《プレビュー》スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第2戦プレビュー

スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第2戦プレビュー

ST-2クラスとST-3クラスがグループ2へ。レースに変化は生じるか?


ツインリンクもてぎで行われた開幕戦から、わずか1か月足らず。スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第2戦が、スポーツランドSUGOで開催される。
開幕戦は悪天候のため、本来の予定より1時間早く終了となったが、今回こそ…の期待がかかる。新たにコントロールタイヤとなったハンコックのドライタイヤは、予選グリップレベルの向上を早くも証明した。今回は決勝レースで、ライフが向上したか否か、試されることを望みたい。
決勝レースは2グループに分かれ、それぞれ3時間で競われる。これは今までどおり。ただし、今年のSUGOラウンドにおいては、これまでST-4クラスとST-5クラスで競われていたグループ2に、新たにST-2クラスとST-3クラスも加えられることとなった。このことが果たして、どう影響を及ぼすのか大いに注目されるところだ。なお、ドライバー交代を伴うピトッストップの義務づけは2回で、これは今までと変わらない。

 

ノーミス、ノートラブルでなければ勝てなくなったST-Xクラス

開幕戦でST-Xクラスを制したのは、D’station Vantage GT3の星野敏 / 藤井誠暢 / 近藤翼組だった。決勝レース中の雨量は一定ではなく、絶えずコンディションが変化したこと、そしてピットタイミングの違いも影響して、普段のレースより目まぐるしく順位が入れ替わっていた中、安定感で極まっていたことが、いちばんの勝因となっていた。

逆に言えば、決勝レースがドライコンディションであったなら、また全然違った展開になっただろう。たとえば予選で永井宏明と上村優太がいずれもトップタイムを記し、ポールポジションを獲得していたPC Okazaki 911 GT3Rは、今年から中山雄一を迎え入れているだけに、予選の勢いそのままにレースを駆け抜けた可能性も十分ある。

また3時間25分経過した時点で赤旗が出され、4時間目に終了となったが、もし天候が回復して再開されていたら…。セーフティカー(SC)導入でD’station Vantage GT3との差が詰まっていただけに、Floral UEMATSU FG 720S GT3を駆る、植松忠雄 / 澤圭太 / 川端伸太朗 / 井出有治組の逆転もあったのでは、とも想像してしまう。

どうあれ、今年のST-Xクラスは実力伯仲。それだけは紛れもない事実だ。何かで抱えた遅れ、例えばスピンであったり、SCラン中のドライバー交代後に、ピットロードのレッドランプで足止めを食らったりした時の、ロスを取り戻すことができなかったという印象が強かった。ノーミス、ノートラブルでなければ勝てないほどのレベルに、もはや達してしまったのかもしれない。

開幕戦はポルシェ・ケイマンが初優勝のST-Zクラス

シリーズ最多の15台ものエントリーを集め、大いに盛り上がりを見せたST-Zクラス。その戦力図に変化があった。まず昨年、猛威を振るったメルセデスAMG GT4が、今ひとつ精彩を欠いている。結果的に、5ZIGEN AMG GT4の大塚隆一郎 / 金石年弘 / ジェイク・パーソンズ / 太田格之進組が2位に入ったものの、一度も最多勢力であるAMGはトップを走ることを許されず、2年連続チャンピオンであるENDLESS AMG GT4の内田優大 / 山内英輝 / 菅波冬悟組にいたっては、予選こそ3番手だったが、決勝では歯車が最後まで噛み合うことなく、10位に甘んじている。

予選トップは、D’station Vantage GT4の星野辰也 / 織戸学 / 篠原拓朗組が獲得しており、ウェットコンディションの決勝でも、速さには衰えがなかった一方で、ピットタイミングに恵まれず、6位に留まることになった。逆にウェットコンディションに転じ、俄然勢いづいたのが WAIMARAMA EBI Cayman GT4のKIZUNA / 千代勝正 / 山野直也 / 大草りき組。予選9番手からの優勝とあって、ミッドシップならではのバランスの良さが、如実に表れた感が強かった。

一方、予選、決勝を通じた平均点が高かったのは、トヨタGRスープラ。FABULOUS GRMI GR SUPRA GT4の鈴木宏和 / 久保凜太郎 / 塩津佑介 / 佐藤公哉組が予選2番手で、決勝は4位。これをひとつ上回る3位だったのが、Access HIROSHIMA+ GR SUPRA GT4の松田利之 / 古谷悠河 / 檜井保孝 / 平川亮組で、こちらは予選8番手から着実に順位を上げてきた。昨年、ST-1クラスでROOKIE Racing GR SUPRAがデータを積み重ねてきたとはいえ、それぞれ初レースでの大健闘。初優勝を飾るのに、そう時間を要しないのではないか?

