《決勝レポート①》スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第3戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース

スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第3戦 決勝レースレポート1

ST-3クラスは、平均年齢22歳の若手カルテット62号車が富士24時間初制覇
ジェントルマンドライバーだけで戦った、新菱オート7号車がST-2クラスを制す

4回目の「富士24時間」は、予選が悪天候でキャンセルされ、ランキング順にグリッドが決定。決勝レースもスタート時は曇天で、一時雨にも見舞われて、しばらくはコンディションに恵まれずにいた。夜になって打ち上げられた花火も霧? 雲?に覆われ、鮮やかに映らず…。が、どうだろう、夜が明けてみれば、そこには爽やかな青空が。レース終盤は「富士24時間」らしさを取り戻していた。
しかし、レースはサバイバル戦となり、FCY(フルコースイエロー)は実に16回、SC(セーフティカー)は3回も導入されて、非戦闘時間が約2時間に及んでは、さすがに周回数の記録更新には至らなかった。
今年も「富士24時間」の詳報は3回に分けてのお届けに。まずST-2クラスとST-3クラスから。

 

HELM MOTORSPORTSは、初の24時間レースで初優勝!

ST-3クラスはレギュラーチームが1台も欠けることなく、6台のままでバトルが繰り広げられた。ランキング順に決められたグリッドのクラス最前列に並べられたのは、服部尚貴 / 吉田広樹 / 川合孝汰 / 番場琢#52 埼玉トヨペットGBクラウンRS。その脇には、田中徹 / 田中哲也 / 三宅淳詞 / 佐藤公哉組の#244 QUEEN EYE’S 34Zが並んでいた。

レースは吉田のリードから始まり、これにすぐ4番手スタートの#62 HELM MOTORSPORTS RC350の平木湧也が続くこととなった。この2台が早々に後ろを離していくこととなったが…。

#62 HELM MOTORSPORTS RC350は、レギュラーの平木玲次と高橋知己に、FIA-F4に参戦中の松澤亮佑を加えての参戦となったが、平均年齢は22歳! しかも平木湧也以外はチームも含め、初めての24時間レースとあって、ダークホース的な存在だったはず。一騎討ちでのトップ争いは、それぞれドライバーが代わっても続いた。

だが、7時間を経過して間もなく、潮目に変化が生じる。232周目に突入したばかりのストレートで、突如#52埼玉トヨペットGBクラウンRSがスローダウン! フロアから出火しているではないか。エンジントラブルが発生し、リペアエリアに送り込まれたのだ。

優勝候補の一台だった#39エアバスターWinmax RC350 TWSは、接触によって負ったマシンのダメージ修復のため、すでに大きな遅れを取っていたこともあって、俄然#62 HELM MOTORSPORTS RC350には有利な状況となり、2番手に浮上した#41 エアバスター55Garage RC350 TWSに対して、2周以上のマージンが積み上げられていた。

こうなれば、もう#62 HELM MOTORSPORTS RC350は無理をする必要はない。安全マージンを取って周回を重ね、逆に少しでも差を縮めようとしてプッシュを重ねるライバルが遅れを取るという状況に変化。あまりにも順調すぎる展開は、「かえって不安だった。みんな何かしらトラブルを抱えているので、最後に自分たちにも来るんじゃないか」と思っていたと平木湧也。

しかし、その不安は最後まで現実のものとはならなかった。最後までトラブルを抱えることなく、走り続けた#62 HELM MOTORSPORTS RC350が、2位に8周差の大勝! チームにとっても、ドライバーの4人にとっても初めての「富士24時間」制覇となった。

2位は#41 エアバスター55Garage RC350 TWSの庄司雄磨 / 伊藤善博 / 大滝拓也 / 山路幸宏 / 伊藤裕仁 / 伊藤鷹志組が獲得。#52 埼玉トヨペットGBクラウンRSは、その後もう一度エンジン交換を強いられたものの、しっかり6位完走を果たしていた。

ST-3クラス優勝 #62 HELM MOTORSPORTS RC350

平木湧也
最後までドキドキしっ放しでした。きつかったです、特に最初の5〜6時間が。埼玉(トヨペットGBクラウンRS)が生き残っていたら、どうなっていたんだろうなという感じで。うちは燃費良くて、向こうはペースが良くてという感じだったんで、本当に最後、数秒の差しかないんだろうと思っていたんです。向こうが止まってから安全運転の感じになりましたが、最初からプッシュしていたのが、結果的には良かったんでしょう。24時間レースを初めて優勝できたことで、チームとしても成長できた一戦だったと思っています。

平木玲次
終始、前後の差を見ながらペースコントロールして、なるべくクルマに負担かけないように走ることができたので、それが後半のレースに活きてきたような気がします。良かったです。

高橋知己
初めての24時間レースでしたが、ひとりひとりが『次につなげる』を意識してそれを実行できたので、最後までトラブルなく走りきれました。ここで勝てたことは大きいですが、すべてが完璧だったわけではないので、次戦以降も気を抜かず頑張ります!

