《プレビュー》スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook 第4戦プレビュー

スーパー耐久シリーズ2021 Powered by Hankook第4戦プレビュー

なかなか2年連続優勝を許してくれないオートポリス


激戦が繰り広げられた「NAPAC富士SUPER TEC 24時間レース」から2か月あまり。スーパー耐久シリーズ Powered by HANKOOKの第4戦が、オートポリスで7月31日~8日に「TKUスーパー耐久レースinオートポリス」として開催される。これだけの期間があれば、酷使されたマシンもすっかりリフレッシュしているはずだ。
今回は全クラス混走の5時間レースで、ピットストップの義務づけは3回。プラチナ/ジェントルマン/エキスパートという3グレードのドライバー規定が設けられている、ST-XクラスとST-Zクラス、そしてST-TCRクラスは、そういったドライバーをどう有効に使うかも、勝敗のカギを握ることも少なくない。そのあたり、昨年のオートポリスではどう使われたのか、ST-Xクラスを例にとって再検証してみたい。

 

ジェントルマンのスタートが必勝戦術?

昨年のオーバーオールウィナーに輝いたのは、D’station Vantage GT3の星野敏/藤井誠暢/近藤翼組だった。このチームが昨年どう戦ったかというと……。まず大前提として、5時間以上のレースではジェントルマンドライバーは20%以上走らねばならず、そしてプラチナドライバーは40%を超えて走行することはできない。したがって、前者は1時間以上、後者は2時間までとなる。

D’station Vantage GT3のスタート担当は、プラチナの星野だった。30周目まで1時間2分走行して、エキスパートの近藤に交代。近藤は77周目まで1時間33分走行し、プラチナの藤井と交代している。ほぼ折り返しまで、もう来ている格好だ。2時間ギリギリまで藤井は走ったかというとそうでもなく、117周目まで1時間16分しか走行していない。

まぁ、2時間もノンストップで走ることは燃費の関係上、不可能であるし、第2スティントを担当した近藤が17分長く走っているから、実際にはもう少し行けるのだろうが、給油時間のロスを少なくするなどの意味で、そういう戦術を採ったのだろう。そして残り1時間9分ほどは再び近藤の担当となり、5時間を経過したところでチェッカーを受けている。

2位になったMP Racing GT-RもジェントルマンのJOE SHINDOがスタートを切り、1時間3分走った30周目に、影山正美と交代。1時間16分走った68周目に柴田優作に代わり、次いでハンドルを握ったのは富田竜一郎。ゴールまでの1時間20分を走行している。

こうやってジェントルマンからレースを始めたチームが1位、2位となっているのだから、これが必勝パターンと言いたいところだが、決してそうも言い切れない。この時はセーフティカーが入らず、またFCYは2回実施されたが、ごく短時間であったから展開には大きな影響を及ぼさなかったが、もしちょうどいいタイミングで……となれば作戦の組み替えも必要だし、その時、どのグレードのドライバーが走っているかで状況も判断しなくてはならない。

何はともあれ、セオリーなどないわけだが、近頃ジェントルマンドライバーの実力が大きく勝敗を左右するように語られがちだが、実は走行時間制限のないエキスパートドライバーも重要だということも理解してもらえるのではないだろうか。余談ながら、DAISHIN GT3 GT-Rの藤波清斗は、昨年までエキスパートだったため、実に多くの周回を走っていたものだが、昨年スーパーGTでGT300クラスのチャンピオンになったため、今年からプラチナに格上げ。今年はたっぷり走れず、残念がっているかもしれない!!

ここまでランキングのトップはD’station Vantage GT3の星野組で、第1戦の優勝以来、表彰台を一度も外していないが、前回の富士24時間の勝利で大量得点なった、DAISHIN GT3 GT-Rの大八木信行/青木孝行/藤波/坂口夏月組が13ポイント差にまで迫ってきた。昨年も勝っている相性のいいコースで星野組が逃げるのか、前回の勢いそのままに大八木組がまた差を詰めるのか、大いに気になるところである。

4チーム目のウィナーに輝くのはAドライバーが地元の……

昨年、オートポリスでST-Zクラスを制したのはENDLESS AMG GT4。このコースでクラス成立なったのは2019年からだが、ST-Zクラスに限らず、2年連続で優勝しているチームは、後述するが1クラスしかなく、いかに勝ち続けるのが難しいコースであるか理解してもらえるだろう。

