《2018公式テスト》富士スピードウェイ公式テストレポート

March 5, 2018

ピレリ スーパー耐久シリーズ公式テストレポート
今年最初の公式テスト富士で開催!
ナイトセッションも実施。

ピレリ スーパー耐久シリーズの公式テストが3月3日(土)に、富士スピードウェイで行われ、最速タイムを記したのは#24 KONDO RACINGのGT-Rをドライブする、藤井誠暢だった。
なお、午後7時からは「富士24時間」を想定したナイトセッションも実施された。

 

 

誰もが認めた、ピレリのロングライフ

ここ数年は、開幕戦と合わせる格好でツインリンクもてぎで行われていた公式テストながら、今年は開幕戦の舞台、鈴鹿サーキットではなく、富士スピードウェイでの開催となった。
「富士24時間」を想定したナイトセッションの走行機会も、早々と設けておこうということなのだろう。
今回のテストはまた、新たなコントロールタイヤとなったピレリを装着して一堂に会する、最初の機会ともなっていた。

 

 

まずピレリのタイヤの印象だが、誰もが口にしていたのは、絶対的なロングライフだ。
「従来のタイヤよりタイムの落ちが少なくて、特に夏場のレースで長い間保たれそう」ということ、さらに「縦方向のグリップに優れる」ということ。
特性の変化によって、中にはドライビングに苦労するドライバー、あるいはセッティングに苦労するチームはあったものの、極端な不満を耳にすることはなかった。

テストは1時間ずつ、3セッションが日中に、さらに午後7時から1時間30分に渡ってナイトセッションが行われた。
日中の3セッションは、いずれもアクシデントに見舞われることなく、一度も赤旗が出ることなくスムーズに進行された。
それぞれのチームが、さまざまなメイク&トライを行っていたこともあり、ほとんどのクラスでセッションごとタイムが向上。

 

 

ST-Xクラスでは、セッション1が#3 ENDLESS SPORTのGT-Rがトップで、1分40秒540をマーク。なお、発表されたドライバーリストではYUKE TANIGUCHIと山内英輝の名前のみ記され、CドライバーはTBNとされていたとおり、現時点では未定だという。
「今回テストした銘苅翼は、候補のひとり」と峰尾恭輔監督。
続くセッション2では#777 D’STATION Racingのポルシェがトップで1分40秒702をマーク、このチームは既報のとおり、昨年同様、星野敏と荒聖治、近藤翼のトリオでの継続参戦となる。

 

 

コンディションにも恵まれ、非公式ながらもレコードタイムが更新される

そして、セッション3ではついに1分40秒の壁が突き破られた。
残り15分となったところで、#99 GTNET MOTOR SPORTSのGT-Rを駆る、星野一樹が1分39秒755をマークするも、それから約10分後に#24 KONDO RACINGの藤井誠暢が1分39秒365で逆転を果たす。
このタイムは非公式ながら、ST-Xクラスのレコードともなった。

 

 

「今まで富士のスーパー耐久は暑い時期の開催でしたからね。
今年からタイヤが変わって、キャラクターもだいぶ違うので、クルマを合わせ込むのに時間がかかったんですけど、大きく何回か方向性を振ってみて、最後このへんかな…というところにニュータイヤ入れてみて出たタイムです。
ライバルがどういう状況で走っているか分からないので、今日のタイムは今日のタイムということで。
でも、公式テストでクルマの仕上がりは悪い状況じゃないので、鈴鹿では開幕3年連続優勝を目指します」と藤井。
なお、パートナーは引き続き内田優大と平峰一貴が務めることとなっている。

 

 

ST-Xクラスにはまた、新規チーム#244 MAX RacingのRC-Fも登場。
GoMAXと田中哲也、佐藤公哉のドライブするマシンは、すでにシェイクダウンは済ませたようだが、熟成の進んだライバル車両が相手では現状まだ敵うべくもなく、今後の進化に期待が込められることとなった。

ST-1クラスでは#47 D’STATION Racingと#31aprから、ポルシェのカップカーが走行。
ST-Xクラスへの移行を表明している#31aprは、セッション3のみの走行だったこともあり、終始コンスタントに周回を重ねていた、#47 D’STATION Racingが1分44秒031でトップだった。

 

 

「ジェントルマンドライバーの指導を、ということで、まだ走り始めたばかりだけど、今のところ全然問題なし。
総合で何位を狙うとか、そういうのは僕自身まったくなくて。
シーズンを通じて勉強してもらおうと思っています」と語るのは織戸学だ。

 

 

