《決勝レポート②》スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第3戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース

スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第3戦 決勝レースレポート2

ST-4クラスは浅野レーシングの86が9年ぶりの優勝
24時間戦って、その差はわずかコンマ2秒差だったST-5クラス

どのクラスもドラマチックだった、今年の「富士24時間」だが、ディフェンディングチャンピオンがあまりに対照的な展開となっていたST-4クラスとST-5クラスのレポートを中心にお届けしたい。片や最初に、片や最後まで…。こういったことがあるから、レポートする側は最初から最後まで、レースをしっかり見ていないといけないのである。

 

GR Garage水戸インターGR86、トップ浮上からわずか4周後に悲劇が

ST-4クラスにはスポット参戦なく、今回も3台での争いに。クラス最前列からスタートするのは#884林テレンプSHADE RACING 86の国本雄資 / 石川京侍 / 清水英志郎 / 新田守男組。これに続いたのが#310 GR Garage水戸インターGR86の坪井翔 / 細川慎弥 / 堀尾風允 / 久保凜太郎 / 鈴木宏和組、そして#18 Weds Sport 86の浅野武夫 / 藤原大暉 / 芝叔和 / 松井宏太 / 普勝峻 / 中島佑弥組だった。

決勝では、国本と久保による激しいつば競り合いから開始され、オープニングラップのうちに久保がトップに浮上。ここまではまるで順調だった#310 GR Garage水戸インターGR86だったが、4周目に思いがけぬ出来事が。コカコーラコーナー立ち上がりで白煙を上げて、スピン状態のまま100Rでコースアウト! なんとかピットにはたどり着いたものの、チームから下された決断は、エンジン交換だった。

優勝候補の一角が早々に脱落し、ST-4クラスは一騎討ちの様相を呈することとなるが、その後、有利にレースを進めていたのは、ここまで2連勝の#884林テレンプSHADE RACING 86。3時間経過時点での#18 Weds Sport 86との差は、早くも3周に達し、まさに横綱相撲のような展開が続いていた。夜半に入って時折ペースが極端に落ちることもあったが、大量のマージンに守られ、それも致命傷にはならず。

しかし、真夜中のピット作業中に、給油中にタイヤ交換してしまうミスがあり、11時間経過して間もなく60秒ストップのペナルティが。ここから潮目にも徐々に変化が生じるようになる。やがて#18 Weds Sport 86とは同一周回での争いを繰り広げるようになる中、石川がドライブしていた546周目、#884林テレンプSHADE RACING 86は左リヤフェンダーから白煙を吹き上げ、ピットに滑り込んでくる。ST-Xクラス車両との接触が原因だった。

見た目のダメージはそう大きくなかったものの、実際には足回りなどを大きく損傷。修復には40分以上を要し、トップに立った#18 Weds Sport 86からは20周もの遅れを取ってしまう。#884林テレンプSHADE RACING 86にとって不幸中の幸いだったのは、#310 GR Garage水戸インターGR86には追いつかれずに済んだこと。エンジン交換をわずか1時間半で済ませ、レースに復帰していたのだ。

これで一気に楽になった#18 Weds Sport 86ながら、彼らにとっても実は試練の時があった。木曜日の専有走行、1周目でエンジンが壊れていたからだ。レースウィークの決勝前、完全なドライコンディションで走れたのは、このセッションだけだったから、ドライコンディションは決勝がまさにぶっつけ本番だったのだ!

大量のリードに守られた#18 Weds Sport 86にもゴール間際になってエキゾースト系のトラブルが発生するも、十勝で長年24時間レースを戦ってきた経験もあるだけに、もう慌てず騒がず。残り周回とライバルとのギャップをしっかり計算、ピットで待機し、その時にはジャッキアップされていたほど。そしてゴールまで6周というタイミングでコースインしたことから、#884林テレンプSHADE RACING 86とは5周差になっていたが、実質それ以上の大差での勝利ではあった。

浅野レーシングにとって86では初優勝で、優勝も実に9年ぶり。「無事是れ名馬」とは、まさにこのような状態のことを言うのだろう。老舗チームのピットには、久々にとびっきりの笑顔が広がっていた。