車種のバラエティにも富む、それがコースやコンディションの違いによって、有利・不利が分かれるようだと、バトルにも一層深みが出る。実際のところ、どうなのかしばし様子を見よう。

孤軍奮闘のクラスの楽しみ方は?

ST-TCRクラスは、開幕戦にエントリーしていた1台が出場できなくなり、おとぎの国CIVIC TCRをドライブする、芳賀邦行 / 蘇武喜和 / 霜野誠友 / 谷岡力組の孤軍奮闘となってしまった。残念ながら今回もエントリーは1台のみ。ST-Qクラスも、ORC ROOKIE Racing GR SUPRAの蒲生尚弥 / 豊田大輔 / 山下健太 / 小倉康宏組だけのエントリーとなった。

この2クラスの楽しみ方だが、他のクラスの車両とどう渡り合うかではないか。ST-Qクラスに関しては、非常に分かりやすい。ST-ZクラスとST-Zクラスに出場する、GRスープラとの比較になる。物差しとなるのはST-ZクラスのGT4。これに関しては、一切改造が許されないからだ。対して、ST-Qクラスは、GT4プラスとでも言うべき開発車両であって、バージョンアップが可能。今後どれだけ進化していくか注目していきたい。

ST-TCRクラスなら、どれだけST-Zクラスを食えるかといったところか。かつて下剋上は厳禁とされたスーパー耐久ながら、そうでもしないと張り合いもなかろう。もっとも、ドライバーは「これだけ長い時間、走れることはそうないので、いい練習になるし、その結果、ドライビングにも幅が出る」と前向きにとらえており、現状を憂いていないのが救いでもある。

予想以上の盛り上がりを見せそうなST-1クラス

エントリーはわずか3台ではあったが、予想をはるかに超えた面白さが期待できそうなのがST-1クラスだ。開幕戦で見事ポール・トゥ・ウィンを飾ったのは、シンティアムアップルKTMの飯田太陽 / 高橋一穂 / 加藤寛規組。まぁ、誰もが納得の結果だと思われるかもしれないが、実際のところは…。

まず明らかになったのは、大山正芳 / 斎藤真紀雄 / 山本賢組のカップカーこと、CSダイワN通商アキランドポルシェが、ストレートではダントツに速いこと。もちろん、コーナーではシンティアムアップルKTMが速く、堤優威 / 阪口良平 / 堀田誠組のmuta Racing GR SUPRAは、その意味において中間的存在ではある。

実際、予選でCNダイワN通商アキランドポルシェは、合算タイムではトップでありながら、数回の走路外走行によって当該タイムが採用されず。幻のポールに終わってグリッドは下位になり、決勝でも序盤のコースアウト、さらに数回の黄旗無視があって20秒ストップのペナルティを受けてもいたため、最後まで上位進出はかなわなかったが、何事もなければ…との予想はつく。

また、シンティアムアップルKTMは雨が得意ではないとのドライバーのコメントもあり、必ずしもオールマイティではなさそう。そして、muta Racing GR SUPRAに関しては、まだまだ足回りやエアロに改良の余地を残していることを思えば、伸びしろは十分ある、ということを考慮すれば、今後このクラスは激戦となる可能性十分と言えるのではないか。

初の試み、グループ2が4クラスで争われる

冒頭でも触れたとおり、今回はグループ2がST-4クラスとST-5クラスだけでなく、初めてST-2クラスとST-3クラスも加えて競われることになった。グループ1との台数的なバランスも良く、個人的なことを言わせてもらえば、レポートを書く身としてはかなり楽になる(笑)。

まずはST-2クラス。トヨタGRヤリスの快進撃は今年も続いているが、ライバルも黙って手をこまねいていたわけではなさそうだ。特に冨桝朋広 / 菊池靖 / 大橋正澄組の新菱オート☆NEOGLOBE☆DXL☆EVO10は、オフの間に徹底的な軽量化を進めた結果、予選では井口卓人 / 佐々木雅弘 / MORIZO組のORC ROOKIE Racing GR YARISに、僅差で迫るまでになった。

一方、そのORC ROOKIE Racing GR YARISは予選後にエンジン交換を余儀なくされ、ピットスタートとなったばかりか、エンジンとABSにトラブルを抱え、たび重なるピットストップで勝負権を失うという、衝撃的な幕開けとなってしまった。もともとST-2クラスは車両そのものの構造の複雑さから、危うさのあるクラスだったのだが、GRヤリスもか……と。実のところ、最低重量の見直しもあり、そのあたりで負担も増してしまったのだろう。

そんな中、若手トリオである、野中誠太 / 平良響 / 翁長実希組のKTMS GR YARISの初優勝は、嬉しいニュースでもあった。平良は昨年のFIA-F4チャンピオンで、野中はランキング3位。今年も野中は併せて3年目のFIA-F4を戦うこととなっている。

