《プレビュー》第3戦 富士SUPER TEC 24時間レース

4回目の富士SUPER TEC 24時間レースに、新たなドラマは生まれるか?

スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第3戦プレビュー


スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第3戦は、「NAPAC富士SUPER TEC 24時間レース」として開催される。今年で4回目の開催となり、過去3回はいずれもさまざまなドラマを生み出してきた。同時に富士スピードウェイが、さながらフェスティバル会場の様相を呈する一戦でもある。コースサイドの随所にテントが設置されたり、キャンピングカーが置かれたりして、観客は思い思いのスタイルでレースを昼夜通して楽しむ。未だ新型コロナウイルスは予断を許さぬ状況ゆえ、細心の注意をはかっていただく必要はあるにせよ、特別な一日をぜひお過ごしいただきたい。

 

801周って、どのぐらいの距離?

2018年に行われた第1回大会は759周、第2回大会は801周を、オーバーオールウィナーが走破。これは距離にして3655kmにも達し、どのぐらいかというと北海道の十勝スピードウェイを出発して、オートポリスにたどり着き、戻って富士スピードウェイに到達してなお、お釣りが来るぐらい。どれだけ走っているか、これでイメージしてもらえるのではないか? しかも、この年はセーフティカー(SC)が一度も入らず、FCY(フルコースイエロー)が4回実施されたが、合計時間は20分にも満たなかった。

昨今の車両の進化、そしてドライビングマナーの向上をすれば、昨年の第3回大会はさらなる記録更新も期待されたが、初めて見舞われた悪天候により、途中中断もあったことから、それはかなわずに終わっている。今年こそ…といきたいところだが、この原稿執筆時の天気予報では、これがまた微妙なところなのである。まぁ、祈るしかない。

富士24時間2連覇の経験は、果たして活かされるか?

ST-Xクラスにはスポット参戦の2台を含め、7台がエントリー。前回のウィナー、PC Okazaki 911 GT3Rの欠場が残念だが、ドライバーの永井宏明と上村優太、中山雄一は揃ってLEXUS RCF GT3の助っ人となり、永井秀貴と嵯峨宏紀、小高一斗とともに参戦することとなった。

もっとも昨年も、この6人はともに戦っており、2位を獲得。そもそも兄弟チームにも等しく、実際に永井宏明と永井秀貴は兄弟だから、コミュニケーションは抜群なのである。4月28日に行われた第2回公式テストでは、ナイトセッションで最速タイム、1分39秒832を小高が叩き出してもいる。

こういった強力な助っ人が、どう加わるかも長丁場のレースの魅力でもある。MP Racing GT-Rが加えたのは松田次生と元嶋佑弥。そして、DAISHIN GT3 GT-Rは坂口夏月を加えている。その一方で、開幕戦を制し、目下ランキングのトップを行く、D’station Vantage GT3は通常どおり星野敏と藤井誠暢、近藤翼という3人体制で挑む。これはジェントルマンドライバーの星野敏のWEC、そしてル・マン24時間のトレーニングも兼ねているのだとか。ハードな戦いをクリアしてこそ、次のステップがあるということなのだろう。

スポット参戦は、TSK Audi R8 LMSとCARGUY NSX-GT3で、それぞれ宮田莉朋とケイ・コッツォリーノが核を成すこととなる。ちなみにTSK Audi R8 LMSは、宮田がデイセッションのトップタイム、1分40秒332をマークした。

Floral UEMATSU FG 720S GT3も含め、7台すべて強力な布陣となっているため、どのチームが勝ってもおかしくないが、やはり富士24時間の実績として、第1回から2連覇のDAISHIN GT3 GT-Rが最も有力か。いずれにせよ、天候に見舞われてほしい、特にこのクラスを闘う者たちは強く願っているはずだ。

どこが勝ってもおかしくない最激戦区のST-Zクラス

ST-Zクラスには9台がエントリー。開幕戦で3位のAccess HIROSHIMA+GR SUPRA GT4はエントリーこそしていたが、大人数での移動リスクを考慮して急きょ参戦を見送り、また4位だったFABULOUS GRMI GR SUPRAGT4も、久保凜太郎と鈴木宏和がST-4クラスのGR Garage水戸インターGR86のサポートに回るため欠場。さらに前回のウィナーTKRI松永建設AMG GT4も欠場は、少々残念ではあるが、やむを得まい。

