《決勝レポート④》スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第3戦 NAPAC 富士SUPER TEC 24時間レース

スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第3戦 決勝レースレポート4

その時、ST-Xクラスのクルマに、何が起こっていたのか?
優勝のDAISHIN GT3 GT-Rも実はノートラブルではなく…

ST-Xクラスは号外や速報で、概ね状況が伝わっていることと思われるので、やや視点を変えて、何が起こったのか、どんなトラブルを抱えていたのか、お伝えすることとしよう。しかし、こんなにいろんなことが最高峰クラスに起こったレースは、「富士24時間」に限らず、未だ勝ってなかったのではないか。全体的にサバイバル戦の様相を呈していたが、まさにST-Xクラスは、その象徴たる展開となっていた。

 

最初にトラブルを抱えたのは、まさかのD’station Vantage GT3!

今回、ST-Xクラスではトラブルが多発した。何が起こったのか検証してみよう。最初にトラブルを抱えたのは、#777 D’station Vantage GT3だった。3番手を走行中に走路外追い越し違反により、ドライビングスルーペナルティを科せられ、27周目にピットに入って5番手に後退。だが、まだ序盤だったため、大きなロスにはならずに済み、トップに返り咲いた後、74周目に100Rでバックマーカーをかわそうとしてデブリに乗ってスピン。マシンにダメージを負ってしまう。修復には1時間20分を要し、この時点でトップとは44周遅れになっていた。

次が#31 LEXUS RC F GT3。5時間経過したばかりの160周目にプロペラシャフトが破損。1コーナー脇にマシンを止めてリペアエリアへ。ピットへの復帰は30分後だったものの、周辺のパーツにもダメージが及んだため、再びコースインできたのは約3時間半後。その後は順調に周回を重ねていたものの、早朝4時過ぎに再び駆動系にトラブルが発生し、その際に燃料ラインかエンジン補機類を損傷したようで出火。ファイアステーションに止められなかったのは、駆動がかからなかったため。すぐに消火されたが、レース続行は不可能とのチームの判断により、リタイアを喫す。

続いて魔の手に襲われたのが、#9 MP Racing GT-Rだった。7時間経過し、3番手を走行していた277周目に、ダンロップコーナー手前で行く手を阻まれ接触し、ガードレールにヒット。マシンのダメージは予想外にひどく、夜を徹しての修復で早朝には復帰なるも、完全ではなく足回りの修復を再度要し、チェッカーを受けることはできたが、規定周回に満たず完走扱いにならなかった。

敗れはした。しかしマクラーレンが「勝てる!」手応えつかむ

序盤のFCYとドライバー交代を相次いで合わせられたこともあり、10時間目までトップを快走していた、#290 Floral UEMATSU FG 720S GT3が抱えたのは電気系トラブル。メンテナンスタイムで対処できたかと思われたものの、完全ではなくスローダウンの後、いったんマシンを止めてリセットするの繰り返しの最中、ピットでの作業違反による60秒ストップペナルティを11時間過ぎて科せられていた。それから間もなく電気が完全にシャットダウン。リペアエリアに送り込まれ、長い修復の時を過ごさざるを得ず。

実はマクラーレン720S GT3が、24時間レースを戦うのは世界的にも初めての機会となっていた。イギリスのファクトリーとも常に連携を取りながら戦っていたのだが、ノーデータの戦いに、力及ばず…といったところか。しかし、ドライバーのひとり、澤圭太は前向きだった。

「最初のうち、あまりにも順調過ぎて、怖いぐらいでした。そしたら…。でも、エンジンとか駆動系とか、根幹の部分が壊れたんじゃなくて良かった。これも初めての24時間レースなので、仕方ない部分ではありますね。でも、必ずいつか勝てる、という確信にもなったレースです」と澤。

#999 CARGUY NSX-GT3は、8時間目に走路外追い越しによってドライビングスルーペナルティを受けていたが、#290 Floral UEMATSU FG 720S GT3がトラブルを抱えた後、トップに躍り出て前半は順調にレースを進めていた。レース折り返し以降、#81 DAISHIN GT3 GT-Rに抜かれはしたが、徐々に差を詰めていく最中の15時間経過間際に左リヤタイヤが脱落。リペアエリアに送り込まれている。復帰後にもSCラン明けのリスタートで、コントロールライン前の追い越しがあり、ドライビングスルーペナルティを科せられた。

#33 TSK Audi R8 LMSは派手さこそなかったが、淡々と周回を重ねていって中盤には3番手に浮上。しかし、13時間目を過ぎてドライバー交代を終えた直後に、クラッチトラブルが発覚し、交換に1時間半を要してしまう。復帰後も他車との接触により、再び30分の修復を余儀なくされた上、60秒のペナルティストップを科せられてもいた。

そして、唯一無傷のまま生き残り、大差で優勝を飾った#81 DAISHIN GT3 GT-Rではあったが、それは見かけだけのことであって…。実は序盤のうちに電気系、燃料系の不調もあり、スタートからしばらくのペースが伸びていなかったのは、そういった理由によるという。しかし、これらのトラブルはしっかり対処されて、本来のスピードを取り戻すこととなった。そして、もうひとつのトラブルはメーターディスプレイが、まったく機能しなくなっていたこと。ありとあらゆる情報を得られずにいたものの、そこはドライバーの経験と勘が大きくモノを言ったようだ。

FIA-GT3を走らせるトップチームが、万全の準備で挑んだはずのレースであっても、これだけのことが起こってしまうのが24時間レースの怖さでもあり、ドラマティックというか。だからこそチェッカーを受けた時の感動も大きいのだろう。


なお、ST-Qクラスに出場した2台は賞典外での参加となっていたが、ともにしっかり完走を果たしていた。もちろん話題の水素エンジン搭載の#32 ROOKIE Racing Corolla H2 conceptを、#28 ROOKIE Racing GR SUPRAがはるかに上回る周回でレースを終えたが、普段のような冴えた速さは最後まで見られずじまいだった。

 

(はた☆なおゆき)

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