そして翁長は昨年のKYOJO-CUPでランキング2位。今年も引き続きKYOJO-CUPを戦う他、JAF-F4にも参戦を予定している。なお、平良と翁長は沖縄出身のドライバーでもある。3人ともハコでのレースは昨年が初めてだったが、1年足らずでもう適性を見せるようになった。今後もっともっと注目していただきたい。

バトルはより白熱、ST-3クラスに死闘の予感

開幕戦の予選では、服部尚貴 / 吉田広樹 / 川合孝汰 / 平沼貴之組の埼玉トヨペットGBクラウンRSがトップで、決勝では田中徹 / 田中哲也 / 三宅淳詞組のQUEEN EYES 34Zが優勝と、レクサスRC350勢を封じ込んだST-3クラス。埼玉トヨペットGBクラウンRSが、高地のオートポリスだけではない速さを見せつけたこと、そしてフェアレディZ久々の勝利は、クラスを盛り上げる大きな話題となった。

特にQUEEN EYES 34Zの監督でもある田中哲也は、やはり三宅を擁して参戦するスーパーフォーミュラ・ライツにおいても、第3戦で優勝を飾っており、采配が相次いで冴えている。こういう流れは連鎖しがちであるだけに、今回も振るう戦略に注目したい。

その一方で、RC350の戦闘力が低下したかといえば、決してそんなことはない。冨林勇佑 / 大島和也組のエアバスターWinmax RC350 TWSは、予選、決勝ともに2位ながら、コース上で埼玉トヨペットGBクラウンRSを抜き去ってもいた。こと、開幕戦はピットタイミングで明暗も大きく分かれたため、結果の上では本領を発揮できずに終わったに過ぎない。

こと今回は、グループ2に初めて挑む機会であり、その総合優勝はST-3クラスによって競われるはず。バックミラーを気にせず走れる、初めての檜舞台でもあるだけに、普段以上の死闘が繰り広げられる可能性は十分にある。

たとえ台数が少なくても、ST-4クラスは激戦が当たり前

今回も3台が挑むだけとなった、ST-4クラス。とはいえ、坪井翔 / 細川慎弥 / 堀尾風充組のGR Garage水戸インターGR86、そして国本雄資 / 石川京侍組の林テレンプSHADE RACING 86が、それぞれチームがST-Zクラスにも参戦しながら、このクラスに留まってくれたことに感謝すべきだろう。開幕戦では結果的に、一騎討ちの様相を呈したからだ。

予選でトラブルを抱えていた分、ピットでの積極策が目立っていたのが林テレンプSHADE RACING 86で、比較的セオリーどおりのピット戦術を採っていたのがGR Garage水戸インターGR86だった。軍配は前者に上がったが、実力伯仲は従来どおり。今年もシーズンを通じ、激しい戦いを期待できそうだ。

今年はロードスター優勢のシーズンか?

ドライならばFRが有利で、ウェットならFFが有利。これがセオリーであったはずだ。それぞれ存在するST-5クラスにおいて、コンディションの違いで戦況が変わることが多々あった。しかし、こと開幕戦では決勝が終始ウェットだったにも関わらず、マツダ・ロードスター勢がFF勢にトップを一度も明け渡さなかったのだ。

予選トップだった橋本陸 / 貫戸幸星 / 大崎達也 / 小原健二組のodula Star5 Roadsterが、レース序盤をリードするも、武地孝幸 / 太田達也 / 大野尊久 / 猪股京介組のodula TONE MOTULロードスターが逆転。その後、村上博幸 / 中島保典 / 谷川達也組の村上モータースMAZDAロードスターがトップに立って、再びodula TONE MOTULロードスターが逆転を果たすという展開だった。

新たなコントロールタイヤ、ハンコックとロードスターの相性が良く、ドライでもウェットでも横のグリップ力の向上が理由だとされている。残念ながらodula Star5 Roadsterは、ピットタイミングに恵まれず5位に留まったが、レースが普通に進んでいれば、どうあれ表彰台には上がれたはず。そんな状況において、佐々木孝太 / 吉田綜一郎 / 妹尾智充組のヒロマツマツダ2が2位に割って入ったのは、大健闘ではあった。ロードスターの快進撃が、どこまで続くか注目したい。

 
さて、舞台となるSUGOは、このオフに改修が行われて、ストレートが2mスタンド側に移され、またピットロードが拡張された。さらに最終コーナー側のピットも改修され、パドック内の車検場も移設。特にピットロードの拡張は好評で、かつて見られたスリリングなピット作業という光景は激減するに違いない。「魔物が棲む」と囃し立てられるSUGOではあるが、そんなもの存在しないほうがいい。クリーンなバトルが最後まで続くことを期待したい。

(はた☆なおゆき)

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