3台が参加したST-TCRは、アウディRS3 LMSだけの走行に。
日中のセッションでトップタイムをマークしたのは九州出身の塚田利郎と清瀧雄二、そして蘇武善和のトリオで挑む新規チーム、#75 Audi Team DreamDrive Noah。
蘇武が1分51秒203を記録している。
「私自身、こういうクルマどころか、このクルマに乗るのも今日初めてだったんで、最初はおっかなびっくり(笑)。
クルマの挙動を知るところから始めて、セッション1を終えたところでロガーを見ながら、みんなで話し合って走りを修正して、最後の方はみんなクルマにもコースにも慣れて、タイムを上げることができました。
チームの雰囲気もいいので、今後が楽しみです」と塚田。

 

 

4台が参加したST-2クラスでは、#59 TOWAINTEC RacingのWRX STIが、セッション2でマークした1分51秒395でトップ。
従来の大澤学と後藤比東至のコンビに、井口卓人の名がドライバーリストに加えられて話題を集めていたが、さらにDドライバーとして石坂瑞基も加えられることとなった。
「タイヤが変わったので、最初はフィーリングをつかむのに苦労したんですけど、足のセットとかいろいろ合わせて、なんとかタイムは出せるようになったので、ここから先も、うまくいくんじゃないかと思っています。
しかも、今年は強力布陣、若返りもはかりましたから、今まで以上に面白くなるはずです」と大澤。
これにシンリョウレーシングチームのランサー2台が続いたものの、ひとつ残念なことはRSオガワの参加がなく、どうやら今年はスポット参戦になりそうだということ。
なお、シンリョウレーシングチームの6号車は昨年同様、冨桝朋広と菊地靖、大橋正澄の3人で挑むが、7号車はラインアップを一新。
八巻弥と朝日たーぼといった、フォーミュラ出身の若手にシートを与えることに。
なお、Aドライバーに関しては「現在、募集中」と冨桝。そして、もう1台テストに参加したのは、#17 TEAM NOPROのアクセラディーゼルターボ。

 

 

今年から4WDだけでなく、FFもST-2クラスを戦うことになったため、クラスを移行してきた形だ。
ことタイムに関しては、ライバル車両に一歩置いていかれていたものの、目立ったのはクラス随一の周回数。
信頼性により磨きをかけて、「あわよくば」という展開を狙うこととなる。

 

ST-3クラスの王座奪還目指す、#38 TRACY SPORTSのIS350が他を圧す!

5台が参加したST-3クラスは、セッション1で堀田誠、阪口良平、新田守男のドライブする、#38 TRACY SPORTSのIS350がトップに立つが、セッション2では服部尚貴と脇阪薫一、平沼貴之のドライブする#68 埼玉トヨペットGreen BraveのマークXの逆転を許してしまうが、セッション3では#38 TRACY SPORTSが再逆転。
それまでのベストタイムをほぼ1秒も縮める、1分50秒947を阪口がマークした。
「タイヤのいいところを探しながら、いろいろ試してみて、けっこう思いっきり振ってみたんです。
自分たちの中で、こっちって方向が見出せたので、ニュータイヤ入れて走ったら、自分が思っていた以上のタイムが出ました。
ただ、まだ完全にはタイヤの特性はつかめていないので、コンディションの変化で突然変化するかもしれません。
ジェントルマンの堀田選手も乗るので、ある程度オールマイティなクルマに仕上げたいから、まだタイムが出たからといって満足はしていません」と阪口。

また、このクラスではFIA-F4で2年連続チャンピオンに輝いた、宮田莉朋が#62 Le Beausset Motorsportsからデビューを果たす。

 

 

パートナーとなる嵯峨宏紀や山下健太より一足早くコース入りして、前日のスポーツ走行で積極的に周回を重ねる様子が印象的だった。

9台が参加したST-4クラスで気を吐いたのは、#58小林自動車のインテグラ。
セッション1、セッション2でトップに立ち、特にセッション1で記された1分56秒806は、最後まで更新されることはなかった。

 

 

「さすが世界のピレリ。
今までのタイヤより3倍近い、60周は同じペースで走れるんです。
実は去年最終戦後にテストさせてもらって、そこから仕様も変わるのかな、と思ったけど一緒で。縦の性能に優れるから、インテグラにすごく合っていて、おまけにコーナリングもしっかりさせてもらえています。
これなら86と、今年はいい勝負させてもらえるのでは」と語るのは塩谷烈州。
この日も小林康一、山田隆之、瀬戸貴臣とシートを分け合い、久々の好結果に上機嫌だった。
松井孝允と坪井翔の新たなパートナーに、中山雄一を加えた#86 TOM’S SPIRITの86は1分57秒686でセッション3のトップとなり、ST-4クラスの総合2番手ともなっていた。

