST-Zクラスをどこまで上回れるか注目したい。

TRACY SPORTSオリジナル製作の#38 muta Racing GR SUPRAも、ST-3クラスで見せ続けてきた堤優威 / 阪口良平 / 堀田誠組の底力からすれば、当然ST-1クラスのチャンピオン候補となるだろうが、そこに必ず立ちはだかるはずの存在が、#2シンティアム アップルKTMの飯田太陽 / 加藤寛規 / 高橋一穂組だ。

昨年までのX-Bow GT4を遥かに超えて、アグレッシブな印象を受けるX-Bow GTXながら、実際の乗り味は加藤によるとマイルドという。それでも、いかにもコーナーが速そうで、願わくば「コーナーのKTM」、「ストレートのGRスープラ」のような図式となって、一進一退の攻防を繰り広げて欲しいものだ。

今年も続くか、ST-2クラスでGRヤリスの快進撃は?

昨年は5戦中3戦で優勝を飾り、デビューイヤーにも関わらずタイトルを獲得した、ST-2クラスの#32 ORC ROOKIE Racing GR YARIS。今年は井口卓人と佐々木雅弘、TBNとはなっているがMORIZOとの組み合わせに、松井孝允を加えての参戦となるだけに、戦力強化は間違いなし。今年も快進撃が続きそうだ。

その勢いから、大幅な台数増となるのでは、と思われたGRヤリスながら、当面は新たに追加されるのは#225 KTMS GR YARISのみとなりそうだ。しかし、昨年のFIA-F4王者である平良響、野中誠太、翁長美希といった若手ドライバーたちは勢い十分。シリーズを大いにかき回す存在になって欲しいもの。

連覇は絶たれたものの、#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの大澤学 / 後藤比東至 / 石坂瑞基組が、黙って手をこまねいているとは思い難い。きっとオフの間に、この手、あの手を駆使して最終進化の体制で臨むはず。受けて立つ構えから、再び挑む構えとなったが、激戦あってこそのクラスであるだけに!

果たせるか、HELM MOTORSPORTSの2年連続優勝

ST-3クラスのラインアップは、昨年とほぼ一緒。チャンピオンチームであるTRACY SPORTS with DELTAがレクサスRC350を1台増車し、王座に輝いた#39エアバスターWinmax RC350 TWSは、引き続き冨林勇佑 / 大島和也 / 石井宏尚組に託され、そして新たに#41エアバスター55Garage RC350 TWSは、庄司雄磨 / 伊藤善博 / 鵜飼健太組に託されることとなった。

このクラスにおけるポイントとして、最低重量の変更がある。日産フェアレディZは1290kg、トヨタ・クラウンRSも1400kgのままだが、RC350は1410kgと10kg増となっている。この差が、戦況にどう影響を及ぼすか。
軽さが絶対的な武器となると思われていたZ勢ながら、昨年は未勝利。今年こそ…の思いは、いっそう強くなっているに違いない。#15岡部自動車RECAROフェアレディZは長島正明と小松一臣はそのままに、甲野将哉がレギュラーとして復帰した。#244 QUEEN EYES 34Zは田中徹 / 田中哲也 / 三宅淳詞組で、昨年と変わらぬトリオでの参戦となる。

第1戦でいきなりデビューウィンを果たし、さらに第5戦で2勝目を挙げて、勢いそのままに…の期待がかかる、#52埼玉トヨペットGBクラウンRSも、服部尚貴 / 吉田広樹 / 川合孝汰 / 平沼貴之組という不動の体制だ。
そして、スーパー耐久参戦2戦目にして初優勝を飾った、#62 HELM MOTORSPORTS LEXUS RC350も、やはり平木湧也 / 平木玲次 / 高橋知己組と、変わらぬ体制で挑む。果たしてもてぎ2年連続優勝はなるか、平木兄弟にしてみれば、ありとあらゆるカテゴリーで走りこんだホームコースとあって、絶対に勝ちたいという思いはどのチームより強い。その思いが空回りにさえならなければ!

3台だけの戦いであっても、ST-4クラスはきっと熱い!

かつてのにぎわいは、いったいどこに…。ST-4クラスのエントリーは今回わずか3台。なんとも寂しい限りだが、それでもバトルは激しく、三つ巴で繰り広げられそうだ。

昨年もタイトル争いを繰り広げた2チームは、ST-Zクラスに進出を果たしたが、引き続きトヨタ86での参戦も継続してくれたのが、実に喜ばしくもある。チャンピオンの#310 GR Garage水戸インターGR86は坪井翔と細川慎弥が、#884林テレンプSHADE RACING 86は国本雄資と石川京侍が、このクラスに残留し、それぞれFIA-F4の参戦経験を持つ、堀尾風充と清水英士郎を迎い入れることとなった。ふたりのルーキーがどれだけ早く、スーパー耐久での適性を示すかによって、有利・不利が分かれそうだ。

もう1台の、浅野武夫をリーダーとする#18 Weds Sports 86には、一発の速さではライバルにかなわずとも、耐久の戦い方を知り尽くした、絶対的な安定感がある。最終スティントの位置次第で、想像を超える展開に持ち込んでくれるのではないか。

第2の激戦区、ST-5クラスでスタートダッシュを決めるのは?

今年もST-5クラスは、FRのマツダ・ロードスター勢、FFのホンダ・フィット3、マツダ2 / デミオディーゼル勢による、激しいバトルが期待できそうだ。このクラスの最多周回は、昨年記録された123周。チャンピオンに輝いた#69 J’S RACING☆FITによって達成されているが、同チームのエントリーは今回のみならず、年間エントリーにもないのが残念だ。

コントロールタイヤが改められたことによる恩恵は、ST-5クラスに最も大きいとされ、そのことは富士テストでも実証済。このクラスのレコードタイムは、2015年に叩き出された2分17秒453ながら、更新もあながち夢ではなさそうだ。

最終戦が開催されていれば、逆転チャンピオンの芽もあった#456 odula Star5 Roadsterは、さまざまな要素における最有力候補。テストでも最速タイムを記録し、好調ぶりをキープしている。体制としても、橋本陸と貫戸幸星、大崎達也、小原康二とほぼ変わらず。悲願の王座獲得に向けて、是が非でもスタートダッシュを決めたいところだろう。

FF勢では見並秀文率いる、#4 THE BRIDE FITが有力か。一昨年のチャンピオンでありながら、昨年は1勝を挙げるに留まり、ランキングは3位。開幕戦には太田侑弥、FIT 1.5チャレンジカップのレコードホルダー伊藤裕士、相原誠司郎といった、もてぎを得意とするドライバーを並べており、必勝体制としているのは明らかである。

ダークホースは佐々木孝太 / 吉田綜一郎 / 妹尾智充組の#103ヒロマツ マツダ2か。クラス随一の軽さが、ストップ&ゴーの繰り返されるレイアウトにマッチしそう。初勝利への期待もかかる。

さて、いくつかのクラスで記録の更新を予想したのだが、そのための最大の要因である天気なのだが、週末に向けて今のところ芳しくなさそう。ただ日が近づくにつれて、若干ながら明るい兆しも見えてきた。当初の天気予報が、大幅に外れてくれることを期待したい。

(はた☆なおゆき)

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