このクラスはほぼレギュラーでの参戦が目立つが、唯一がっつり加えてきているのが開幕戦ウィナーのWAIMARAMA EBI Cayman GT4。山野哲也とジュリアーノ・アレジが加わることとなった。昨年はST-TCRクラスで優勝を飾っており、条件が厳しければ厳しいほど、強さを発揮するチームだけに、ここを優勝候補のひとつとしても差し支えなかろう。

このチームを0.5ポイント差で従え、ランキングのトップに立つのは5ZIGEN AMG GT4。シリーズの古参チームは一時活動を休止していたが、復帰を果たすやこの大活躍。安定感に優れる一方で、まだ優勝に恵まれていないこともあり、久々の勝利の美酒をこの一戦で、と目論んでいるはずだ。

そして昨年までの強さは目下のところ、なりを潜めているものの、2連覇、そして富士24時間連勝の経験を持つENDLESS AMG GT4の持ち味が、今回発揮されるのは間違いないだろう。さらに、今年は安定の速さを自慢とするようになった、D’station Vantage GT4が軸になって、激しい優勝争いが繰り広げられるのではないか。

一方、ここまでの2戦では目立った成績を残せていないものの、公式テストでは林テレンプSHADE RACING GR SUPRA GT4が平中克幸により、1分47秒086をマークしてトップ。このレースが覚醒の時となるかも?

シビックの富士24時間初優勝は確定的、ではどちらが?

当初、おとぎの国CIVIC TCRの、また孤軍奮戦となるかと思われたST-TCRクラスだが、強敵の参戦がここにきて決定した。メンテナンスをムーンクラフトに改め、Racer Hondaカーズ桶川CIVICが、遠藤光博と中野信治、小出峻、原田健太といった昨年同様のドライバーに、澤龍之介を加えてきた。ここまでおとぎの国CIVIC TCRが重ねてきた54ポイントは、絶対的なマージンではあるものの、万が一リタイアしてしまえば、7ポイント差にまで詰められてしまう。ここは手堅くレースを進めていくはずだ。

意外にも、過去3大会において、ホンダシビックの優勝はない。どちらが富士24時間初制覇を成し遂げるか、大いに注目される。

水素エンジン搭載車両の投入で、俄然注目されるST-Qクラス

ST-Qクラスもまた前2戦同様、ORC ROOKIE Racing GR SUPRAだけが参戦かと思われたが、突然の発表が、ORC ROOKIE Racingが水素エンジンを搭載する、カローラスポーツで討って出ることとなったのだ。ただし、燃費に関しては未知数とのことで、一説には連続周回は10周程度ということで、しかも水素充填はピット裏の専用ステーションで行われるため、勝負は度外視での参戦にはどうしてもなってしまう。この車両を駆るドライバーのひとりが小林可夢偉ということもあって、初めて挑むスーパー耐久で予選のみならず、決勝においても冴えた走りを披露して欲しかったのだが…。

やはり、このクラスの焦点は、ORC ROOKIE Racing GR SUPRAが、ST-ZクラスとST-1クラスのスープラと、どう戦い合うか。また、この長丁場の一戦で、新たに加えられた改良はあるか。そのあたり、明らかになればレポートで報告したい。

3台による三つ巴の戦いは必至か、ST-1クラス

CSダイワN通商アキランドポルシェの欠場が惜しまれるものの、その代わりに…というわけではないが、ST-1クラスにはBMW M2 CS racingがスポットで参戦を果たす。3ℓターボということで、ストレートパフォーマンスが高そうだが、何より気になるのが、そのドライバーラインアップ。木下隆之と大井貴之、砂子塾長とレジェンドドライバーを起用し、古くからのファンをうならせることとなったからだ。

もちろん、受けて立つのは、ここまで優勝を分け合っている、muta Racing GR SUPRAとシンティアム アップルKTMの2台だ。まったく性格の異なる車両ではあっても、トータルパフォーマンスでは互角とされるが、果たして富士では、そして24時間レースでの耐久性は? いろいろ白黒はっきり決着をつけるレースにもなりそうだ。そこにBMW M2 CS racingが加わり、三つ巴の戦いが繰り広げられるのは間違いないだろう。

公式テストのトップタイムは、シンティアム アップルKTMの加藤寛規がマークした1分47秒750。自身の持つレコードタイムにあと一歩と迫っており、予選では確実に更新されそうだ。