ST-4クラス優勝 #18 Weds Sport 86

浅野武夫
86にしてからは初優勝です。それも24時間ということで、とっても良かったです。木曜日の走行一発目にエンジンが壊れて、あれが運を呼んでくれたかもしれない、逆に。分からないものですね、だから水戸さん(#310)なんか、本番でスタートしてすぐに、ああいうのがあるから、本当にかわいそうですね。
若いドライバーが頑張ってくれました。知り合いから使ってみてほしい、って話が来て、どうせ使うなら若い人をと。反対にこっちが勉強になることもありますよ。今の人たちだから、そのへんはこっちがもっと頑張らなきゃいけないというところもありますね。

藤原大暉
終始、前後の差を見ながらペースコントロールして、なるべくクルマに負担かけないように走ることができたので、それが後半のレースに活きてきたような気がします。良かったです。

芝叔和
本当に…、めちゃくちゃ嬉しいですね。去年の岡山で、浅野レーシング8年ぶりの表彰台、それぐらい、いやそれ以上に嬉しいですね。けっこう決勝中、小さなトラブルが何回かあったんですけど、ちゃんと連絡し合って、メカニックの人たちもそれに迅速に対応してくれました。今回、本当に他の2台と比べて、速いわけじゃないんですけど、小さい積み重ねをコツコツとやってきて、今回チャンスが巡ってきたので活かしきれたのかな、と思っています。

松井宏太
(土屋)春雄さんが亡くなってから、実家の状況もバタバタしているところで、前回のSUGOは(土屋武士の)代打ではあったんですが、今回の24時間は前回、4月のテストに来て、そこで今回のレースに出るっていうのが決まったというのがあって。前回のSUGOから僕が加わらせてもらって、わがままを言って聞いてもらって、いいクルマ作りができたと思っています。みんなと協力しあって、今回の結果がついてきたのかなというところで。浅野レーシングはすごくアットホームで、みんなやる気があって、こう若い人たちが増えていって活気が増しているので、この勢いでこの後シリーズ出られるか分からないですけど、やっていければと思っています。

普勝峻
今回、浅野さんのところで開幕戦に続いて走らせてもらって、やっぱりまだルーキーなところがあるので、皆さんの成果に比べたら微力なところはあったと思いますが、チームの皆さんから力をいただいて、今回の結果につなげられたと思います、良かったです。

中島佑弥
9年前、浅野さんのところで初めて乗って勝って、9年ぶりに乗らせてもらって、また優勝させてもらって、いいものもらっちゃいました! 本当にカメさん作戦で正解。タイムは全然良くなかったけど、壊れなかったから。最後ちょっとマフラー落ちちゃったけど、それ以外何にもなかったから、それが良かったですね。

富士24時間でも、圧倒的に強かったロードスター

スポット参戦は認められないST-5クラスながら、欠場するチームもなかったことから、今大会で最多台数となる12台での戦いとなった。クラス最前列からスタートするのは、開幕戦を制している#66 odula TONE MOTULロードスターの武地孝幸 / 太田達也 / 大野尊久 / 猪股京介 / 外園秋一郎 / HIROBON組。2番手には、第2戦で優勝した#456 odula Star5 Roadsterの橋本陸 / 貫戸幸星 / 大崎達也 / 小原康二 / 勝木崇文 / 加賀美綾佑組がつけていた。

決勝では、いきなり太田と橋本のバトルが勃発。スーパーFJ出身のふたりは実力も互角、絶えず火花を散らしあっているが、5周目には橋本が前に。24時間の長丁場にも関わらず、「いきなり、もう?」という印象すらあった。しかし、この争いに果敢にも加わってきたのが、#72 TiRacingNATSロードスターの金井亮忠。29周目には太田を抜いて2番手に。この間、橋本はやや逃げたが、そのまま…というわけにはいかなかった。

