《決勝レポート③》スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第3戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース

スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第3戦 決勝レースレポート3

ST-1クラスの復権、シンティアム アップルKTMが総合2位の偉業果たす
ST-ZクラスはENDLESS AMG GT3が3年連続優勝!

レポート3としてお届けするのは、ST-1クラスとST-Zクラス、そしてST-TCRクラス。このあたりも、予想をはるかに超えた死闘が繰り広げられていた。話題満載だったこともあり、ST-Xクラスの様子は、予定を変更してレポート4としてお届けします。

 

個性豊かな車両によって競われたST-1クラス

今回も3台で競われたST-1クラス。#71 CSダイワN通商アキランドポルシェこそ欠場したが、代わって#8 BMW M2CS racingがスポットで参戦、木下隆之と大井貴之、砂子塾長といったN1耐久時代からのレジェンドが、山田弘毅と東風谷高史と組んで参戦することから話題を集めていたチームでもある。

ただし、スポット参戦であるからグリッドは3番手。その前に並んだのはランキングトップ、#38 muta racing GR Supraの堤優威 / 阪口良平 / 堀田誠 / 阪口晴南組、そして#2シンティアムアップルKTMの飯田太陽 / 加藤寛規 / 小林崇志 / 吉本大樹 / 高橋一穂組という、なかなかの豪華ラインアップでの決戦となった。

決勝はいきなり、#2シンティアム アップルKTMの飯田のリードから始まった。早々に後続を引き離したばかりか、ST-Xクラス勢にも食らいつかんばかりの勢いで。結論から言えば、その後#2シンティアム アップルKTMは、一度もトップを明け渡すことなく、大差での圧勝となった。ST-Zクラス勢を一切寄せつけなかったばかりか、ST-Xクラス勢に相次いだトラブルによって、総合での順位も徐々にアップ。

15時間経過した早朝6時には、総合6位に浮上していたから、眠い目をこすって順位を確認した観客は『?』という具合だったに違いない。しかし、まったくノートラブルだったわけではなく、序盤にパワステが効かなくなったり、一時燃料計のトラブルを抱えたりはしたが、いずれも致命傷にならず。サイドミラーを持たないX-BOW GTXは、モニター&カメラで後方視界を得るのだが、これが機能しなくなったのは一大事だったはずだが、経験豊富なドライバーたちの慎重なドライビングでことなきを得た感はある。

2位となった#38 muta racing GR Supraは電気系トラブルを抱え、これはメンテナンスタイムで対処されたものの、やがてLSDが機能しなくなってしまう。立ち上がりのトラクションを得られない状況では本領発揮ならず。3台の中で最も悔しい思いをしていたはずだ。それでも総合9位で、市販レーシングカー以外では最上位。

一方、#8 BMW M2CS racingは、ほぼノートラブルで総合では12位。BMWディーラーで購入できるレーシングカーとして、高い耐久性をアピールした。ST-1クラスの車両規定より低いチューニングレベルとあって、まだまだ手を加えられる部分はありそうだ。「一応、スポット参戦だったんだけど、売っていくためにはまた出ないといけないよね。ノリの良さが、Studieの売りでもあるからね、また出ることになるんじゃない?」と木下。進化させた姿を見てみたい気もする。

ST-1クラス優勝 #2シンティアム アップルKTM

飯田太陽
ようやく勝てました。本当にドキドキでしたよ、去年のことがあるので。ちょいちょいマイナートラブル抱えていましたけど、大きな問題になることなく、チェッカー受けられて本当に良かったです。

加藤寛規
このクルマ、24時間レースを走っていないんで、まったく読めない中での新しいチャレンジたったんですけど、逆にうちのチームはレースっていうより走りを楽しむ方で、みんなガンガン行っていたんで。でも、上手に乗ってくれていたし、スタッフも本当にちゃんとミスなく全部やってくれたので、こういう結果になりました。逆に僕、謎です(笑)。乗りやすいクルマであることに、助けられた部分はあるの間違いないと思います。

小林崇志
このチームの24時間レースに、3年連続で呼んでいただいたんですが、1年目も2年目もエンジントラブルで、特に去年は自分乗っている、最後の周にクルマが壊れてしまったので。ほんと、3年目の正直で完走できて、結果、優勝できて本当に良かったですし、スタッフも頑張ってくれましたし、ドライバーみんな、ミスなく走っていけたので、すごく良かったと思います。