特にST-Zクラスは台数も年々増えて、車種のバラエティにも富むようになってきたから、なおのこと。実際ここまでの3戦すべてウィナーが入れ替わっている。その中でも前回、大量得点を果たし、一気にランキングトップに躍り出たのが3連覇を狙う、ENDLESS AMG GT4の内田優大/山内英輝/菅波冬悟/小河諒組だ。

しかし、5ZIGEN AMG GT4の大塚隆一郎/金石年弘/ジェイク・パーソンズ/金丸ユウ組が2ポイント差で続いており、まったく予断は許されないところ。まだ未勝利ではあるが、ここオートポリスは大塚にとってホームコース。「4チーム目のウィナーになるのは俺たちだ!」と、気合を入れて乗り込んでくるに違いない。

強敵がいるからこそ、この一戦だけは落とせない、おとぎの国CIVIC TCR!

開幕からの2戦はエントリーが1台だけで、寂しさは隠し得なかったST-TCRクラスながら、前回から2台による戦いに。そして、優勝をさらっていったのが、Racers Hondaカーズ桶川CIVICの遠藤光博/中野信治/小出峻組で、体制に変更はあったものの、チームと遠藤、中野だけが2年連続でオートポリスを制している。

となれば、遠藤組に3年連続の期待がかかるものの、今回が「絶対に負けられない」戦いとなるのが、おとぎの国CIVIC TCRの塚田利郎/蘇武喜和/霜野誠友/清瀧雄二組だ。孤軍奮闘でクラスを支えてきたからという理由以上に、チームの本拠は九州で、塚田と清瀧も九州出身のドライバーであるからだ。ポイント差もたっぷりあるだけに、リタイアでも重ねない限り、少々気の早い話ではあるが、タイトル獲得濃厚ながら、それ以上にオートポリスでの優勝が是が非でも欲しいはずだ。

新たな歴史の始まりを、九州でも!

ST-Qクラスには今回も2台がエントリー。ORC ROOKIE Racing GR SUPRAの蒲生尚弥/豊田大輔/山下健太/小倉康宏組に関しては、いつものようにST-ZクラスとST-1クラスを戦う同じスープラ勢とどう渡り合い、そしてどんな位置関係でゴールするかが注目どころ。

そして、もう1台のORC ROOKIE Racing Corolla H2 Conceptの井口卓人/佐々木雅弘/MORIZO/松井孝允組に関しては、もはやさまざまな媒体で報じられているので説明無用だろう。燃料を水素とするエンジンを搭載する車両は、カーボンニュートラルに向けた新たなスタイルで挑んでおり、無限大の可能性を秘めている。歴史の始まりを本州だけでも九州でも見られる。そのことをファンの皆さんにとっても、誇りとできる日が待ち遠しい。

再び盛り上がりを見せるST-1クラス

ここ数年、エントリーが1台だけであったり、ジェントルマンドライバー育成ツールとして活用されてきたりしていたST-1クラス。継続は力なりとはいえ、バトルそのものは正直言って魅力に乏しかった。だが、今年はどうだろう。台数は依然として多くはないが、そのそれぞれが魅力的だ。

中でも際立つ存在感は、飯田太陽/高橋一穂/加藤寛規/吉本大樹組が走らせる、シンティアム アップルKTMである。Cカーを思わせるルックスは、まるで速くて当たり前の感も。実際にコーナーでは圧倒的なスピードを誇る。ここまで2勝をマークしているものの、惜しまれるのが第2戦のリタイア。

その飯田組を、わずか2.5ポイント差ではあるものの、リードしてランキングのトップに立つのが、muta racing GR Supraの堤優威/阪口良平/阪口晴南組だ。スーパー耐久本来のコンセプトで仕上げられた車両は、まだまだ伸び代ありと言われており、未だ進化の過程にある。

そして、大山正芳/斎藤真紀雄/山本賢組が走らせるCSダイワN通商アキランドポルシェは、まだ優勝こそ挙げていないが、ポルシェらしくストレートパフォーマンスの高さが自慢。-1-それぞれが魅力的であり、個性的なST-1クラスが再び盛り上がりを見せている。

実はオートポリスの超激戦区であるST-2クラス

昨年のST-2クラスのチャンピオンチーム、ROOKIE Racingが開幕2戦で予想外の苦戦を強いられ、また第3戦からはST-Qクラスに移行。これで一気に分からなくなったタイトルの行方だが、誰も新たな主役の座に、KTMS GR YARISをドライブする野中誠太/平良響/翁長実希/一條拳吾組が就くものと、誰もが思ったのではないか。少なくても前回のレースの途中まで。 だが、その野中組は火災に見舞われ、無念のリタイア。そんな状況の中で、優勝を挙げたことから一気にランキングのトップに躍り出たのが、新菱オート☆VARIS☆DXL☆EVO10の藤井芳樹/成澤正人/安斎景介/今井慎吾組だった。

ST-2クラスは、この4年間で毎年ウィナーが入れ替わっている、オートポリスにおける超激戦区。果たして今年はどのチームが勝つのだろうか?