やがてトップは三つ巴で競われるようになる。#72 TiRacing ☆NATS☆ロードスターの助っ人として起用された窪田俊浩も、また負けず嫌いのドライバー。60周目には貫戸を抜いて、ついにトップに躍り出る。その後も、#72 TiRacing ☆NATS☆ロードスターはエース金井と窪田の積極投入で、2台のodulaロードスターと互角に渡り合っていたのだが…。

10時間経過した1時過ぎ、その#72 TiRacing ☆NATS☆ロードスターがヘアピン脇でストップ。エンジンのベルトが切れたのが原因で、不調を察して止めたためだった。リペアエリアに回され、わずか30分で戦列復帰なったが、もはやトップには届かぬ位置となっていた。

しかし、一騎討ちはなおも続く。ドライバーが代わっても大きな差はつかないのだから、OVER DRIVEというチームが、いかに公平な、贔屓のないポテンシャルのマシンを与えているか想像もつく。ラスト3時間になっても、まだ決着はつかず。トップは#456 odula Star5 Roadsterの橋本で、追いかける#66 odula TONE MOTULロードスターのドライバーは、TCRジャパンでおなじみのHIROBONだ。しかし令和のFF使いにとって、久々のFRではやや分が悪かったか。

そこで#66 odula TONE MOTULロードスターは、残り1時間半で一足早く太田を投入。対して#456 odula Star5 Roadsterは7周後に東北のロードスター使い、小原を投入する。その時点で差は7秒。これが次の周には1秒6に詰まり、やがてコンマ差に! 他のクラスはすでに勝負に決着がついたも同然だったから、必然的にこの熱きバトルに観客の視線が集中する。

だが、コース上にいるのがST-5クラスだけであれば、逆転シーンは何度も見られただろう。しかし、スピードに勝る車両に何度も抜かれなくてはならないから、差は広がり、そしてまた詰まり…。ただ、最後まで両者、諦めることなく周回を重ねていたのは間違いない。結果として#456 odula Star5 Roadsterが逃げ切ったものの、わずかコンマ2秒差。歴史に残る死闘ともなった。

3位は#88村上モータースMAZDAロードスターで、ロードスター勢が表彰台を独占。今回からニューマシン投入となった、#17 DXLアラゴスタNOPROデミオディーゼルが4位を獲得した。

ST-5クラス優勝 #456 odula Star5 Roadster

橋本陸
最後、タイヤもだいぶギリギリで、思った以上に消耗が早かったので、実はチームから『お互い、あまり熱くなるなよ』ってお達しが。ペースを若干抑えていたのは、けっこう他のチーム、ハブちぎれていたりしていたのと、ハンコックが未知数だったので。クルマにどこまで影響を及ぼすか、そういうところも様子見ながら、同士討ちにならないように走っていました。2連勝できて良かったです!

貫戸幸星
OVER DRIVEのクルマは信頼性が高かったので、そこは問題ないので。今日はまぁ、えぇですかね、自己採点も。みんなが壊さなんように走れたのが、勝因だと思っています。

小原康二
本当に速さと強さを積み重ねて、みんなが走り続けて来てくれたおかげで、自分にバトンを渡してくれて。そもそも、けっこうギリギリだったんで、自分は乗らない選択肢もあったんですけど、みんなが乗せたいって言って、僕を乗せてくれたので、涙なくしては語れない優勝になりました。どうしても24時間、勝ちたかったので。本当に頑張りました。

大崎達也
なんとか優勝で終われたですけど、途中いろいろ…。ペナルティの影響もあって、一時2位にも下がったんですけど、追い上げてチームのみんなと全力で戦えたのが良かったですね。

勝木崇文
初めて24時間に参戦させてもらって、それで初優勝というのは、非常に嬉しいです。僕自身はペナルティを食らった、1位を追い上げるところを任せてもらって、見えない位置だったので、ペース的にも相手がどのぐらいか分からなかったんですけど、この積み重ねがなんか、最後に1番になれたと思うと、すごく嬉しいですね。

加賀美綾佑
僕自身、S耐で初優勝なので、それが24時間で嬉しいです。きついところで踏ん張れたので、優勝できて良かったです。

 

(はた☆なおゆき)

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