テスト最多となる10台が参加したST-5クラスでは、3セッションともロードスター勢が揃って苦戦を強いられる緊急事態が。
「ピレリのタイヤは縦に効く一方で、横のねじれに対しては従来のタイヤの方がいいことで、コーナリングで稼ぐロードスターの持ち味を活かしにくいというか、僕の走らせ方にマッチしていない」と#88 村上モータースの村上博幸。
FIT勢が上位を独占する中、セッション3で最速タイム、1分4秒749をマークしたのは#4チーム BRIDEの黒須聡一だった。
太田侑弥やカルロス本田とともにマシンをシェアした、Aドライバーの見並秀文は、「今日のテストはピレリになった状態で、予想してきたセットがバッチリ決まったので、タイムも出ましたし、何も心配はないです。
ただ、チームとしては3年目、速さだけでは結果に結びつかないので今年は決勝でちょっと頭を使って緻密にシリーズを戦っていきたい。
行けるところは行く、守るところは守りながら、極力お立ち台には立つ。
戦略でチャンピオンが獲れるような展開にしたいですね」と語っていた。

 

まだまだナイトセッションには課題も…

午後7時から行われるナイトセッションを前に、ドライバーブリーフィングが実施され、通常はポストで提示される旗に代わって、LEDパネル型信号機、反射ボードが使用されることが発表された。
現状、LEDパネル型信号機は1コーナー、100R、ダンロップコーナー、13コーナー、最終コーナーの5か所に設置されるのみだが、本戦では全18ポストに設置される予定。
またコーナーの随所には照明装置が設けられていた。
なお、今回、そして5月8日にも行われるテストのいずれかナイトセッションを走行しなければ、富士10時間での夜間走行が禁止されることも明らかにされた。

 

 

実際にナイトセッションが始まると、LEDパネル型信号機に対する印象は上々。
ただ、照明装置に関しては明るさにコーナーごと違いがあったり、全体的にもっと明るくしてほしいという要望が多かった。
まだシーズンオフのテストということで、補助ランプを装着していない車両が大半を占めたのも一因のようだが…。
「ドバイより全然見える(苦笑)。
あそこはまったく見えないので。
もっと安全に走らせるなら光。
施設の光を強化するところは、まだまだあります。
そのへんを強化してくれるようアンケートにも書いたので、しっかり反映してくれることを期待します」と語るのは荒。
「単独で走れば暗いながらも見えるけど、混走のレースですからね。
もっとコースが明るければ、経験の少ない人とかジェントルマンにも安全に走れるはずです。
後ろからライトが見えた時点で、フラフラしていた人もいたぐらい。
シンガポールでF1が、ナイトセッションをヘッドライトなしでも走れるぐらい明るくしてくれるのが理想ですけどね」とは星野の意見。

 

 

一方、抜かれ続ける側の意見として、#88村上モータースの脇谷猛は「照明が後ろに入ると、後続車のライトと区別がつきにくい。
それ以上に速いクルマに接近されると、アタフタするし、行き場がなくなるし、想像以上でした。
同じクラスのバトルも着いていくのは楽なんですが、立場が変わると一気に逆転して見えない状況に。
明るさにもコーナーごと違いがあって、それも慣れが必要だと思います」と語っていた。
両方の立場の意見を取り入れて、本戦までに最適化がはかられることを期待したい。

そういった視界も阻まれやすい状況で、かつ日中のセッションより温度がかなり下がったこともあり、概ねナイトセッションではタイムダウンの傾向にあった中で、唯一トップタイムを更新してきたのがST-TCRクラスの#19バースレーシングプロジェクト【BRP】。
昨年のFIT 1.5チャレンジカップ鈴鹿シリーズチャンピオンでもあるヒロボンが、1分50秒805をマーク。
今回はオーディションも兼ねて、多くのドライバーに走行の機会を与えてきたが、この好タイムによって「今年のAドライバーは決定!」と奧村浩一。
「今までN1車両だけに乗ってきて、初めてマスターバックのついていないブレーキに戸惑ったけど今日いっぱい乗せてもらって、そこそこ乗れるようになったかな、と。
暗い中にも目はすぐに慣れたのが良かったのかも。
(タイムは)出そうな気がしていました、走る前から(笑)。
初めての本格的なレーシングカーですが、行けそうな気がします。
このクルマ楽しいし、ホンマ最高です!」と、好タイムと抜擢にヒロボンは大喜びの様子だった。

なお、日中のセッションで最速タイムを記していた#24 KONDO RACINGは、ナイトセッションの走行をあらかじめ予定していなかったようで、早々にサーキットを離れた一方で、最も積極的に周回を重ねていたのが、アジアからのフルエントリーとなるPhoenik Racing AsiaのアウディR8 LMS。

 

 

アジアを代表するドライバーたちで2台を走らせ、ショーン・トンのドライブする82号車がナイトセッションのトップタイム、1分40秒968をマーク。
なお、もう1台の83号車は柳田真孝もドライブしていた。

(はた☆なおゆき)

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