このままひた走るか、KTMS GR YARIS。それとも…

ST-2クラスは7台がエントリー。ORC ROOKIE Racing GR YARISはST-Qクラス移行により、戦列を離れることとなった一方で、新たにGV RACE Analytics GR YARISが加わることとなった。新興チームとあって実力は未知数ながら、公式テストでは1分52秒269でトップだっただけに、侮り難い存在と言えそうだ。

目下ランキングトップは、野中誠太と平良響、翁長実希といった若手トリオのドライブする、KTMS GR YARIS。ここまで2連勝で、今回はJAF-F4やミニチャレンジの経験を持つ、一條拳吾を加えての参戦となる。なお、今回からマシンは新車に改められる。

一方、ランキング最下位だったとはいえ、速さで圧倒的に秀でていたORC ROOKIE Racing GR YARISがいなくなったことで、既存勢力のチームが俄然色めきだっている。特に、昨年連覇を止められてしまった、DAMD MOTUL ED WRX STIは、ここから巻き返すと躍起になっているはず。安岡秀徒と佐藤駿介を加えての参戦となる。ダークホースはHonda R&D Challenge FK8。速さでは四駆勢にかなわずとも、ここまでの2戦ノートラブルで走り続けている。乱戦気味になったときほど、注目の一台かも。ここもレジェンドドライバーの桂伸一が加わることとなっている。

もはや予想困難な戦い繰り広げられるST-3クラス

開幕戦ではQUEEN EYS 34Zが、そして第2戦では埼玉トヨペットGBクラウンRSが優勝。今回はレギュラーの6台そのままでの戦いとなるST-3クラスは、もはや予想困難な状態となりつつある。この2台が同ポイントで並び、わずか2.5ポイント差でディフェンディングチャンピオンのエアバスターWinmax RC350 TWSが続き、また第2戦の予選トップはHELM MOTORSPORTS RC350が獲得しているからだ。残る2台の岡部自動車レカロZルーニースポーツ、エアバスター55 Garage RC350 TWSも展開に恵まれないだけで、実力は他の4台に引けをとってはいない。

逆に言うと、高得点の可能な今回のレースは、天下分け目の戦いになるかもしれない。ここで勝ってこそ、シリーズを有利に進められるという。特に、このクラスは最初から最後まで、抑えて走るようなことはなさそうだ。

開幕3連勝なるか、林テレンプSHADE RACING 86!

ST-4クラスは残念ながらスポット参戦がなく、ここまでの2戦同様、3台での戦いとなる。開幕2連勝の林テレンプSHADE RACING 86はレギュラーの国本雄資、石川京侍、堀尾風允に加え、ベテランの新田守男を、そしてなんとか今回で巻き返したいGR Garage水戸インターGR86は前述のとおり、久保と鈴木を加えてきたあたりに本気を感じずにはいられない。両チームの差は12ポイント、これがさらに広がるか、逆に縮まるか。状況によっては逆転さえもあり得るだろう。

一方、しぶとい展開が得意のはずの、Weds Sports 86が本来の持ち味を今年は出せていない。アクシデントに見舞われ続きではあるからこそ、何か秘策を打ってくるような気がしてならない。

12台で激戦を繰り広げることとなるST-5クラス

ST-Zクラスに欠場があるため、今回は最多12台が挑むこととなったST-5クラス。今年はマツダロードスター勢の快進撃が目立っているが、中でもランキングトップのodula TONE MOTULロードスターが、助っ人にHIROBONを起用。ここで一気に突き放そうとしているのは間違いない。TCRジャパンに加え、今年からFIA-F4にも参戦、インディペンデントトロフィーをわずか2戦で制したドライバーは、きっと初めて乗るロードスターを苦にせぬはずだ。

ランキング2位は前回のウィナーで、ついに速さを強さに昇華させたodula Star 5 Roadster。橋本陸を筆頭とする、フォーミュラ上がりで“渋目の若手”が中心のチームは、チームワークも良く、我が我が…がなくコンスタントに走れることが強みになっている。

ダークホースは前回3位のTiRacing☆NATS☆ロードスター。公式テストではエース金井亮忠が2分4秒429を記録してトップ、毎回変わるウィナーになるか注目される。

 
 
なお予選は5月21日(金)の12時から、決勝は22日(土)の15時から開始の予定。当日、行きたくても行けないという方には、S耐TVの観戦、オススメです。くれぐれも天気には恵まれるように…。

(はた☆なおゆき)

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