松澤亮佑
何事も初めてでしたから、チームの皆さんが『だいたい何秒ぐらいで走って』という指示をしてくれて、そのペースでは走れたので、うまくいったのかもしれません。この調子でFIA-F4も頑張ります。

KTMS GR YARISを襲ったまさかの不運

ST-2クラスはディフェンディングチャンピオンである、#32 ROOKIE Racing GR YARISがST-Qクラスに移行。今年の2戦は不運な展開が続いて、ランキングとしては最下位ではあったが、2戦連続でポールを奪って速さは健在。そのまま出場していれば、巻き返しも十分可能なのでは…と思われていただけに、ライバルチームの心境はというと。

#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの大澤学は、「もう、やり返せないという意味では残念なような、でも下がりそうだったモチベーションが、また上がったというか」と語り、#6 新菱オート☆NEO GLOBE☆DXL☆EVO10の冨桝朋広は「32号車がいなくなっても、代わりのクルマが速いからね。とにかく我々はノートラブルで行くだけ」と、ともに喜んではいなかった。

さて、冨桝が言うところの「代わりのクルマ」とは、もちろん野中誠太 / 平良響 / 翁長実希 / 一條拳吾組の#225 KTMS GR YARISのことだ。ここまで2連勝でランキングのトップということもあり、クラスポールから決勝に臨むことになった。これまでROOKIE Racingのスペアカーを使用していたが、今回からオリジナルのマシンを投入した。その印象は「全然いいです。前のクルマのいいところから、さらに進化させた感じなので、曲がりやすいですし。ただ、ドライでのデータが少ないので、最初は慎重に、特にタイヤはセーブして走る予定です」と平良。

ただ、その言葉にもあるように、このレースウィークの始まりはとにかく雨続き。金曜日の予選は中止になり、決勝までに完全なドライコンディションで走れたのは、木曜日午前の専有走行だけ。もっとも、その午前にST-2クラスの最速タイムを記していたのは、他ならぬ#225 KTMS GR YARISではあった。

決勝では確かに平良の言うとおり、#225 KTMS GR YARISは慎重な走りを心掛けていた。平良がトップだったのはオープニングの1周だけで、2周目からは#7 新菱オート☆VARIS☆DXL☆EVO10の藤井芳樹がトップに立って、第1スティントはポジションを守り抜く。

しかし、#225 KTMS GR YARISは明らかに燃費にも優れ、1スティント走ったことで勝手もつかんだのか、ひとたびトップに立つとレースを有利に進めていくこととなる。それでも新菱オートのランサー2台、そして#59 DAMD MOTUL ED WRX STIは大きく遅れをとることなく、互角と言ってもいい戦いが中盤まで続いていた。

そんな中、13時間を経過して間もなく、最初の大きな波が訪れる。ピットタイミングの違いもあって、それまでも何度かトップを走り、そして今まさにトップに躍り出ていたはずの#59 DAMD MOTUL ED WRX STIが、ガレージの中に押し込まれてしまう。ミッションにトラブルを抱え、交換を余儀なくされてしまったのだ!

これで形勢は#225 KTMS GR YARISに有利になったものの、依然としてランサー2台は大きく遅れてはいない。逆に言えば、その2台に#225 KTMS GR YARISはペースを合わせる余裕もあったのだろう。その意味では淡々と周回を重ねていたのだが…。

ところが、レースが17時間を経過した午前8時、思いがけぬ光景が。503周目を終えたばかりの#225 KTMS GR YARISが1コーナー手前で突然出火! マシンは瞬く間に火に包まれてしまう。幸い、乗っていた一條は無傷。だが、レース続行可能な状態ではなく、リタイアを余儀なくされてしまったのだ。

これで優勝争いは新菱オートのランサー2台に絞られ、その時点でリードしていたのは#7 新菱オート☆VARIS☆DXL☆EVO10の方。本来のエースカーである#6 新菱オート☆NEO GLOBE☆DXL☆EVO10もまた、ミッションに爆弾を抱えていた。そしてゴールまで、あと4時間を切ったところで、ついに交換を強いられるまでに…。

これでライバルのいなくなった#7 新菱オート☆VARIS☆DXL☆EVO10は、ピットインのたび入念にメンテを重ねてなお、2位に10周差の圧勝に。藤井 / 成澤正人 / 安斎景介 / 今井慎吾 / 渋谷彰良 / 奧村博文組は、全員がジェントルマンドライバー。いわば完全ノーマークのチームが「富士24時間」を制覇したことになる。チーム代表も務める冨桝は4位に甘んじたものの、「僕個人としては悔しいですが、おめでとう、と言ってもらっていいです。今年は7号車にチャンピオンを獲りに行ってもらいます」と、複雑な表情で語っていた。

2位はスポット参戦の#24 GV Race Analytics GR YARISを駆る、大谷泰宏 / 川村克透 / 林健一 / 山崎元彰組が獲得し、#59 DAMD MOTUL ED WRX STIの大澤 / 後藤比東至 / 安岡秀徒 /佐藤駿介/ 石坂瑞基組が、意地の表彰台をつかむこととなった。

ST-2クラス優勝 #7 新菱オート☆VARIS☆DXL☆EVO10

藤井芳樹
アマチュアばかりのチームで優勝できたのは、すごく嬉しいですね。もうその気持ちだけです、これからも頑張ります。

成澤正人
24時間レースでは、僕と藤井選手は2018年に6号車で勝っていますけど、7号車では初です。壊れなくて良かったです。みんなでいたわって乗った結果だと思うので、そっちの方が嬉しいですね

安斎景介
なかなかてっぺんというのは難しかったですけど、いたわって全員でゴールできて、この結果で良かったです。

今井慎吾
やっぱり信じられない気持ちですね、S耐はシリーズエントリーこそ初めてなんですけど、去年、一昨年と24時間だけスポットで出ています。初めての優勝で、やっぱり24時間って長いので、どうしてもクルマもトラブル抱えがちで。壊れないように走り続けているのが難しかったんですが、それをみんなでできたので、とても良かったと思います。

渋谷彰良
予選ができなかったほど天気が悪くて、ドライでほとんど走れなかったことが、決勝でどこまで影響出るかってところがあったんですが、本当にマシンも本当に良くて壊れることなく、トラブルもほとんどなく走りきることができました。本当に信じられないというか。特に後半に関しては、大事に大事に、安全運転という言い方は変ですけど、そういう形で完走させれば結果はついてくるかなというところで頑張りました、本当に。

 

(はた☆なおゆき)

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