平均年齢22歳の若手チームが、ランキングトップに立った!

前回の富士24時間を制して、大量得点なったことで、ST-3クラスのランキングトップに立ったのは、HELM MOTORAPORTS RC350の平木湧也/平木玲次/高橋知己/松澤亮佑組。4人ともカートレース〜フォーミュラ出身のドライバーで、何より驚くべくは平均年齢が22歳だということ! 若くしてレースを始めているから経験は豊富とはいえ、毛色の違うカテゴリーでも適性を見せたことは驚異でさえある。若さあふれる戦いに期待がかかるが、オートポリスでのレースは今回が初めて。まずはのびのび戦って欲しいところだ。

オートポリスでST-3クラスの大本命は、やはり服部尚貴/吉田広樹/川合孝汰/平沼貴之組が走らせる、埼玉トヨペットGBクラウンRSと言わざるを得ない。というのは、阿蘇山中に位置して空気の薄い高地で、唯一のターボエンジン搭載車であることが、絶対的な武器となるからだ。昨年は出場した4台すべて同一周回という激戦の中、2位に34秒差で優勝を飾っている。果たして2年連続優勝なるか、大いに注目される。

オートポリスの達人がST-4クラスに存在する!

過去においてTOM’S SPIRIT 86が、オートポリスで3年連続で優勝を飾っているST-4クラス。2019年を限りに活動を休止して以来、新たな覇権争いが繰り広げられるようになったが、その勢いを受け継いだドライバーが存在する。それが坪井翔だ。昨年も久保凜太郎と細川慎弥とともにGR Garage水戸インターGR86を駆り、なんと4年連続優勝という偉業を飾っている。

今年も同じマシンを走らせるも、パートナーは細川と堀尾風允に変更。そのことが影響したわけではなかろうが、ここまでの3戦は不運続き。だからこそ坪井のオートポリスとの絶対的な相性は、巻き返しに向けた絶好の武器と言えそうだ。形勢は圧倒的に不利ながら、残り3戦すべて勝てば連覇は不可能ではないとも。

目下ランキングトップは、林テレンプSHADE RACING 86の国本雄資/石川京侍/清水英志郎組で、ここまで2勝をマークしている。もちろん狙うところは、このまま逃げ切って王座を獲得することだ。

また前回の富士24時間優勝は、古くからのファンを大いに喜ばせたであろうWeds Sports 86。大ベテランの浅野武夫はいまだ衰えぬ速さを見せ、また若手を積極的に起用している、今回のパートナーは藤原大輝と松井宏太、そして地元ドライバーの小串康博だ。

ロードスターによる死闘が続くST-5クラス

今年のST-5クラスは、ロードスター勢が強い。第1戦でヒロマツデミオマツダ2の佐々木孝太/吉田綜一郎/妹尾智充組が2位に入ったが、それ以降は表彰台に立つことさえ許されていない。ただ、2019年には優勝を飾っており、オートポリスはむしろ得意なコースであるはずだ。

第2戦からの連勝で、ランキングのトップに立ったのはodula Star5 Roadsterの橋本陸/貫戸幸星/大崎達也/小原康二組で、これを2ポイント差でodula TONE MOTULロードスターの武地孝幸/太田達也/大野尊久/猪股京介組が追いかける。その実力は互角も同然。また、チームメイト同士、骨肉の争い(?)が最後まで盛り上がりそうだ。

ダークホースは、TiRacing☆NATS☆ロードスターの金井亮忠/猪爪杏奈/岡原達也組。結成2年目の新興チームながら、昨年ここオートポリスで初の表彰台ゲットを果たし、相性は悪くなさそう。新スポンサー獲得でカラーリングも一新されただけに、意識も新たにして臨んでくるに違いない。

本当に本当に余談ながら、このクラスにはなぜか“達也”が多い! 今挙げただけでも大崎、太田、岡原がいて、他にも野上と谷川が。いつか解明してみたいものである。

 
なお予選は7月30日(金)の13時35分から、決勝は8月1日(日)の11時から開始の予定。今年のオートポリスは、なぜか四輪レースが雨に見舞われ続けている。今度こそ……と祈るばかりである。

(はた☆なおゆき)

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