吉本大樹
事前のテストでちょっと味見はさせてもらっていたんですが、レースウィークに入って天候も悪く、あんまり走る機会もなかったんです。すごく尖ったクルマに見えるけど、すごく乗りやすくて、楽しいクルマで、後半のこと考えてペース抑えるぐらいのことを言われていたんですが、楽しくてガンガン行っちゃいました。トラブルも正直マイナーなのはあったんですけど、そのつど対処してもらえて、すごく強いレースができたと思います。

高橋一穂
いや〜、何にもなく不思議なぐらい。絶対、何かあると思っていたから。最後の最後にね、去年みたいに。良かったです、本当に。

死闘繰り広げられたST-Zクラス。勝ったENDLESS AMG GT3とて…

ST-Zクラスをまずリードしたのは、#47 D’station Vantage GT4の星野辰也 / 織戸学 / 篠原拓朗 / 浜健二 / 中山友貴組だった。クラス2番手から織戸が、1周目のうちにトップに立つ。しかし、そのまま逃げることはかなわず、#20 SS / YZ Studie BMWのJ.P.デ・オリベイラと激しいバトルを繰り広げた。2スティント目からは、これに#3 ENDLESS AMG GT4の内田優大 / 山内英輝 / 菅波冬悟 / 小河諒組も加え、三つ巴のトップ争いが続くこととなる。

周回を重ねると、直接のバトルは少なくなっていくが、それでも射程圏内にそれぞれおさめ、様子見といった展開が続き、終盤に勝負をかけているのは明らかだった。しかし、確実に速さで優っていた#20 SS / YZ Studie BMWの山口智英 / 荒聖治 / JP組は、3回の60秒ストップと1回のドライビングスルーペナルティを科せられており、これが何より致命的だった。

そして#47 D’station Vantage GT4は2番手走行中の17時間35分経過時にスローダウン、ピットに戻るも、足回りとエキゾーストに修復不能なトラブルが発生。長らくピットに留まり、最後にチェッカーを受けるだけの展開に。それでも9位で完走は果たしていた。

強敵の後退により、一気に楽になったかのように見えた#3 ENDLESS AMG GT4ながら、実はラスト5時間あたりから右リヤのホイールが外れないトラブルが発生。3スティント連続での走行を強いられてもいた。実際には辛勝ではあったものの、これで「富士24時間」3年連続制覇にも成功。さらに一躍ランキングトップにも浮上した。

また、このクラスで最も劇的な展開となっていたのが、#22 WAIMARAMA EBI Cayman GT4。KIZUNA / 千代勝正 / 山野直也 / 大草りき / 山野哲也 / ジュリアーノ・アレジ組という、協力ラインアップで挑んでいたが、木曜日のナイトランでクラッシュし、走行不能状態に。そこでチームが選んだ手段はハコ替えという!

金曜日の、本来予選が行われるタイミングに白いクルマがピットに運び込まれた後、夜を徹してパーツの移植が行われ、土曜日早朝にはカラーリングまで施されていたのは、少なからぬ驚きだった。最終的な結果は6位だったものの、さまざまな意味で「執念」を感じずにはいられなかった。

ST-Zクラス優勝 #3 ENDLESS AMG GT4

内田優大
今年はここまでの2戦、本当に苦労していましたから、この勝利は本当に嬉しいですね。ウエットもだいぶ苦労していたので、そういう意味ではドライの方がパフォーマンス出せてはいたので、本当にドライで良かったですね。ただ、最後の方で、右リヤタイヤが外れなくなるという爆弾を抱えながら、無交換で走っていたんです。もう本当にいつ、バーストしてしまうんじゃないかって思いながら。でも、ドライバーがみんな、いたわりながら2位との間合いをちゃんと見ながら走ってくれて、優勝できて本当に嬉しいです。3連勝、本当に嬉しいですね、あり得ない。これ以上ないです、今日はいいお酒が飲めると思います!

山内英輝
ドライバーもほんと、頑張りましたし、チーム側がSCのタイミングで10分間のメンテナンスタイムを使ったり、本当に器用に全部うまく使ってくれたりしたおかげで前に出られましたし、決してずば抜けて速いペースではなかったんですけど、その中でもチームが僕たちを前に出してくれて、マージンを保つようにみんなで心がけて走った結果が、ここにつながったので、みんなでうまく戦えた一戦だったな、と。3年間の中でいちばん今回が、なんか痺れる戦いだったので、本当に3連覇できて良かったと思いますし、シリーズに向けても大事な一戦だったので、今後ももうちょっと速さを出していけたら、と思っています。

菅波冬悟
今回もそんなにペースが良かったわけじゃないんですけど、24時間なんで、いろいろコンディションも変わりますし、けっこう総合力が試されるところだと思うんですが、うちは作戦で運良くいいタイミングでことを運べたので、それが最後にギャップになり、右リヤにトラブルが出ていて3スティント替えられなかったんですよ。でも、全部が運良く、うまくことが運んだし、チームもミスなかったんで良かったな、って思います。

小河諒
今シーズンの5時間以上のレースはDドライバーで、今のレギュレーション上、有利に戦えるので合流しました。振り返れば、いろんなことがありましたし、かなり順調に見えた最後、5時間ぐらいのところで、僕が乗っている時に超大きなトラブルが発生したんですけど、なんか危なさそうってチームに訴えて、早めに判断してもらって対処できたので、止まることなく走りきれたので、それが大きかったと思います。頑張りました。

シビックの「富士24時間」初優勝を奪ったのは…

過去3年間、速さは常に見せてきていたが、「富士24時間」だけは勝てずにいたホンダ・シビックTCR。当初は前2戦同様、1台のみのエントリーと予想され、自信満々の#75おとぎの国CIVIC TCRを走らせる、塚田利郎 / 蘇武喜和 / 霜野誠友 / 芳賀邦行 / 久保正孝 / 清瀧雄二組だったのだが…。

そこに思わぬ横槍が! #97 Racer Hondaカーズ桶川CIVICが、遠藤光博 / 中野信治 / 小出峻 / 澤龍之介 / 原田健太組という布陣で挑んできた。決勝では、中野が逃げるも、塚田が遅れを取らずに続いていく展開から始まった。しかし、#97 Racer Hondaカーズ桶川CIVICにはスタート違反があり、ドライビングスルーペナルティを科せられるも、29周目に逆転し、中野は名誉挽回を果たしていた。

しかし、最初のドライバー交代を終えた直後、#97 Racer Hondaカーズ桶川CIVICはアクセルが戻らなくなるトラブルが発生。その後、さらに6時間を過ぎてドライブシャフトの破損があって、コース脇にストップしてリペアエリアに送り込まれたため、#75 おとぎの国CIVIC TCRが大量のマージンを手にすることとなった。

途中スピンや、SC中のピットエンド信号無視による60秒ストップを科せられてはいたが、安定の走りを見せていた。だが、折り返しを間もなく、というタイミングで、今度は#75おとぎの国CIVIC TCRにミッショントラブルが発生! その時、#97 Racer Hondaカーズ桶川CIVICとの差は25周。その間になんとか交換を済ませて…という想いは通じず、やがて逆転を許すことに。逃げ切った#97 Racer Hondaカーズ桶川CIVICが、13周差での勝利となった。

ST-TCRクラス優勝 #97 Racer Hondaカーズ桶川CIVIC

遠藤光博
クルマがここまで来るのに、そもそも完成するまでが大変だったので、本当にスタッフの皆さんが一生懸命やってくれたおかげの勝利だと思っています。次のオートポリスも出る予定ではいます。次も頑張ります。

中野信治
いろんなことが起きたんですけど、もともと今回、レースに出られるか出られないか分からない中、新メンバーが突貫工事で組み立ててくれて。決勝ではけっこうトラブル出ちゃったんですけど、本当にそのたびにみんなが力合わせてマシンを直してくれて、最後までドライバーも頑張ってくれたので、ちゃんとゴールできました。本当にこういう厳しい時期でもあるので、こうやってみんながひとつになって、何か物事を形にしていくのは、改めて大事なことだな、っていうのを感じることができた流れではありました。

小出峻
順調とは行かなかったですけど、両チームともトラブルが出て。でもそれでも最後まで諦めなかったのが影響して勝てたのかなと思いますね。この経験はフォーミュラにも活きてくると思うので、次はFIA-F4でも優勝したいですね。

澤龍之介
ポルシェのレースで、ハコはたくさん乗らせてもらっているので、初めてのFFでも速く走れたのかな、と思います。ドラシャが折れた時はヒヤッとしましたが、落ち着いてメカさんたちが一生懸命直してくれたおかげで、こうやって優勝できたので、本当に良かったです。

原田健太
スーパー耐久で優勝は初めてですね。みんなの足を引っ張らないように、引っ張らないように頑張った結果が、全員の力と一緒に、こういう結果になったのかな、と思っています。次回も乗る機会があったら、また優勝したいです。

 

(はた☆なおゆき)

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